週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

ラズパイ内蔵で、重箱スタイルのハイレゾ再生機

ラックスマンの「AUDIO OSECHI BOX」、その発売が待ち遠しい

2018年03月07日 09時00分更新

 ラックスマンは3月6日、Raspberry Pi(ラズパイ)を内蔵したオーディオ製品のコンセプトモデル“AUDIO OSECHI BOX”(オーディオ・おせち・ボックス)「JU-01/02」を公開した。

 一般的なオーディオ機器ではデジタル回路部を独自に開発するが、これを数千円で買えるシングルボードコンピューターのラズパイで代用している。ラズパイではLinuxが動作し、ソフトの作り込みがしやすい。これにDAC回路などを追加すれば、高機能なオーディオ機器が手軽に作れるわけだ。

 JU(じゅう)の名称は、和食を盛り付ける「重」に由来する。AUDIO OSECHI BOXは、DAC機能を持つプレーヤー部「JU-01」とHDDなどを内蔵したストレージ部「JU-02」の2ピースで構成。利用時には重ねて設置できる。

漆塗りや蒔絵も検討して、試作もしたという

重箱をコンセプトにした小型オーディオを開発

 JU-01/02は幅と奥行きがともに重箱と同じ6.5寸(19.7㎝)。高さはそれぞれ50㎜ほど。筐体の下側にゴム脚、天板にへこみが設けられており、重箱のように重ねられる。

重箱スタイル

 試作したDAC部とストレージ以外にも、スロットイン方式のCDドライブやヘッドフォンアンプの追加も検討しているそうだ。なお、ラズパイにはEthernet端子やUSB端子があるので、JU-01単体でもネットワーク再生やUSBメモリーからの再生が楽しめる。

背面。今回はNASからのネットワーク再生をデモ。試作機のため、外部クロック入力のオン/オフスイッチはJU-02側にある

 ラックスマンの小島氏は「サイズはMac miniなどとも同じ大きさ。もともと人間のサイズに合わせて決められた(尺貫法に基づく)ものであるため、大きさも自然」と話す。企画当初は、重箱感を出すため、漆塗りや蒔絵での装飾も検討したが、現在のデザインに落ち着いた。ほかのラックスマン製品と親和性の高い、シルバーの金属製筐体だ。

ラックスマンの小島氏

 D/A Converter BOXをうたう「JU-01」は、Raspberry Pi3を内蔵。さらに本格的な電源部やI2S接続のDAC回路部などを持つ。内蔵クロックは48kHz系(24.5760MHz)と44.1kHz系(22.5792)の2系統があるが、さらに外部クロック入力にも対応する。リアパネルを見ると左側にラズパイが標準で持つ端子、右側にRCA出力やクロック入力、電源端子がある。

 DAC ICはバーブラウンの「PCM5122」を使用。ラズパイのI2Cから出力する際にはマスタークロック信号が出ないため、それなしで動かせる点も採用理由になったという。デジタルアウト用のデジタル・オーディオ・トランスミッターには「DIT4192」採用。こちらも同様の特徴を持つ。

オーディオ部の使用パーツ

 オーディオメーカーとしてこだわったのが電源部だ。

 ラズパイを内蔵する関係で、システムとしてみた場合、1.5A~2.5Aと高い電流が必要となる。通常は省スペース・省電力化のため、スイッチングレギュレーターを使うが、ノイズを嫌い、リニアレギュレーターを使っている。コンデンサーに3300mAと容量が高いものを3つ使用する。ラズパイのGPIO(General Purpose Input/Output)端子のノイズ量で音質に影響が出ることが分かったため、配慮したそうだ。

 価格に関しては「DA-100と同等クラスの仕様ということもあり、この構成であれば5万円以上にはなるが、10万円を超えることない」とのこと。ただし現状ではあくまでもコンセプト機であり、デザイン・音質・機能などは、ヘッドフォン祭などの展示会を通じ、実際のユーザーの声を聞きながら詰めていくという。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります