他社は薄いといってもパンケーキのようなものだ
一方、天面とボトム部分は何センチもあるアルミブロックをCNCで削り出したもの。ここは先代から継続している要素だ。同じアルミ筐体でも、Inspironシリーズでは、曲げ加工で加工しているが、精度の面では差が出ないものの補強材が必要になったり、厚みが増してしまう。XPS 13の場合はベゼルレスに近い状態で薄型化も図る必要があるため、そこはコストを掛けて、高精度な削り出し加工を施しているという。
── 天面、そして底面に使用したアルミ削り出しの筐体も重厚感があります。
タナカ 「トップカバーはアルミ合金の削り出しで、製造方法は第4世代のXPS 13の発表会でもお見せしています。XPSはデルの中でもハイレベルな製品です。XPSシリーズは見た目の美しさも重視していますが、本質は高いパフォーマンスを出すことです。その性能を出すために、製造方法にも妥協していません。たわんだり、へこんだりしませんし、使っていて安心感があることが重要です」
── 底面から見ても美しいデザインだと思います。
タナカ 「よくノートブックをレーシングカーのようにデザインしているねとからかわれることがあります。底面はネジ1本取っても、色を揃えてあるし、その大きさも徐々に小さくしてきました。取付方法も通常なら垂直のドライバーを使って高速に回して取り付けるともいますが、デザイン性を損なわないよう、丸みを帯びたエッジ部分に、わざわざ角度を付けて、斜めの方向から差し込んでいます。これをゆっくりと丁寧に回して取り付けています。
また底面のど真ん中にネジを使うメーカーもありますが、そういうこともしません。非常にディープなこだわりを持って作られているのがXPSなのです。グランドセイコーを作るような細かな工程を経て実現されたものと言えばいいでしょうか? デル=効率性だけではないという点が伝わればと思います」
── New XPS 13に関しては小型化して凝縮感が増した印象です。
タナカ 「13.3インチのノートでは世界最小の筐体となります。重要なのは“パンケーキではダメだ”ということです。10mmの薄さ(XPS 13の薄さは7.8~11.6mm)でかつパンケーキにならないことなんです」
── パンケーキとは何ですか?
タナカ 「簡単に言うと最薄部の数字を低く抑えるために、だらしないフォルムにはしたくないということです。小さく薄くしようとすると、パンケーキをたたいて引き延ばすように内側は厚くて、外側がだんだん薄くなるような“だらっとしたフォルム”になってしまいがちです。
安易にコンポーネントを入れるスペースを確保しようとするとそうなります。しかし、われわれはそうせず、ベゼルを最小限にした引き締まったフォルムにする点にこだわっています。前の世代も十分に小さいサイズでしたが、それをさらに小型化できた。何も捨てずにここまで小さくできた点を強調したいですね」
開いた最初の印象は「広い画面」、ベゼル幅はついに4mmに
New XPS 13は、13.3型で4K UHD解像度(3840×2160ドット)で、HDR対応のディスプレーも選べるモバイルノートだ。トップカバーを開くと露出するディスプレーの高精細さと迫力にも相変わらず驚かされる。13.3型パネル自体はモバイルノートとして一般的なサイズである。しかし閉じた状態から開いてみると、内側いっぱいにディスプレーが広がり、想像していたより圧倒的に大きい画面に目を奪われるのである。
理由はベゼル幅の狭さだ。New XPS 13の液晶ベゼルは幅4mm。従来の5.2mmから23%も細くなり、本体の面積に占めるディスプレーの割合は8割を超える。13.3型クラスのディスプレーを採用した機種としては世界最小クラスの製品とのことだ。
本体サイズは幅302×奥行き199×高さ11.6mm(最薄部7.8mm)とA4よりほんの少し幅が広い程度(A4サイズは297×210mm)。近いサイズ感の製品を探すと、最近NEC PCが発表したジャストA4ノート「LAVIE Note Mobile」が、幅289×奥行き197.5mmで12.5型パネルを採用。VAIOの「VAIO S11」が幅283.4×奥行き195.5mmで11.6型パネルとなる。
LAVIE Note Mobileも左右ベゼルの幅が5.5mm、上部ベゼルの幅が7.1mmの3辺狭額縁をうたうモデルである。通常なら11.6型や12.5型モデルのサイズ感で、1~2クラス大画面な13.3型ディスプレーを搭載している点には感心する。
── XPS 13は開いた瞬間のフィーリングが非常にいいです。高精細な液晶がいっぱいに広がる。この感じが最高ですよね。
タナカ 「日本語で“ものづくり”と言いますよね。これは好きな言葉で、XPSの思想とも共通する部分です。デザインとパフォーマンスであれば、われわれはパフォーマンスを優先します。ぜひモノづくりという観点から、XPSのデザインや質感というものを見ていただければと思います。豚に口紅を塗るような、表面的に取り繕うような処理ではないことが分かると思います。これこそがモノ作りですよね」
訂正とお詫び:液晶パネルの方式に関する記述が初出時に誤っていたため、正しい表記に改めました。(2018年1月31日)
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