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広報「忖度とけもフレのどちらが勝つかハラハラした」

ファミマ「忖度御膳」売れてない? 担当者に聞いた

2017年12月05日 18時00分更新

売れていないの? どうやって作ったの?
広報さんに聞いた

ファミリーマートに聞きました

―― さっそくですが、忖度御膳は売れていますか?

広報「店舗によって異なるので、一概には言えない、というのが正直なところです。もちろん我々の耳にも、売れているかどうかが話題になっていることは届いているのですが……ただ販売数を限定しているので、およそ3週間ほどで売り切れてしまうと思います」

―― 投票結果が出てから商品発売まで、とても短いスパンでしたが、よく間に合いましたね。

広報「商品としてはもちろん投票の結果を受けて生まれたものですが、正確に言うと『弁当の開発』は、結果発表後にスタートしたわけではないんです。もともと弊社は6月に新マーケティング戦略を始動させていまして、たとえば『ファミチキ先輩』も、その流れで生まれたキャラクターですね。その時期から『年末向けの話題性を持った商品』ということで、いろいろなものを開発していたんです」

ファミチキ先輩

―― 忖度御膳という商品は11月13日(結果発表日)から生まれたものですが、その日に、一からお弁当つくりをスタートしたわけではないと。

広報「弊社では開発カテゴリーごとに、いろいろな商品を開発して、いうなれば“温めている”わけですね。もちろん中にはタイミングというか、きっかけがなく、世に出ないものもあります。今回の場合は、投票結果で『忖度』となったときに、忖度というテーマを表現しやすいのはどれだろう、開発しているあの弁当がぴったりじゃないかとなって、『忖度御膳』として名付けられて登場した。そんなイメージでしょうか」

―― なるほど。素材となるもの自体は前からあって、忖度というお題をその上に乗せた、みたいな。ざっくり言えば、お弁当が先で、ネーミングが後なんですね。

広報「金目鯛やのどぐろなど、普通の商品ではなかなか使わない食材も使用しているので、それを全国で展開するとなると、さすがに前もって開発していないと無理です」

―― お弁当の味付けとか、おかずの選択とか、さすがに短期間では決まりそうにないですものね。

広報「例え話になりますが、ミュージシャンの方が、未発表曲を持っていたりされるじゃないですか。ドラマや映画のテーマ曲を依頼されたときに、『あの曲をちょっとアレンジすれば、テーマにピッタリだな』と考えて、発表していない持ち曲に手を加えて提供する……それに近い感じですかね」

―― とはいえ、商品化までは時間がなかったから、大変だったのでは?

広報「忖度御膳そのものの苦労ではありませんが、忖度とけものフレンズのどちらを商品化するのかは最後までわからなかったので、ハラハラしましたね。RTといいねの数を見ながら、『どちらが勝つんだろう』という緊張感はすごくありました」

投票結果が悪いわけではない

ファミマではけものフレンズクリスマスキャンペーンを実施中

 ちなみに5日現在、ファミリーマートは「けものフレンズクリスマスキャンペーン」を展開し、オリジナルグッズや缶バッジなどをプレゼント中(詳細はこちら)。ファミチキ先輩とのコラボLINEスタンプも配布されています。このことから、もともと、けものフレンズを商品化するとなっても、ある程度は下準備ができていたものと考えられます。

 Twitter上での投票に話を戻すと、何しろネット上での投票ですから、筆者としては、けものフレンズが勝利するのではないかと安易に考えていました。

 ところがどうして、インターネット上には「企業が注目していない(と感じられる)側」を勝たせようという動きが出てくるものです。実際、企業のネット投票では、悪ふざけのような組織票が集まることもあれば、都合が悪くなったのか、中間発表からは想像もつかない不自然な結果が出ることもある。

 まったくの余談ですが、2012年にケロッグが実施した「チョコVSわさび」チョコワ対決企画で、ワサビ側のスフィンクスが圧倒的有利だったにも関わらず、なぜか最終的に負けたことを思い出した人もいるでしょう。

 ともかく、忖度御膳が「ネット民がノリでけものフレンズを勝たせなかった結果、ファミリーマートがあわてて変な弁当を作った」というストーリーで語られているとするならば、少しばかり間違っているといえるかもしれません。

 忖度、けものフレンズ。どちらが勝ってもファミリーマートとしては自分たちが持っているアイディアを利用し、商品化する自信があったのですね。極論を言えば、どちらが勝ってもよかった、ともいえるかもしれませんが、そのあたりは“忖度”するしかなさそうです。

 もし、けものフレンズが勝利していても、忖度御膳はまったく別名の豪華なお弁当として、世に出ていた可能性があったかもしれませんね。


モーダル小嶋

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!

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