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経営者、テクノロジー、働き方、組織まで本音で語った

さくら、はてな、GMOペパボのトップが桜島だから語る「ここだけの話」

2018年10月11日 09時00分更新

オレの会議はもう要らないって言ってみた

岩本:最近、いろいろなところで「働き方改革」が話題になっていますが、みなさんの会社での働き方改革や制度で面白いトピックってなんかありますか?

佐藤:うちは業務プロセスを革新していく「業務プロセス革新室」というのを作ってます。無駄なことをどんどん辞めたり、ツールで無駄を解決すれば、働き方はよくなる。テック企業なので、やはり労働集約ではなく、テクノロジーで解決したい。そういう部署で革新を日々やるようにしています。

栗栖:さっき打ち合わせで言ってましたね。Slackの使ってないチャネルを消すってやつ。

佐藤:ああ、「スーパーリセット」ですね。ネーミングって重要で、そうしないと無理矢理消された感が出ちゃう。「これはスーパーリセットなんだあ!!」というと、「おおっ!!」ってなりますからね。

田中:改善じゃなくて、革新って言ってるところが素晴らしい。「業務改善」だとイマイチで、改善してもコスト下がるだけで、なにか生み出しているわけじゃない。コストや時間を減らすという減点指向になるんですよね。革新であれば、業務がいらなくなる。これが経営者に求められる「非連続性」ですよね。2時間の仕事を1時間にするより、その1時間の仕事やめてしまえと言うことですよね。

佐藤:会議やめたんです。全部の会議が必要ってみんなが言ったので、オレの会議はもう要らないって言ってみたんです。そうすると、会議やめないといけないなという話になり、本当に必要な会議だけ残ります。社長に報告するためだけの会議がどんどん増えていくのがダメな組織なので、そういう会議を上からやめるという活動をやってます。

田中:上からやるの重要ですよね。「みんな休め!オレは働くの好きだから働くけど」っていう人多いけど、僕は先週休んで黒くなりました。月曜日まで父島にいまして、24時間かけて東京に戻ってきて、火・水は仕事して、木・金で仕事で沖縄です。

岩本:めっちゃ黒くなってますよね(笑)。

佐藤:僕も奄美諸島いましたね。われわれminneの事業で奄美市と協定を結んでいて、ハンドメイドで活躍している個人を市として応援しているんです。

岩本:話を元に戻すと、はてなさんではいかがですか?

栗栖:改めて話す内容はあまりないかな。毎朝10時に朝会をリモート含めてやってますし、愛知と仙台でリモートワークしている人もいますけど、制度という感じではないですからね。東京と京都でチームがまたがっていること多いので、iPadで常時Facetimeつないでいるとかやってますかね。

定時で帰って欲しい会社と子育て優先のお母さんは利害が一致する

田中:働き方改革って、制度にフォーカスが行きがちですが、制度と風土とテクノロジーの3つが変わらないとダメですよね。メールやめるとか、クラウドにするとかも、社内サーバーをなくすというのはテクノロジーですが、使いこなせるようにするのはむしろ風土です。

さくらインターネット 代表取締役社長 田中 邦裕氏

先ほどのスーパーリセットなんて、まさに風土ですよね。「月に何回の発言がないチャンネルは削除する」みたいな制度じゃ、それをチェックする仕事が増えるので、まさに無駄。それをリセットとして演出するというのが重要だなと。

岩本:さくらはそういった制度や風土の面での取り組みはどうですか?

田中:育休に関しては制度もあるんですが、実際に3ヶ月とる男性もざらにいます。特にマネージャーに取得するよう言ってますね。上からとれば、現場は指示されなくてもとります。上司が有休使ってバカンスとれば、自然と部下も行くようになります。制度も作るけど、上司に言って風土も変えてます。

栗栖:うちも子どもが生まれる世代になっているので、男性の育休もとるようになってますね。

田中:最近は子ども産まれたばかりのお母さんが入社してくれるようになりました。出産とともに退社しなければならなかった女性、育休明けに戻れない女性。そういった方ってマイノリティなので、就職しにくいんですよね。子育て優先の方、介護優先の方など、能力的に優れているのに、他社で採用しないので、うちに来てくれます。

岩本:時間は短いとか、残業できないけど、決められた時間できちんと仕事してくれる人ですね。

田中:会社としては定時で帰って欲しいので、子育て優先のお母さんとはむしろ利害が一致しているんですよ。そういった人が就職できないのが日本の社会なのですが、うちの会社としてはメリットです。

岩本:エンジニアとして長く働きたいとか、朝のミーティングがいやという人を、先ほど言っていた、制度、風土、テクノロジーでどのように動かしていくのがよいと思いますか?

全員:難しいなあ。

岩本:働き方改革ってマネジメント側が追いついてない気がするんですよ。そのあたりの解決策をテック企業としてどうとらえているか知りたいんですよ。

田中:早く帰らせるってけっこう重要なんですけど、テンション下がる人もいるんですよね。だから、長く働いている企業と、長く働きたい従業員は、利害一致しちゃってる。一方で、先ほど話したように定時に帰って欲しい会社と時短で早く帰りたい人は、それはそれで利害が一致している。

キーワードは「多様性」だと思うんですよね。たぶん、長く働きたい若者ばかりで組織を構成すると長時間労働が風土になってしまうけど、いろんな人がいると風土も変わってきます。もちろん、長時間労働をする人もいますが、そういった人たちをマイノリティにしてしまえば、会社としても打つ対策は出てきます。

栗栖:エンジニアであれば、いまめっちゃのっていて、サービス作りたいみたいなゾーンに入る期間がありますよね。でも、定常的に長時間労働しているのはやっぱりおかしい。スポット的にちょっと長めに仕事したいという人のために残業はあるのでは?

田中:のっている時間まで含めて工期を作ってしまうからよくないだけ。通常は定時で帰るけど、のってきたからちょっとがんばるかが普通ですよね。

佐藤:テクノロジー使う分だけ、エンジニアにはわかりやすく言えると思っていて、テクノロジーを使って早く帰れる方がかっこよくない?とは言ってますよね。一方で、昔ながらの職人気質でやりたい人は、その話は通用しなくて、がんばった分だけ評価されたい。そこは確かにコンフリクト(軋轢)が起こる部分ですね。

栗栖:この中で一番社長歴短いですけど、けっこう悩みます。永遠の課題ですよね。

田中:社員が言うことを聞かないとか?

栗栖:言うことを聞かないのではなく、社員の言うことに納得してしまう自分がいる(笑)。決めなきゃ行けないのに、それも一理あるよなって思ってしまう。

田中:社員と話が食い違う背景として、フォーカスの大きさというのがあると思うんですよね。小さいフォーカスでいうと納得できるんだけど、大きなフォーカスだとそれ違うぞと。たとえば、サーバーが故障したら、新しいサービスに乗り換えてもらったほうがいいんだけど、短期的に見れば売り上げは減ってしまう。そこを埋めていく努力をしないと、上司と部下で話が合わなくなるかなと。

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