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プレイベートもパブリックもディスプレイが一杯の東京

2018年03月13日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

AR+パブリック

 ケータイの時代、もしプロジェクターが手元のデバイスに入ったらどうなるか、というアイディアを考えたことがありました。用意されている情報だけでなく、自分が手元のデバイスから映し出す機会が増えるなら、街中に白い壁が増えていくんじゃないか、という話です。

 残念ながらスマートフォンに積極的にプロジェクターが内蔵される流れにはなっていません。依然としてデバイスのサイズや消費電力の問題が大きいですね。しかし別の手段、つまり拡張現実(AR)で同じような手段が考え出されることになりそうです。

 ARの場合、必ずしも白い壁である必要もなくなりますし、プロジェクターで映し出す場合と違って、周囲の明るさも関係ありません。そしてなにより、他の人からは自分が何を投影してみているのか知られる心配がなく、パブリックな空間にプライベートなディスプレイを作り出すような状況が生まれます。

 こうして、パブリックなディスプレイスペースをプライベートにカスタマイズする方法自体は生み出されました。あとは、街中で、あるいは電車の中で、カメラを起動してかざし続けることが許容されるかどうか。

 こうしたアイディアは、やはりサンフランシスコよりも東京にいる方が思考が進みます。それだけ人の密度が高く、さまざまな人がいて、公共空間の使い方に多様性が求められているということだと思います。

 日本ではインフラが充実しているので、米国におけるUberのような、不足したインフラを補い、社会にインパクトを与えるようなアプリのアイディアは生まれにくいかもしれませんが、より未来のことを考えるには適した街が東京だと思うのです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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