みなさんはお茶やジュースをどこで買っていますか? コンビニで買うという人は多いと思います。対して自動販売機(以下、自販機)はコンビニよりも少し割高になるという印象があるかもしれません。
ですが、自販機で飲料を買ってもオトクな場合があります。最近飲料メーカーが出してきている“スマホ連携自販機”はアプリを使うことで従来はなかったサービスを可能にしたもの。例えばコカ・コーラ社が今年4月にリリースした「Coke ON」という自販機連携アプリは、対象自販機で15本飲料を買うと1本飲料が無料になるというキャッシュバックサービスがあります。
計算してみると、例えば160円の飲料をクーポンでもらう場合、1本買うごとに10.66円還元されていくということになります。コンビニやスーパーではもともと自販機より安めの価格設定のため、アプリを使えば自販機のほうがオトクになるかと言ったら一概には難しいところ。とはいえ、オトクになるプラス「ポイントを貯めるといいことがある」というスタンプラリー的な楽しみもあると思いませんか。今までの自販機にはなかったものです。
コカ・コーラ社のマーケティング担当者によるとユーザーの反応も好調ということ。アスキーの食担当ナベコが話をきいてきました。
自販機アプリ実際にはどうなのか、コカ・コーラにきいてみた
●数字で成果がはっきり見えました
「Coke ON対応の自販機とそうではない自販機を比較すると、対応自販機の売り上げが数パーセント高い」と教えてくれたのは、日本コカ・コーラ マーケティング本部 IMC iマーケティング 豊浦洋祐統括部長。
自販機の売り上げは業界全体でここ近年は厳しい状況と表現されることが多いように思います。背景は、冒頭でも触れたようにコンビニの店舗数拡大が要因のひとつではないかと言われているそう。その中で、Coke ON対応の自販機の売り上げが相対的に良いのは「ビジネスとして大きな貢献」と豊浦統括部長。
どういう人がCoke ONアプリを使っているかを尋ねたところ、30歳から49歳の男性ユーザーが高い割合ということです。なんとなく、Coke ONアプリはドリンクチケットをスワイプさせる動作がおもしろかったりとスタイリッシュな印象があるので、10代の若年層のユーザーが多いのかと記者は予想していたのですが、もともと自販機を頻繁に利用する層がアプリのユーザーにも反映されたようです。
「Coke ONは我々にとって未来を担うサービスなので、当然若い層にはユーザーになっていただきたいというのは将来の展望としてはあります(豊浦氏)」
気になったのは、アプリをどう宣伝していくのかということ。新しくサービスをスタートした場合、まず多くの人に知ってもらうというのが課題になるはず。特に、すでに自販機離れをした人たちに「自販機でこんなサービスをやっている」ということを伝えるのは難しいように思えました。
コカ・コーラの場合もともとオウンドメディアに力を入れていたというのもあってウェブでのマーケティングの土台があるというのが大きく、公式SNSもフォロワーが多いためスマホを使っている層にリーチできる手段が多いということ。
今年開催したリオオリンピック2016に合わせて、日本選手が金メダルを取得した時のリツイート数に応じてコカ・コーラが当たるというCoke ONのキャンペーンを実施したところ、最高3.7万もリツイートされ若い層のユーザーの獲得にも繋がったそうです。これは大きな成果を出したウェブマーケティングとして世界的にも注目されました。
国民的なイベントであるオリンピックに合わせてキャンペーンを仕掛けるなど、コカ・コーラらしいクールな戦略が見えました。
●Coke ONは自販機専用アプリではなくする
そんなCoke ONが目指すのは「自販機専用アプリではない」ところですって。え、どういうこと?
「Coke ONのコンセプトは、我々が生活者と接点が持てるモーメント(瞬間)。買うモーメント、飲むモーメント、楽しむモーメントがCoke ONにあることで、よりオトクに、より楽しい購買体験をしてほしい。楽しむモーメントとして、自販機とは関係なく楽しめるツールも年内に追加する予定。自販機との連携のみを目的としたアプリだと、対応自販機がない地域ではダウロードする意味がないですよね。自販機が無いところでも楽しめるアプリにすることでユーザーの間口を広げ、よりアクティブにCoke ONを活用してもらいたいです(豊浦氏)」
それってつまりゲームのことでしょうか?
「開発中なのでお答えできません」と豊浦統括部長。具体的な内容こそ教えてもらえませんでしたが、スマホと自販機を連携させるための自販機専用アプリとして出てきたCoke ONはそれだけではないものに進化していくようです。
自販機の購買がアプリでオトクになるのはうれしい。加えて、単体でも楽しめるとなおさらありがたい。コカ・コーラに限らず自販機のスマホ連携サービスはスタートしてまだ間もないので、さらなる発展が期待できる面白い分野です。
LINEギフトコード、トクホ飲料に交換など各社のサービスに注目
スマホ連携自販機の取り組みをしているのはコカ・コーラだけではありません。
売上構成の中で自販機の割合が高いというダイドードリンコはコカ・コーラ社に先駆けてスマホ連携自販機サービス「Smile STAND」をリリースしています。アプリでポイントを貯められるという点ではCoke ONと一緒ですが、LINEのギフトコードに交換できたりと単純に飲料がオトクになるとは異なる特典が特徴です。
LINEギフトコードの場合、飲料の購入額と同じぶんのポイントが1800ポイント貯まると120円ぶんのLINEギフトコードに交換できます。120円は例えばLINEのクリエイターズスタンプを買える値段。LINEの有料スタンプは学生のようにお金が自由に使えない立場ではなかなか買えないと聞きます。飲料を買うきっかけになるでしょう。
あくまで抽選ですがクルーズ体験や人力車体験という豪華な景品が用意された“Smile SLOT”にもポイントが貯まれば挑戦できます。他に知育アプリ「なりきり!!ごっこランド」への課金に充当することも。飲料がオトクになるというより、普段の生活に楽しみがプラスされる仕掛けが詰まっているようです。
オープンなサービスではないですが、サントリーは健康保持の観点でオフィス・事業所内の自販機に着目した「サントリー GREEN+」を展開。こちらはポイントを貯めることでトクホ飲料がもらえるというもの。
いずれも、新しい体験であったり健康面でのメリットであったり、普通に飲料を買っただけでは得られない特典があります。あなたの通勤路に自販機があるならばスマホ連携自販機であるかチェックしてみてはどうでしょうか。
ナベコ
寅年生まれ、腹ぺこ肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。30歳になるまでにストリップを見に行きたい。Facebookやってます!
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