植物は光と二酸化炭素を吸収し、体内中で水を分解して酸素を生み出す。これを光合成といい、地球上で人類が呼吸のために必要な酸素をまかなっている。詳しいメカニズムはおいておいても、『植物が酸素を生み出す』ということだけは理解している人は多いのではないだろうか。
そんな光合成の重要さが身にしみて分かるかもしれない第56回は、宇宙で生活空間を営むことになった複製人間たちの苦悩(?)を描く建造シミュレーション「Oxygen Not Included」を紹介しよう。
操作はマウスとキーボードのみとなっており、日本語化MODも存在している。ワークショップ(関連サイト)内からDLしてゲーム内オプションで適用するだけの簡単な仕様だ。
見た目はコミカル、中身は硬派。
舞台はアステロイド帯の地中深くに放り込まれるところから始まる。チュートリアル等もなく、唐突に始まるが、落ち着いてスペースキーを押そう。スペースキーでポーズ、WASDで視界を移動できる。
始まってすぐにできることは、穴を掘るだけしかできない。何かをつくるにも資源が必要なのだが、文字通り何も無い状態から始まるため掘り進めることで序盤に必要な資源を集めよう。右下メニューの採掘かキーボードのGで採掘場所を指定できる。
この地下空間において生き残るために行なうべきことは多く、最初に取りかからなければならないのは生活空間の確保と食糧自給である。本作では全ての資源が有限であり、生存に必須な酸素も食料も自給自足しなければならない。そして、空気中の成分は現実のように重さがあり、ゲーム内では“酸素”、“水素”、“二酸化炭素”で構成されている。複製人間が呼吸を行なえば現実と同じように二酸化炭素が吐き出され、酸素が消費される。そして、二酸化炭素は酸素より重いため下に溜まっていく。
だが、そんな地中でも、酸素を生み出す方法がある。それが“オキシライド”という物質と“緑藻”による酸素の生成だ。前者はゲーム開始時に必ず存在しているため序盤であれば酸素にはそこまで苦労しないが、時間と共に消失してしまう。後者であれば“脱酸素装置”などの生成ユニットを建設後、緑藻という素材が供給できる間は酸素を定期的に補える。
酸素の問題が解決すれば今度は食料問題だ。呼吸の概念があるように、複製人間たちは排泄も行なう。排泄を行なうためにはトイレを建造する必要があり、トイレからは汚染土が発生する。この汚染土を堆肥置き場で肥料にすることで植物を育てられるようになる。だが、植物は育つまで時間がかかるため、かなりの数を育てる必要がある。
収穫を待つ間も食料は必要となるわけだが、この食料を簡単に補える方法がある。微生物粉砕機で“マッシュバー”を作成するだけだ。水と土があれば簡単に作成できるこの食料は序盤の植物が育つまでは(食べたいかどうかは別として)耐えしのげる。
だが、複製人間たちは繊細である。泥団子を食べたくない、というのは理解できるのだが、画像では伝わりにくいが、彼らは現在の環境に対して受けるストレスによって、嘔吐物をそこら中にまき散らしたり、建造物を破壊して回ったりと大災害を起こす。必要なのは酸素と食料だけではない。彼らの生活環境こそが一番大切なものなのだ。
目指せ、ホワイトな労働環境
まことにありがたいことにASCII編集部はホワイトな労働環境である(多分)。そんな編集部のような労働環境を整えていくことがプレイヤーにとっても複製人間たちにとっても良い結果をもたらす。
まず、彼らに必要なのは安全な寝床であり、その次に必要なのはインテリアである。絵画と彫刻、そして照明がそろえば大抵は満足してくれるチョロい奴らだ。(F8を押すことで現在の装飾レベルも確認できる。緑であれば問題ない。)
だが、環境を整えても、彼らを自由に行動させるのは至難の業である。命令を行なっても、個別に命令を出せないためもの事の順番は彼らのAIが考えたとおりにしか動いてくれない。優先度があらかじめ決まっているため、その優先度の順番で行動を行なうからだ。
早期アクセスではあるが十分遊べるクオリティ
本作品の開発元のKlei Entertainmentは、キャラクターアニメーションに定評があり、過去にも「Don't Starve」(関連記事)や「Invisible, Inc.」(関連記事)といった早期アクセスを経て、しっかりとした面白い作品を完成させていることも評価が高い。そして、その両作品に共通することは「見た目に反して難易度が高い」ことにある。「Oxygen Not Included」も同様に、やや難易度が高い作品となっている。
だが、ゲームオーバーと試行錯誤を繰り返して効率を見いだすゲームスタイルはKlei Entertainmentのゲームの特徴でもあり、何度も繰り返していく内にどっぷりとゲームにハマりこんでしまう。過去の作品から見ても、今後のアップデートなども期待ができ、完成を個人的にも楽しみにしている。
彼らの生活をホワイトにするのもブラックにするのも全ては君の指示と、宇宙の機嫌次第だ。
Oxygen not includedの推奨動作環境は?
最低動作環境のグラフィックの要件がIntel HD Graphics 4600以上と、Haswell世代のCoreシリーズ以降が必要だが、CPU内蔵GPUで動く軽さだ。専用GPUを搭載しているゲーミングノートやデスクトップであれば、問題無くプレイできる。
『Oxygen not included』
●Klei Entertainment
●2480円(2017年5月19日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows 7(64ビット)以上
ジャンル Early Access サバイバル シミュレーション BaseBuilding シングルプレイヤー
Copyright Project Moon All Rights Reserved.
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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