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山口百恵、原田知世なども

麻倉推薦:ついに11.2MHzネイティブ録音曲、津軽三味線の輪郭に注目

2017年06月11日 12時00分更新

はなわちえ 津軽三味線独奏集 Vol.1
はなわちえ(ネイティヴDSD11.2録音)

 女流津軽三味線のDSD11.2MHz録音ミニアルバム。鮮明で鮮烈な津軽三味線のソロだ。センターに確実に定位し、アンビエントも浅いので、音像がダイレクトに見え、聞こえる。

 目にも止まらないバチワーク、音の立ち上がり/立ち下がりの尖鋭さ、独特の哀愁と華やぎを持つ楽器の音色が、DSD11.2MHzの広大なる表現力で確実にキャプチャーされている。DSDの良さは、音の輪郭の美しさだ。まったく強調感がないのに、ひじょうに細密な部分までエッジ感が捉えられている。世界に誇る日本の民芸の鮮烈な記録としても貴重な作品だ。

WAV:192kHz/24bit、FLAC:192kHz/24bit、DSF:5.6MHz/1bit、DSF:11.2MHz/1bit
キングレコード、e-onkyo music

ロマンス
原田知世

 原田知世のデビュー35周年記念プロジェクトの一環として、1997年1月22日にリリースされた「ロマンス」を20年後に、セルフ・カヴァー。オリジナルを別の音源で聞いた。ブラスとキックドラム、ギターサウンドとビートの明確さで聴かせる「ロマンス」。多重録音が90年代的なメタリックでポップな質感を聴かせる。それも声質がはっきりと違う声とダブルレコしている。ストリングス、ブラス、ビートの快活さと重さも特徴だった。

今回の「ロマンス[2017 Version]」も基本的な音構成は踏襲しているが、より開放的になり、ヴォーカルも軽妙になった。質感に爽快感が加わったと形容できよう。ハイレゾ的な高解像ではないが、JPOP的な凝縮感と進行の鮮やかさが音的な聴きどころだ。「愛のロケット」はブラスとエレクトリックの鋭角的なサウンドに乗って、ダブルトラックの透明な歌唱が熱く進行する。音調はハイファイではなく、中域中心の感覚。

FLAC:96kHz/24bit
Universal Classics & Jazz、e-onkyo music

デッドリイ・ドライブ【40周年記念デラックス・エディション】
伊藤銀次

 伊藤銀次のデビューアルバム『デッドリイ・ドライブ』(1977年5月25日発売)を、いま再度リミックスした。4曲目「こぬか雨」。旧ミックスは滑らかで、すべらかなヴォーカルと、まとまりがよい、都会的なバックとコーラス。ドラムスの重いビートが目立つ。

 新ミックスは21曲目「こぬか雨(2017 Re-Mix)」は冒頭のエレピの透明感が格段に上がる。旧は全体に重さを感じる質量だが、新はやや軽く、ベースの切れ味感も向上した。重奏部分でも各パートの解像感も上がっている。オーディオ的な表現ではヴェールを数枚、引きはがしたという雰囲気。ヴォーカルも輪郭が明瞭になり、体積感も増すが、透明感も増す。音像としてのその位置での安定感も格段に違う。このリミックスは大成功ではないか。

FLAC:96kHz/24bit
ワーナーミュージック・ジャパン、e-onkyo music

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