週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

6コアCPUとGTX1050Tiを積んで18.4ミリに1.7キロを実現しております

ThinkPad X1 Extreme 試用レポート = GTXを積んだスリムノートの時代が来たのだっ!!

2018年09月21日 20時00分更新



 レノボは8月30日にIFAに向けて「ThinkPad X1 Extreme」を発表した.15型スリムボディにモバイル最上位の6コアHプロセッサーとGTX1050Tiを搭載したプレミアム・モバイルノートである.

 日本でも9月11日に発表となり、製品版が到着したので試用してみよう.

ひさしぶりのGTX搭載
ThinkPad初のi9とアルミ底板

 ThinkPad X1 Extreme(以下X1E)は、名前のとおり、14型モバイルのX1シリーズの上位モデルである.ひさしぶりのGeFoece搭載のThinkPadであり、ひさしぶりのテンキーレスの15型ThinkPadであり、初めてのコアi9-H搭載のThinkPadであり、初めてアルミ底板を使ったThinkPadである.

 実はX1Eは、8月21日に発表となった「ThinkPad P1」の兄弟機で、ボディも中身もほぼ同じマシンである.もちろん特徴はP1と同じく、「薄型・軽量なのに6コアCPUとGeForceGTXを搭載したThinkPad」である.

 サイズと重さはP1とまったく同じで、361.8×245.7×18.4ミリに1.71キロまたは1.84キロ.重いほうは4Kのタッチ液晶モデルだ.

X1Eの天板にはもちろん「X1」の刻印があり、兄弟機のP1にはない.ThinkPadロゴのiの赤ポチはもちろん発光するのだ.

 このサイズで厚みが2センチを切ると、手にしたときに「薄い」感が増す.もちろん、RazerBladeの最新2018モデルは15型ながら355×235×16.8ミリとX1Eより薄いのだが、X1EはThinkPadでおなじみの、側面と底面エッジの傾斜デザインのためか、薄さを感じるのだ.

左右のナナメなデザインは「9°チャンファー」と呼ばれるX1デザインのシンボルである.

 X1 Carbonのサイズは323.5×217.1×15.95ミリなので、幅は38ミリ、奥行きは28.6ミリ大きいが、厚みの差は1ミリ以下である.

 CPUはTDP45Wのコアi7/5のHプロセッサーで、i9搭載モデルは「後日」登場の予定だ.グラフィックスはNVIDIA様のGeForce GTX1050TiをMAX-Qデザインで搭載する.P1のGPUはQuadroだったので、ここが最大の違いだ.

 ディスプレイは15.6インチで4K(3840×2160ドット)はHDRのIPS液晶でマルチタッチ対応.Lenovo Pen Proでペン入力もできる.フルHD(1920×1080ドット)はノンタッチ・ノングレアである.

 今回は4Kモデルを試用したが、液晶は非常に鮮明でもちろん精細である.15.6インチで4K解像度で100%表示にすると、アイコンもアプリも激小になってなかなか楽しいのだ.推奨拡大率は250%となっていて、それではフルHD以下になってしまうので4Kの意味がないような気がした.150%くらいで使いたい.

4K液晶は「ノングレア」ではないが、反射防止加工がほどこされていて、ピッカピカではない.

 メインメモリはSODIMM×2スロット構成で、最低8GBから64GB(32GB×2)まで選択できる.SSDもM.2×2スロットで、256GBから最高2TB(1TB×2)が選択可能で、2スロット構成では購入時にRAID0/1の設定も指定できる.

X1ゆずりのキーボードとタッチパッドで快適&静音
インターフェースも充実

 キーボードは14型のTP(X1など)と同じサイズのものを搭載しており,日本ではUS配列と日本語配列を購入時に選択できる.キーピッチは19.05ミリで、キーストロークは1.8ミリと長めで打ちやすいし、音も静かである.

キーボードは14型のX1 Carbonと同サイズなので左右に余裕がある.右側には電源ボタンと指紋センサーがさりげなく配置されている.もちろんiの赤ポチは発光する.

 もちろん赤いポッチのトラックポイントと、そのボタン、そしてクリックパッドも静音設計で、会議中にゲームをしてもバレないのだ.パッドの表面はツルツルではないがサラサラという感じで指の滑りはとてもよく、キモチがいいのである.

このタッチパッドの表面が「スルスル」でキモチいいんですよ~

 インターフェースはUSB3.1Gen2のタイプC×2と3.0Gen1のタイプA×2、それにHDMI、イーサネット拡張コネクター(アダプター同梱)、メディアカードリーダー、コンボジャックで、オプションでスマートカードリーダーも設置できる.

タイプAは右側、タイプCは左側にコンビで設置されている.

 ほかのモバイル系ThinkPadもそうなのだが、相変わらず有線LANを利用するのに「シッポ」が必要なのは、なんとかしてほしいところである.富士通のモバイルノートのようなトビラ型の採用もぜひ検討していただきたい.

付属しているとはいえ、使いたいときにだいたい忘れてしまう逸品.

 それから、今回のX1Eは「TLEモデム」を内蔵できないのも非常に残念だ.これだけ「全部入り」なマシンができたのだから、ぜひ次世代モデルでは実現して欲しいのである.

X1サイズでP52を実現させるべく
薄さと放熱の闘い

 開発者によると、設計はとにかく、薄型軽量化と発熱量とのせめぎあいだったそうである.つまり、X1 CarbonのボディにP52の機能を収めるというところが始まりなのだ.

 X1CarbonはTDP15WのUプロセッサーだが、P52は45WのHプロセッサーに30WのQuadro搭載で合計75W.つまり、プロセッサーまわりで5倍の消費電力があるものを、スリムボディで実現するわけだ.

発表会で公開となった冷却ユニット.ファンの底面は「鉄」で、高速回転を支える.

 空冷ファンの羽根の形から設計しなおして、必要な放熱能力のあるファンを設定し、それがうまく収まる方法を考えて、本体の厚みが決定.ThinkPad史上はじめて、本体の底板をアルミニウムにしたのも、底面の放熱性を高めるためだという.

ThinkPad初のアルミを使った底板の内側はこのようにアルミ色.板全体で熱を逃がす.

 速度と放熱をコントロールするソフトウェアは「インテリジェント・クーリング」と呼ぶが、これをWindowsのバッテリーアイコンをクリックすると出てくるパワースライダーと連動させている.これもThinkPadとしては初の試みで、静音モード、バランスモード、パフォーマンスモードの指定によって動作条件を変えている.

おなじみのこのスライダーで、最高消費電力もファンの回転数も変化する.

 底面以外については、天板はカーボンファイバーとグラスファイバーのハイブリッドにより薄型・軽量化を実現.キーボード面はマグネシウムとアルミニウムの合金で軽量化している.

こちらがあまり目にふれなくなっている排気口(左右外側)と吸気口(中央)でござる.液晶を開けていると、後方というより下方に排出される.

 排気は液晶のヒンジの部分から下方向に排出される.底面の本体側には一直線のゴム足が設置されているので、吸気部分には排熱が回らないようになっている.このクラスのノートとしては排気音も静かである.

底板の後方には吸気口とともに、横一直線のゴム足があり、排気がそのまま吸気されてしまうのを防いでいる.

 バッテリーは容量80Wh内蔵で、ほかのTPのように取り外しや交換はできない.駆動時間はカタログ値(JEITA Ver2.0)によると、P1は15時間でX1Eは16時間と差がある.

中央のメモリースロットの左側の黒い部分は空きのメモリースロット.右側ファンの下に2つ並ぶSSDのスロットも下は空きになっている.底板は通常のプラスネジを緩めれば取り外しが容易で、ネジが紛失しないよう工夫もされている.

 ちなみにACアダプターの出力は135Wで、タイプC端子の規格を上回ったため、専用の角形コネクターで本体と接続する.ただし、本体のタイプC端子は電源入力に対応しているため、100W以下のACアダプターを接続した場合でも、動作や充電はできるらしい(レノボは保証していないという意味).アダプターは出力のわりに小型&軽量で、気軽に持ち歩けるのがとてもうれしいのだ.

実測で115×75×22ミリと非常に小型で、重量はACケーブル込みで386グラムと軽めである.

6コアとGTXはのびのびと回転
排気制御も細かくて静か

 さて、おなじみのベンチマークテストを実行した.試用機はi7-8850H搭載なのでもちろん6コアで、まずCinebenchではCPU値は1162をマークした.これは8Gの6コアi7中では最高の値で、i9搭載の他社PCの1189に迫る高回転ぶりである.

 次にGPUの速度をみる、おなじみ3DmarkのFireStrikeでは6508が出た.これはi9+1050Ti(ノーマル)の6722と比べても、約5%しか差がない良い数値である.3D系のほかのベンチマークソフトでも同様で、ゲームによってはノーマルの1050Tiを上回る結果も出たので、MAX-Qデザインでありながら、GTXの回り具合も上々だ.

 冷却能力も、新開発しただけあってとても効果的で、重いベンチマークテストが始まると、徐々にファンの回転が上がり、終了するとすぐに下がるということが繰り返される.冷却もきちんと行われ、熱源の上にあるキーボードも過熱しない.繰り返し実行しても、ベンチマークテストの結果が低下しないので、過熱して速度を落とすこともない.

 SSDは試用機にはSAMSUNGのMZVLB512HAが載っており、以前試用したX1 Carbonと同じである.CrystalDiskMarkの結果はシーケンシャルのマルチでリード3415、ライト1948と、これも問題なく回っている.

 バッテリーの持ちはBBemchを使って、「最も高いパフォーマンス」で液晶輝度100%で実施したが、3時間40分動作した.デルのXPS15やHPのElitebookは、X1Eとほぼ同スペックで、97Whのバッテリーを搭載して、やはり3時間半の動作を確保している.X1Eの内蔵バッテリー容量は前述のとおり80Whなので、17%少ない電力で同じ時間駆動したことになる.

 充電時間も、上記の放電と同じ条件でPCを動作させながら計測した.バッテリーが50%まで充電されるのに41分、70%まで60分、90%まで80分とこれも十分高速だった.このクラスの他社PCは150W出力のACアダプターを同梱しているが、X1Eは135Wでよく健闘している.

こちらはおなじみの「LenovoVantage」というユーティリティーソフト.バッテリーの充電方法のカスタマイズから、最新ドライバーの管理までやってくれる.

すでにお値引き中で4Kは品薄
夜買う?週末買う?

 レノボのWEBサイトをみると、ThinkPad P1はモバイルワークステーションだが、X1Eは個人用のXシリーズとしてラインアップされている.まさにプレミアム・モバイルノートなのだ.

 いま、この「15型プレミアム・ノート」のは世界のPCメーカーの主戦場となっており、各社がGTX搭載機を発売している.デルのXPS15に始まり、HPのEliteBook1050、MSIはPrestige PS42、ASUSのZenBook Pro 15、そして2in1ではMSのSurfaceBook2-15もある.ゲーム系ではGTX1060/1070を搭載して17ミリと薄いRazerBlade 15が人気である.

 オレとしてはTPクオリティーで15型で4Kも選べて、テンキーなしのUS配列ありで、Hプロセッサー+GTXで1.8キロなので、もはや満貫なのだ.  速度と画面、そしてサイズ・薄さはオッケーなので、14インチが入るカバンにはスルっと入る.あとはモバイルPCとして1.7~1.8キロをどう考えるかである.

 欲をいえば、このサイズなのだから、ケチらずにLTEモデムも入れてほしかったのと、4K液晶はタッチとノンタッチを選べるようにして欲しかった(ノングレアもね).そうなると役満のプレミアムノートになる.でもいま欲しいマシンはいま買うのがアスキーのしきたりである.レノボさんお得意の「ナイトセール」や「週末セール」ではすでにX1Eをお値引きしてしまっているので、いま買うのが正しいのである.

おまけコーナー
Thunderbolt3 Workstationドック

 同時発表の専用のドックを発表会で見たのだが、これがなかなかスゴい.「Thunderbolt3 Workstationドック」という名前で、サイズとしては虎屋の羊羹くらいなのだが、ACアダプターが2つ同梱されている.すべての端子に周辺機器を接続した場合の消費電力にあわせているそうで、230Wと135Wの合計365Wを入力することになる.

 このドックと本体は、1本のケーブルで電源端子とその隣のタイプC端子を両方接続する.タイプA×5にタイプCにディスプレイポート×2、HDMI×2という豪華仕様で、キガビットイーサとコンボジャックももちろんついている.けっこうなお値段になりそうだが、P1/X1Eを買ったら絶対にほしくなると思います.

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります