2016年3月に東京大学の教育用計算機システム(Educational Campus-wide Computing System、ECCS)が切り替わり、3期12年続いたMacが導入4期目となる2016年度も採用されました。過去の取材記事で紹介したように、東大ではWindowsやLinuxが稼働するマシンに比べて制限が多いMacハードウェアで、ハイパーバイザー型の仮想環境を導入してOS X El CapitanとWindows 10を動かすという、かなり特殊な運用を実現していることで注目を集めています。ワタクシはこれを、驚きと敬意を込めて「変態Mac」と呼ぶことにしています。
OS XですらMacハードウェア上で直接動かさず、わざわざ仮想環境のレイヤーを挟んでいる変態Macは、イーゲルが開発した高速動作が特徴の準パススルーのハイパーバイザー型仮想環境「vThrii Seamless Provisioning」との出合いによって誕生しました。vThriiで仮想化しているのはネットワークとストレージだけなので、フツーのMacとほとんど変わらない速度で動くのが驚きです。
技術的に素晴らしいとはいえ、vThriiはVMware vSphereやHyper-V、Xenなどとは異なり、これまで商用では導入実績が一切ない新興の仮想環境。そのvThriiが、どのようにして東京大学の教育用計算機システムとして稼働できるまでに至ったのか? その影には、2004年のMac初導入以来、東大のMacを支え続けてきたキヤノンITソリューションズの技術力がありました。
そこで今回「東大変態Mac三部作」の最終話として、東京・天王洲アイルにあるキヤノンITソリューションズに取材に行ってきました。取材を受けていただいたのは東大の変態Macの導入に深く関わった、蓮尾慎一郎氏、妹川竜雄氏、九石淳一、新井孝浩氏の4人。実際には広報担当の方と見学の方を含め、なんと6対1で取材を進めることになりました。
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