家電アスキーの盛田 諒(34)です、こんにちは。今月2月に赤ちゃんが生まれて育児連載などをやっています。家電についてより育児について書くことが増えてきました。最近ではスマホゲーム「どうぶつの森」の記事も書いています。何の担当なのでしょうか。今日はベビーグッズの話です。
ベビーグッズで有名なストッケの直営店が23日、青山のショップ「AO《アオ》」にオープンしました。日本橋、横浜につづく国内3店目の直営店です。ベビーチェア「トリップトラップ」に加え、ベビーカーや抱っこひもなども取り扱いがあります。ネットなどで見かけて気になっていた人は行ってみてください。
ストッケ 青山店
東京都港区北青山3丁目17 AO《アオ》1F
営業時間11:00~20:00
お問い合わせ03-6433-5722
ストッケはノルウェー・ストッケ家が1932年にはじめたブランド。看板製品トリップトラップ発売は1972年。子どもの成長にあわせて座面の調整ができる今までになかったベビーチェア。当時は子どもが大人といっしょにテーブルを囲める椅子がまだ市場になく、革新的な製品として大ヒットしました。日本でも40年以上展開を続け、2016年には世界累計販売1000万台を突破したそうです。
1990年代に入ると、トリップトラップだけでなく、成長にあわせて形が変えられる楕円形のベビーベッド「スリーピー」、ハイシートでありながら対面式として使えるベビーカー(ストローラー)なども次々発表。現在はベビーカーや抱っこひもなどの「移動系」、ベビーチェアなどの「椅子系」、ベビーベッドなどの「寝具系」3分野の製品を展開するトータルベビーブランドに成長しました。
ベビーチェアのトリップトラップはわが家でも活躍中。座面の高さが変えられるので赤ちゃんが大きくなっても使えるのがポイント。重心が低く安定しているのが気に入っています。赤ちゃんが離乳食を食べるとき「ウギェー!」と突如初代ポケモンのような奇声をあげてエビぞりしても倒れる心配がなく安心です。
ちなみに現在は公式のクッションがほしいのですが、定番の可愛いストライプが廃盤になっていて困っています。メルカリなどで探すのですがストライプは人気があるので入手難度が高いです。三越伊勢丹限定販売したミナペルホネンのコラボクッションはメチャかわいいのですがプレミア価格がついて手が出ません。
■柔軟性は企業の武器になる
青山店オープンに際し、同社APAC(アジア太平洋)担当のラース・ミーロップ セールス・ディレクターが来日。ミーロップさんはデンマーク出身。以前フィンランドの子育てについて話を聞いたこともあり、北欧出身者が仕事と育児の両立をどう考えているか興味があり、お話を伺ってみることにしました。
ミーロップさんが初めて子どもを授かったのはシンガポール。当時はオーディオブランド バング&オルフセンでアジア地域を担当するトップでした。当然責任ある仕事ももっていましたが、合計約1ヵ月間の育休を取得したそう。理由は自分が部下たちの手本にならないといけないと感じたからだと言います。
「わたしが最年長だったので、率先して休みをとるべきではないかと思ったんです。上司が育休を取っているなら自分も取れると感じてもらえる、そういう役割として。価値とか行動を部下に見せるのが役割ではないかと思ったんです」
家事は住み込みの家政婦さんが助けてくれたため大きな苦労はなかったそうですが、実際に育休を取って「とても良かった」と感想を抱いたと言います。「家族との関係、絆が強くなりました。妻にとってもよかったと思います。わたしが育児に参加することで、妻は友達と出かけることもできました」(ミーロップさん)。
日本では男性の育休取得率が約3%とわずかで、特に1ヵ月以上の長期取得はまだまれな状況です。日本企業の性質としては、残業が多く、長期の休みが取りづらく、前例のない慣習を取り入れづらい(言い出しづらい)部分があると感じます。
ミーロップさんも「日本は環境的にまだ難しい部分があると思います」と言い、それでも日本企業は男性の育休取得に積極的になった方がいいと話します。
理由はワークライフバランスです。仕事とプライベートが昔より密につながる中、家庭の事情を伝えてもまともに取りあってくれない融通の利かない企業は将来、求職者が魅力を感じられなくなってしまうのではないかという話でした。
「電通、三菱といった大きな企業と、ストッケという小さな企業を比べたとき、若い人にとって何が魅力かという観点から考えると、融通が利くことだと思うんです。育児休業や病児休業などについて柔軟性があること。こうした価値観は北欧では普通ですが、日本企業ではなかなか当たり前と思われていませんよね」
たしかに個人的にも、保育園で子どもが熱を出してしまったとき、上司や職場に理解があったら気が楽だと感じます。年収や仕事内容が変わらなければ、より柔軟性の高い企業で働きたいと思うのは自然ではないかと感じます。育休を取ると昇進や査定に響くといったイメージもありますが、事実ランス・ミーロップさんはトップでありつづけ、ストッケでもディレクター職に就いています。
少し前までは男性の育休取得や育児参加というと“意識が高い”イメージがありましたが、共働き時代の今はそんなイメージこそが古いステレオタイプだと感じます。働き方改革など大げさなことを言わなくても、困った従業員を助けようと会社側が考えるのは自然な話です。育休だけの話ではなく、男性が育児をしながら働くことはごく普通に求めて良い労働者の権利ではないでしょうか。
とはいえ現在は日本企業が柔軟性をもつまでの過渡期にあたるという考えもできますし、ミーロップさん自身もそうなってほしいと願っているそうです。
「30年後に同じ話をしたら、今の話(柔軟性ある企業)は日本企業の話になるかもしれません。日本の社会構造そのものが子どもにとって良い環境になるといいですね」
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。0歳児の父をやっています。Facebookでおたより募集中。
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