名門「ビルシュタイン」のサスペンションは
ランエボ譲りだった?!
というわけで事前の情報を整理して、ようやく運転席に腰を下ろす。システムを起動(エンジン始動ではない!)して最初に気付くのはナビゲーションシステムが一新されていること。ロックフォード・フォズゲートというアメリカ生まれのオーディオブランドが手掛けたオプションのプレミアムサウンドシステムが装着されているのはこれまで同様だが、新しいナビシステムはApple CarPlayとAndroid Autoの両方に対応したスマートフォン連携ディスプレイオーディオとなっている。
今回、Androidのスマートフォンが接続された状態で貸し出されていたおかげで、「OKグーグル」と呼びかけることで目的地設定ができた。もちろん、地図は常に最新版といえるGoogleマップなのはうれしいポイント。このコネクティビティー感は、PHEVという新しいメカニズムの走行フィールとの感覚的なマッチングも良いのは発見だった。
そう、アウトランダーPHEVは4年前に誕生したクルマだが、そのパワートレインはいまだ最先端。ハイブリッドではあるが、市街地を走行している限りは、ほぼ100%モーターだけで走行している。つまり、2016年秋に日産がローンチした新しい電動駆動システム「e-POWER」と走行感は同じなのだ。さらにいえば、アウトランダーPHEVは前後独立したモーターによる4WDなのも魅力。マニアックな話になるが、前後の駆動力をコントロールすることで直進安定性を高めたり、コーナリング性能につなげたりといったことができる。
今回のマイナーチェンジでは、おもに悪路を走るときに用いる4WDロックモードにおいて、前後モーターの駆動力制御を最適化するなどの進化をさせているという。舗装路では駆動力制御に変化はないということだが、こうした進化は改良ポイントのひとつであるシャシー性能の強化が効いているはずだ。
というのも、今回試乗したのは新設された「Sエディション」なるグレード。工場に専用ラインを用意して組み上げているというボディーは、ボディー後部を中心に全長4メートルも構造用接着剤を塗布することで剛性を高めているという。さらに黄色い筐体が印象的な世界の名品「ビルシュタイン」のショックアブソーバーを採用しているのだ。こうしたスポーティーなサスペンションといえばカッチリとした走りの反面、乗り心地が悪化するという先入観もあるが、アウトランダーPHEV Sエディションについていえば、「ビルシュタインらしいカッチリ感がありながら、チューニングサスペンションとしてはマイルド」というのが第一印象。今回、長距離ツーリングをする機会はなかったので、あくまで一時間ほど市街地を走行したのみだが、乗り心地が悪いという印象は受けなかった。
純正状態でビルシュタインのサスペンションを装備している三菱車といえば、ランサーエボリューションが思い浮かぶ。電子制御された駆動力で曲がるという点でもアウトランダーPHEVの先輩格だ。そう考えると、新設された「S エディション」というのは“アウトランダーPHEVエボリューション”にまであと一歩といえるのかもしれない。
そうした思いを強くしたのは、アウトランダーのプロジェクトマネージャーが松井孝夫さんと知ったから。古くからの三菱ファンなら、この名前に見覚えがあるだろう。全日本ラリーなどで活躍するレーシングドライバーであり、ランサーエボリューションのフットワークを仕上げてきた人物だ。その松井さんがアウトランダーの走りを磨き上げていると知れば、アウトランダーPHEVは単なるエコカーにとどまらず、ハイテク4WDマシンとして進化していくことに期待できそうだ。
「三菱アウトランダーPHEV Sエディション」の主なスペック | |
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メーカー | 三菱自動車 |
車両型式 | DLA-GG2W |
全長×全幅×全高 | 4695×1800×1710mm |
ホイールベース | 2670mm |
車両重量 | 約1900kg |
乗車定員 | 5名 |
エンジン形式 | 直列4気筒DOHC |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 87kW/4500rpm |
最大トルク | 186Nm/4500rpm |
駆動モーター定格出力 | 前25kW/後25kW |
駆動モーター最高出力 | 前60kW/後60kW |
駆動モーター最大トルク | 前137Nm/後195Nm |
駆動バッテリー | リチウムイオン電池 |
総電圧 | 300V |
総電力量 | 12kWh |
燃料消費率 | 19.2km/L (JC08モード) |
タイヤサイズ | 225/55R18 |
メーカー希望小売価格(税込) | 478万9260円 |
クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金 | 13万2000円 |
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