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もしキリストの頬を仏陀が打ったなら 神々の格闘ゲーム「Fight of Gods」:Steam

2017年10月20日 18時00分更新

 現代日本では日付を西暦で表記する。これはキリスト教歴でもあり、キリストの生誕から数えての年と言われている。日本では皇紀と言われる年号もあり、詳しい事は省略するが南米ではマヤ暦といった多様な数え方も存在している。

 第61回はそんな宗教史と世界の神々をテーマにした格闘ゲームである「Fight of Gods」を紹介する。

 

起動時の注意書きにもあるが、本紹介記事も決して個人の信仰を貶めたり、毀損する意図は一切無い。触れる事自体がセンシティブな話題ではあるが、その点はご了承いただきたい。

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本作品は起動後にオプションから言語を日本語に変更する事で日本語字幕に対応している。また、操作はコントローラーにも対応しているので、格闘ゲームであることを考えればコントローラーを使用した方が良いだろう。

 

一発ネタで終わらせないゲーム

 悪い意味で言えば、本作品はどうしても衆目を集めてしまうゲームである。実在の宗教、ましてやそれぞれの信奉する神を直接戦わせるとなれば、なおさらであろう。だが、本作品は決してそんなネガティブイメージで売り抜けて終わってしまうような低俗な作品では無い。

使用できる神々は全員で10柱。現行宗教でいえば“キリスト”や“仏陀”、土着神では”天照大御神”や“関羽”というあまり他ではみないセレクションとなっている。

 ゲームシステムは日本でもおなじみのストリートファイターに近いシステムを取っている。弱・中・強の三段階の通常攻撃に固有の必殺技、ゲージを消費して放つ超必殺技がある。コマンド表記で斜め入力は記載がないが斜めを入れても反応するので特に気にする必要はない。

 スティックまたは十字キーで移動、コントローラーのXで弱、Yで中、Bで強攻撃、Aボタンが投げコマンドとなる。前移動を素早く二回入れることで短い距離ながらダッシュも可能だ。また、ダッシュ移動以外で距離を詰める場合はジャンプしか手段がないのだが、空中ガードが存在していないため不用意に飛び込めば強烈な一撃を受けてしまうため要注意だ。

それぞれの神や信徒のバックグラウンドに併せた背景デザインになっており。モーセは紅海の割れた海の道で対戦になる。

 そして、本作品には“神の力”と呼ばれる強力なシステムが存在する。左下ゲージの緑の部分を使用するが、攻撃ではゲージを獲得できず、相手から攻撃を受けた際にしかゲージは上昇しない。こちらもバックボーンに併せた内容となっているが、必殺技の強化やライフの回復と言った使いどころ次第では試合をひっくり返すほどの強力な物ばかりだ。ゲージが貯まった状態でコントローラーのLBボタンを押すことで発動する。

豊穣を司る女神「シヴ」、雷神トールの妻でありながら北欧神話の中ではかなりマイナー。神の力で見事な小麦畑を生成でき、畑に踏み込んだ相手の移動速度を低下させる

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トレーニングモードも実装されており、入力表示やダメージカウンターなどの設定も完備している。

 タイトルが長いので便宜上“FoG”と略させていただくが、FoGは現行の格闘ゲームに近い出来となっており、素早い通常攻撃から必殺技などを繋げていき、強烈なダメージを相手にたたき込むのが基本だが前述の空中ガードがないこともあり、読み合いが非常に重要となる。

オーディンなら、相手に必殺技の死の嵐を当てることで相手が空中に浮くのでタイミングを間違えなければ超必殺技が確定で入るが、ガードされると非常に大きな隙を相手に与えてしまう。

今後に期待する部分もあり

 だが、FoGは現在まだ完成していない。ストーリーモードもあり、一通りプレイする分には大きな問題は無い。早期アクセスではあるが、この部分は評価するべきである。

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ストーリーモードはクリアすることでキャラクター毎に使用できるスキンが解禁される。

 現状ではまだ対戦モードが完備されておらず、CPUとの対戦か同一PCでの対戦しか対応していない。だが、アップデートでネットワーク対戦の対応も既に告知されており、対応すれば賑わう可能性は大いにあるだろう。

それぞれのバックボーンを見事に表現として落とし込んでおり、制作陣がしっかりと作り込んでいるのは評価すべきポイントだ。

 モーセは迫害されていた民を導き、神の奇蹟を示し海を渡ったと言われる。本作品が格闘ゲームにおける新たな表現の導き手になるかどうかはまだ分からないが、アップデートでどうなるかは非常に注目するところである。

 また、ゲーム内で神様毎にある程度解説もあり、宗教史に興味があるなら取っ掛かりの架け橋にもなりえるだろう。例えば、日本では武将としては有名だが神格としてはあまり馴染みのない関羽であれば、中華圏では昔から商売の神様としても信奉されており、日本でも神戸や横浜の中華街や華人の多い地域では関羽を奉る関帝廟が存在している。興味があればそれぞれの宗教史などを調べてみると知見も広がるだろう。

 そういった点も踏まえ、本作品はただネタで終わるだけの作品ではないともいえるのである。

 格闘ゲーム界の新たな新星として紅海を割るか、議論を割るか、それは導き手である「Fight of Gods」の今後に期待だ。

Fight of Godsの推奨動作環境は?

 最低環境のグラフィック要件がGeForce GTX 750とあり、数年前のミドルクラスGPUでも搭載していればプレイ可能だ。しかし、推奨はGTX 970以上なので、フレーム単位で技の出し合いになる格闘ゲームだけにフレームレートが落ち込まないよう、グラフィック性能には余裕をもっておきたい。

『Fight of Gods』
●Digital Crafter
●798円(税込)(2017年9月4日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows 7以上
ジャンル Early Access アクション 2D格闘 独立系開発会社
Copyright © Digital Crafter 2017. All rights reserved. Published by PQube Limited.

■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat

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