ドイツ・ベルリンで2017年9月1日~6日に開催された「IFA 2017」では、スタートアップを中心とした新たな展示エリア「IFA Next」にフレンチテックがブースを構え、フランス発の15社が出展しました。
その中でも筆者の目を引いたのが、商品バーコードを読み取ってゴミの分別をアドバイスする「Eugène」です。どんな商品にも付いてくるバーコードを起点に、企業と消費者の双方にメリットをもたらすことを狙う大きなビジョンを描いています。
商品バーコードを読み取って分別方法をアドバイス
Eugèneの本体は商品バーコードを読み取るバーコードリーダーを備えたデバイスで、画面にゴミの分別方法を表示するのが基本的な機能です。
デバイスはやや大きいスマホ程度のサイズで、キッチンなどの壁面に両面テープで取り付けます。乾電池で1年ほど動作するため、電源コードも不要です。
ところで、Eugèneはどうやってヨーグルトのバーコードからプラスチックや金属といった素材を判別したのでしょうか。Eugèneはフランス全土のメーカーと協力して商品データベースを構築しており、WiFi経由で送信したバーコードと照合したというわけです。
バーコードリーダー自体に特別な機能は備わっていませんが、クラウド上のデータベースこそがEugèneの本質といってよいでしょう。
ポイント還元やオンライン注文で消費行動を変える
ゴミの分別に役立つ、というだけでもエコに関心の高い欧州では面白い製品です。しかしEugèneが目を付けたのは、消費者に商品のバーコードを読み取らせるという行為です。その履歴を蓄積していけば、どんな商品をどれくらいのペースで消費しているかを示す貴重なデータになるはずです。
こうしたデータを企業向けに提供していくことも、Eugèneのビジネスモデルになっているとのこと。もちろん、そこはプライバシー保護に厳しい欧州の法律に適合するよう、匿名化により個人に結びつかないことを徹底していると説明しています。
逆に消費者側に提供されるメリットが、ポイント還元です。同じ商品を繰り返し購入することでポイントが貯まり、無料で商品をもらえるなどの特典が得られます。さらに、iOSとAndroidに対応したアプリからオンラインで注文することもできます。
まずはフランスでローンチ、日本もターゲットに
もうひとつ興味深いのが、Eugèneというブランド名です。これは19世紀のパリにゴミ箱を普及させて衛生状態を改善したウジェーヌ・プベル(Eugène-René Poubelle)氏に由来しており、いまでは「プベル」が「ゴミ箱」を意味するフランス語になっているとのこと。Eugèneはそのプベル氏のファーストネームを取ったというわけです。
フランス発の企業ということもあり、まずEugèneはフランス国内で9月に端末を発売。価格は99ユーロで、キャンペーン中は79ユーロで購入できます。その後は欧州、北米への展開を計画しているとのこと。
さらにブース担当者によれば、Eugèneのターゲット市場として日本も入っているとして、「日本の消費者はリサイクルへの関心が高い。来年末にも参入を検討している」との展望を語ってくれました。
ゴミの分別は国によって大きく考え方が異なり、アメリカでは分別せずにゴミ箱へ入れることがほとんど。逆にフランスやドイツなどの欧州は、日本と同じかそれ以上に分別にこだわります。そういう意味では、アメリカより日本のほうが市場として有望かもしれません。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります