装着し易すく、装着感も良好なオーディオストラップだが、ではオーディオの性能はどうなのだろうか。オーディオについては個人の好みや趣向性も大きいが、オーディオストラップは高音、中音、低音までよく聴こえるように設計されていて、非常にバランスの取れた音が楽しめるようだ。これは幅広い用途のユーザーに適した音の出し方を追求した結果だろう。
バランスのとれた音の出し方の場合、低音が弱く聴こえるケースが多いが、本製品は低音の出力も十分。また、音の空間性の広がりもあり、とても聞きやすい印象だ。人の声などもクリアーで聞き取りやすい。ただし、重低音の響きはやや弱めなので、FPSなどのゲームで爆発音やズンズンと響くような重低音を求める人には、重低音を重視したヘッドホンを使うと良いだろう。
試しに「Fruit Ninja VR」をオーディオストラップで体験してみたところ、日本刀でフルーツを斬った時の「グシャァッ」とした音、日本刀の切れ味を表現した「シャキィン」とした音の良さが十二分に味わうことができた。高音も低音も問題ない印象だ。むしろHMDが頭を激しく動した際でもぴったりと固定されているので、より一層楽しむことができた。
大きめのヘッドホンだと耳周りを邪魔に感じることもあるが、オーディオストラップにはそのような欠点も無い。またヘッドホンの形状がオープン型なので、長時間装着しても疲れにくく、周囲の音が聞こえるのも良い。展示会・体験会ではアテンドの指示が聞こえるためスムーズな運営が可能だ。
なお、オーディオストラップの重さは約230g。高級なヘッドホンであれば、これよりも重量のあるものも多い。ちなみに筆者の使っているヘッドホン「ソニー MDR-ZX660」は約200gと、オーディオストラップよりも少々軽い程度で、ほとんど変わらない重さだ。頭を固定するストラップヘッドバンドとヘッドホンがついて、標準的なヘッドホンとそれほど重さが変わらないのも魅力だ。
VIVEを装着してオーディオパッドを耳に当てるだけで準備が整う点も優れている。標準品では、HMDとヘッドホンを装着する手間が掛かってしまう。この手間が軽減されるのも大きな利点だ。オーディオパッドの位置を調整することが可能で、高さ調整もできる。さらにオーディオパッドを外ハネさせることができるので、簡単に装着・付け外しができる。HMDを被りながらでも位置調整が可能だ。
また、例えばヘッドホンのケーブルが頭や腕、肩の辺りに当たってしまったり、絡まったりしたことがある人も多いのではないだろうか。HMD一体型だとそういった心配も無用だ。ヘッドホンの収容スペースを新しく作る必要もない点も、特にVR体験以外のシーンでもヘッドホンを使用するユーザーにとっては喜ばれるポイントだろう。
まとめると「VIVE デラックス オーディオストラップ」は、VIVEのユーザー体験を格段に向上させる製品だ。使わない理由が無いと言ってしまっても異論は少ないだろう。それ程にオススメできる製品。まだ、標準のヘッドバンドを使っている人で、激しい動きの際に使い辛いなどの不満を抱えているなら、一度試してみてはどうだろうか。
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