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日本発、あまねく人々にRPAを行き渡らせるBizteX

手軽に使えるクラウドRPAは働き方の未来を変えるか

BizteXが見据える今後の展開

「BizteX」

 働き方改革の文脈において、AIとの比較が多く語られるRPAだが、マクロなどに詳しい人ならば、ずっと前からすでにあるという認識のソリューションと思うのではないか。ただ、実際にこれをウェブ上で対応させるというのは、技術力が要求されてくるようだ。Biztexの場合、適用サイトが狭められることがないよう、単純にJavaScriptを走らせているわけではないと嶋田氏は語ってくれた。

 すでに大手企業ではオンプレミスでのRPAを技術部を巻き込んだ形で動く事例が国内では数多いが、このようなサービスは大手だけでとっておくのはもったいない。日本に数多い中小企業や、大企業の中の小さな一部門でこそ活用すべきサービスと言える。突き詰めて考えれば、ある一定の仕事内容についての最適解がクラウド上にたまっていくはずなので、日本人向けの事例をどんどん作っていってほしいところだ。

 正直、社長1名だけであとは全部ロボットというスタートアップも今後当たり前になってもいい。いまある“仕事“というものが変わってしまう前段階のひとつとして、”シンギュラリティー”まで行かずとも、業種によって働き方が一変する可能性を見てみたい。

 BizteX cobitの基本的な機能はそろっているとしながらも、今後は自社APIを公開してほかのシステムにつなげたり、顧客の社内システムと連携するプライベートクラウドを個別に構築するなど、現状にとどまらず、カバーできる業務をどんどん広げていきたいと意欲を見せる嶋田氏。クラウドRPAの第一人者として蓄積してきたデータをロボットマーケットプレイスで活かし、製品サービスの向上につなげる計画もあるという。

 BizteX cobitをより多くの顧客に届けるために、顧客の業務を分析してどのようにロボットを活用するかをアドバイスする「コンサルティング」、ロボット作成と導入支援を図る「インプリメンテーション」、製品を卸す「ディストリビューター」、3つのパートナー制度の導入も検討中だ。その一環として、すでにSoftBank C&Sとの提携が決定している。

 「3年後にはみんなの働く時間を半分にして、ライフスタイルを変えていきたい。そのために、方法論としてRPAのクラウド化をして、どんどん機能拡充することによってお客さまに使っていただける価値を広げていきたい」(嶋田氏)

 そしてBizteX株式会社のもう1つの大きな目標が、海外進出である。きっかけとなったのは昨年11月。経産省のプログラム「飛躍」を利用して、メンバーを1人、ベルリンとヘルシンキへ派遣した。すると、ベルリンの拠点に現地の某大手企業の社員が現れ、BizteX cobitに大きな興味を示したという。翌日メンバーがプレゼンに訪れると、オンプレミス型RPAを検討していたが、クラウド型の英語版をリリースして欲しいという要望を受けた。このように、先進国ではクラウドRPAに対するニーズが高いことを実感した嶋田氏は、まず先進国に進出しようと考えている。

 一方で、東南アジアの新興国では近年人件費が上昇し、BPOで請け負ってきたマーケットは従来のように採算が合わなくなっているという問題が生じている。そこにBizteX cobitを投入すれば、コストの削減が実現し、事業が成り立つのではないか。実際にBPO事業者からの問い合わせも増えているという。

 そもそも日本からの海外進出は言語や商習慣の壁などでたやすくはないが、その点については「クラウドのサイトやシステムは(日本も海外も)変わらないので、解析の技術と学習のさせ方は僕らの強みとして通用する領域。あとは、拠点を構えて地道にサポートをする。この2つの軸だと考えている」と話す。英語化や24時間対応でのサポート、海外の主要箇所に拠点を構えるなど会社の体制を整え、2018年の後半には海外へ進出する計画を立てている。

 日本国内でのさらなる拡張と海外進出を見据えるBizteX株式会社では、2017年6月にジェネシアベンチャーズから4000万円の調達をし、2018年の同時期を次のラウンドと捉えている。現在、すでに複数の投資家とコミュニケーションし始めているというが、嶋田氏が大切にしたいのは、「過去BtoBに投資して、大きくした経験があるか」「ネットワークを持ち、顧客紹介をいただけるかどうか」「BizteXのチームと合うか」の3つだという。

 「出資してもらうということは、人間でいうと結婚するようなものだと思うので、奥さんとして大丈夫なのかと。ジェネシアベンチャーズの方は、俺らのビジネスだからこうしようという目線が同じ。これにぐっときた」。今後、歩みを止めることなく進み続けるBizteXにとって、起業家と目線を同じくしてくれる投資家の存在は不可欠だ。

 新しいテクノロジーとしてもてはやされることの多いAIだが、技術的・経済的観点から企業体制に取り入れるには障壁が大きい。それでも、なんとか業務改善をしたい、社員の満足度を高めたいと試行錯誤する企業は多い。

 新テクノロジーの巨人であるAIに代わって、「オフィスの中で身近に存在し、気軽に仕事を頼めて実行してくれるコビトのような存在でありたい」という願いが込められたBizteX cobitが、世の中の働く人たちを救おうとしている。

●BizteX株式会社
2015年7月設立。「Technologyで新しいWorkStyleを創る」ことをミッションとし、人間をルーティンワークから解放し、 創造的な仕事に集中できるクラウドソリューションスタッフ「BizteX cobit」を提供。
2017年6月に、ジェネシアベンチャーズから4000万円の資金調達を実施。
スタッフ数は2018年2月時点で約10名。インサイドセールスやエンジニアを募集している。

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