2017年の自作PC界隈を激しく動かしているのはAMDが次々と投入する新製品なのは言うまでもない。そしていよいよ8月21日、開発コードネーム“Vega”の名で知られていたハイエンドクラスのビデオカード「Radeon RX Vega 64」が発売された。
Radeonのハイエンドラインは2015年にHBM1メモリーを世界に先駆けて採用した「Radeon R9 Fury X」を最後に更新が停止。PolarisベースのRX 400および500シリーズはミドルクラス向けを想定した製品だったため、約2年にわたりRadeonのハイエンドは空前の“大空位時代”だったわけだ。
ハイエンドビデオカードが欲しいが、GeForceではなくRadeonが欲しい! とこだわっていた人にとって、今回のVegaは待ちに待った一品となるはずだ。
発売されるVega 64はリファレンスデザインのものが主となるが、リファレンスデザインでもクーラーデザインの違いで3種類(水冷1種、空冷2種)あるが、今回入手したのは一番スタンダードな空冷クーラーを搭載したモデルだ。
AMDによれば米国におけるRadeon RX Vega 64の価格は499ドルと“ハイエンドにしては安い”ことを武器にしているが、米国以外では世界規模で割高な設定になっており、日本でも税抜7万4000円前後とやや高額な値段になっているのが残念だ。
今回はVega 64のほかに、後日発売予定の準ハイエンドモデル「Radeon RX Vega 56」のリファレンスカードも入手できた。果たしてVegaはハイエンドに飢えていたRadeon派を満足させる出来なのだろうか? さまざまなベンチを通じて検証してみたい。
HBM2&Infinity Fablicをはじめ、内部は大きく変化
まず最初にVega 56/64のスペックを眺めてみよう。VegaのアーキテクチャーはGCN(明言されていないがおそらく第5世代)だが、従来のGCNベースのGPUと内部の構成を大きく変えてきている。
SP数はFury Xと同じ4096基であるため、高クロック化してメモリーをより新しいHBM2メモリーに変換しただけのようにも見えるが、Vegaは単純な数値の上下以上の改善が含まれている。以降、アーキテクチャー的な見どころをかいつまんで解説する。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
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Radeon RX Vega64
Liquid Cooled |
Radeon RX Vega64 | Radeon RX Vega56 | Radeon R9 Fury X | Radeon RX 580X | ||
開発コードネーム | Vega10 | Vega10 | Vega10 | Fuji | Polaris20 | |
製造プロセス | 14nm FinFET |
14nm FinFET |
14nm FinFET |
28nm | 14nm FinFET |
|
Compute Unit数 | 64基 | 64基 | 56基 | 64基 | 36基 | |
ストリーミング プロセッサー数 |
4096基 | 4096基 | 3586基 | 4096基 | 2304基 | |
ベースクロック | 1406MHz | 1274MHz | 1156MHz | - | 1257MHz | |
ブーストクロック | 1677MHz | 1546MHz | 1471MHz | 1050MHz | 1340MHz | |
テクスチャー ユニット数 |
256基 | 256基 | 256基 | 256基 | 144基 | |
ROP数 | 64基 | 64基 | 64基 | 64基 | 32基 | |
メモリークロック(相当) | 1890MHz? | 1890MHz | 1600MHz | 1GHz | 8GHz | |
メモリータイプ | HBM2 | HBM2 | HBM2 | HBM1 | GDDR5 | |
メモリーバス幅 | 2048bit | 2048bit | 2048bit | 4096bit | 256bit | |
メモリー搭載量 | 8GB | 8GB | 8GB | 4GB | 8GB | |
消費電力(Typical) | 345W | 295W | 210W | 275W | 185W | |
外部電源 | 8ピン×2 | 8ピン×2 | 8ピン×2 | 8ピン×2 | 8ピン |
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