ラックスマンは3月6日、Raspberry Pi(ラズパイ)を内蔵したオーディオ製品のコンセプトモデル“AUDIO OSECHI BOX”(オーディオ・おせち・ボックス)「JU-01/02」を公開した。
一般的なオーディオ機器ではデジタル回路部を独自に開発するが、これを数千円で買えるシングルボードコンピューターのラズパイで代用している。ラズパイではLinuxが動作し、ソフトの作り込みがしやすい。これにDAC回路などを追加すれば、高機能なオーディオ機器が手軽に作れるわけだ。
JU(じゅう)の名称は、和食を盛り付ける「重」に由来する。AUDIO OSECHI BOXは、DAC機能を持つプレーヤー部「JU-01」とHDDなどを内蔵したストレージ部「JU-02」の2ピースで構成。利用時には重ねて設置できる。
重箱をコンセプトにした小型オーディオを開発
JU-01/02は幅と奥行きがともに重箱と同じ6.5寸(19.7㎝)。高さはそれぞれ50㎜ほど。筐体の下側にゴム脚、天板にへこみが設けられており、重箱のように重ねられる。
試作したDAC部とストレージ以外にも、スロットイン方式のCDドライブやヘッドフォンアンプの追加も検討しているそうだ。なお、ラズパイにはEthernet端子やUSB端子があるので、JU-01単体でもネットワーク再生やUSBメモリーからの再生が楽しめる。
ラックスマンの小島氏は「サイズはMac miniなどとも同じ大きさ。もともと人間のサイズに合わせて決められた(尺貫法に基づく)ものであるため、大きさも自然」と話す。企画当初は、重箱感を出すため、漆塗りや蒔絵での装飾も検討したが、現在のデザインに落ち着いた。ほかのラックスマン製品と親和性の高い、シルバーの金属製筐体だ。
D/A Converter BOXをうたう「JU-01」は、Raspberry Pi3を内蔵。さらに本格的な電源部やI2S接続のDAC回路部などを持つ。内蔵クロックは48kHz系(24.5760MHz)と44.1kHz系(22.5792)の2系統があるが、さらに外部クロック入力にも対応する。リアパネルを見ると左側にラズパイが標準で持つ端子、右側にRCA出力やクロック入力、電源端子がある。
DAC ICはバーブラウンの「PCM5122」を使用。ラズパイのI2Cから出力する際にはマスタークロック信号が出ないため、それなしで動かせる点も採用理由になったという。デジタルアウト用のデジタル・オーディオ・トランスミッターには「DIT4192」採用。こちらも同様の特徴を持つ。
オーディオメーカーとしてこだわったのが電源部だ。
ラズパイを内蔵する関係で、システムとしてみた場合、1.5A~2.5Aと高い電流が必要となる。通常は省スペース・省電力化のため、スイッチングレギュレーターを使うが、ノイズを嫌い、リニアレギュレーターを使っている。コンデンサーに3300mAと容量が高いものを3つ使用する。ラズパイのGPIO(General Purpose Input/Output)端子のノイズ量で音質に影響が出ることが分かったため、配慮したそうだ。
価格に関しては「DA-100と同等クラスの仕様ということもあり、この構成であれば5万円以上にはなるが、10万円を超えることない」とのこと。ただし現状ではあくまでもコンセプト機であり、デザイン・音質・機能などは、ヘッドフォン祭などの展示会を通じ、実際のユーザーの声を聞きながら詰めていくという。
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