ホラーというジャンルは人によっては恐怖の対象という物が大きく変わる。直接的な惨劇で死へと迫るのが西洋のホラーで、精神的にジワジワと死へと追い詰めていくのがアジア全般でのホラー作品の特徴だろう。
ゲームとしてのホラー作品を見ると「Outlast」 (過去記事)のように西洋的な恐怖との親和性は非常に高い。対照的にアジア的なホラー作品は以前紹介した「ロゼと黄昏の古城」 (過去記事)のようなプレイヤーと主人公に精神を同調させていくような作品もある。第64回はそんなホラーの折衷作品ともいえる「The Coma: Recut」を紹介する。
気付けばそこは闇の中
主人公である“ヨンホ”は大切な期末試験の当日に悪夢を見てしまい寝過ごしてしまう。だが、学校で自殺未遂の騒ぎがあり学校は騒動になってしまい、その現場に鉢合わせる。騒動のおかげで試験も延期かと思われる中試験が行なわれ、その試験の最中にヨンホは気を失ってしまう。
目を覚ました後、学校の中で閉じ込められてしまったことに気付く。読者の中に経験のある方がいるか分からないが夜の学校で一人になるのは本当に怖い。鞄の中に懐中電灯があることを思い出し、懐中電灯一本で学校の中を探索することになるが、非常に心許ない。
死の危険から逃げろ!
学校の中は普段の学校の中と様子が違い、何故か怪我を負うような罠や障害物が存在している。そんな危険な状況の中、担任でもある“ソング”から追いかけ回されてしまう。彼女はヨンホの命を狙っており、手に持った得物で確実に切り裂いてくる。この際にダメージを受けすぎればゲームオーバーになってしまうがヨンホには攻撃手段が一切無いので、逃げる以外の行動はできない。
逃げる手段はロッカーなどに隠れるほか、RBボタンで明かりを消してその場にしゃがみ込んで気配をけす方法が一番取りやすい。後者はスタミナを消費するため使いどころが難しいがどちらにせよある程度距離を離して隠れなければ感づかれて攻撃されてしまうので注意。
そして、殺人鬼から逃げた先のカフェテリアで“イェソル”という少女と出会う。他校の制服を着ており、この状況下でも一切動じない謎の人物でもある。その彼女から現在学校が“闇の世界”と呼ばれる別世界に繋がっていることを教えられる。この闇の世界から逃れるために現実世界を結びつけている鍵を探すことになる。
スタミナや体力が減ったら探索で手に入る菓子やミネラルウォーターを取ることで回復できる。十字キーの下を押すことで鞄から使うことが可能。また、学校内で拾えるコインを使うことで自販機からアイテムが買えるので危ないときは積極的に使っていこう。
学校内ではランダムで殺人鬼に追われることになるが、出現はランダムでどこで現れるか予測がつかない。そのため、できるだけ走らずに歩くことも重要だが常に逃げられるように隠れられる場所を把握しておくのも重要だ。
常につきまとう恐怖と焦り
普段なら安心できる場所にも関わらず脱出もできない。本作品はそんな恐怖だけでなく、唐突に襲い来る殺人鬼の存在があり、遭遇時にはプレイヤー自身も焦り操作にパニックをきたす。普段ならミスをしない状況でも操作を失敗し、あえなく死んでしまうこともある。まさにその部分がゲームデザインとして成功しており、平時であっても常にビクビクしてしまうだろう。
本作品のタイトルでもあるComaは昏睡状態を意味する言葉で意識障害の中でも一番重い症状である。本作品をプレイして昏睡状態に似た恐怖から逃れられるかどうかはあなたにかかっている。
だが、一番怖いのはやはり原稿の締め切りと人間の決して見えない本心ではないだろうか?
「The Coma: Recut」の推奨動作環境は?
推奨環境でもグラフィックの要件が GeForce 7900相当と、10年近く前の非常に古いグラフィックスボードとなっている。ここ数年のPCに搭載しているCPU内蔵GPUでも余裕だろう。ただ、このゲームを楽しむのであれば世界観に没入できるサウンド環境の方が必要だと思われる。密閉型のヘッドフォンを使用することを推奨する。
『The Coma: Recut』
●Devespresso Games
●1480円(2017年9月23日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows MAC
ジャンル ホラー、アドベンチャー、独立系開発会社、暴力
The Coma Copyright (C) 2017 Devespresso Games Inc. all rights reserved.
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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