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キヤノンITSの最強文教ソリューション「in Campus Device」とは?

東大変態Macを支えるApple抜きオールジャパン体制に胸熱!

2016年06月28日 17時00分更新

ECCS2012
(iMac1321台+Windows端末0台!×ローカルデュアルブート)

 さらに4年後の2012年、Mac導入の3期目となるECCS2012では、パフォーマンスの問題からネットブートからローカルブートに変わります。また、2006年以降に登場したインテルCPUを搭載したMacは、Windowsがネイティブで動作するBoot Camp環境を備えていたので、ECCS2012ではWindows端末がなくなり、なんと1321台がオールMacに切り替わりました。このとき導入された管理ツールは、キヤノンITソリューションズの「Total Manager for Mac 2」。同社は自社の管理ツールをBoot Campに対応させたときに「Total Manager for Mac」という名称でリリースしていましたが、「Total Manager for Mac 2」はこれをベースに大規模環境に対応して操作性の向上と東大向けのカスタマイズを施した進化版です。まあ、東大は変態環境ですから、カスタマイズは必要ですよね。

 とはいえ問題もありました。1000台規模のマシンを効率よく集中管理するには、マシンの起動やシャットダウンをリモートで制御できないと話になりません。駒場、本郷、柏の3拠点に分散するMacの電源を手動でオンするのは現実的ではないですからね。しかし、Macはネットワーク経由でマシンを起動するWake on Lanには対応していないので、OS X上での起動とシャットダウンのスケジュール設定が必要でした。

MacはEFIレベルでのスケジュール設定はできないが、OS X上では「システム環境設定」アプリの「省エネルギー」タブなどで設定しておけば、シャットダウン時に起動時刻設定を書き込んでくれる

 OS Xだけ使うならこれでOKなのですが、問題になったのはBoot Camp上のWindows。そもそも、起動時刻設定はOS X、WindowsともOSの起動時にファームウェア(EFI)上から消えてしまう仕様ですが、シャットダウン時の振る舞いに違いがあったのです。具体的には、OS X はシャットダウン時に起動時刻設定をセットできますが、Windowsはセットできないためリモート制御に不向きなんです。インテルCPUを搭載しているMacは、OS XやWIndowsが起動する前にEFI(ファームウェア)が立ち上がるのですが、OS XやWindowsなどのOSに依存せず、ファームウェア上でスケジュール起動を設定することもできなかったそうです。

 そのため、ECCS2012で導入されたBoot Camp上のWindowsはメニューにあるシャットダウンの項目が無効になっており、Macハードウェアの電源をオフにする際は一度OS Xで起動し直してからシャットダウンという面倒な作業が必要だったそうです。マシンの電源をすぐにオフにできない仕様は学生には不評で、強引に電源をオフにする学生もいるなど、メンテナンスに苦慮することもあったようです。

ECCS2012に導入されたBoot Camp上のWindowsでは、Windowsでシャットダウンすると起動時刻設定がセットされない問題が発生。そのため、メニューからシャットダウン項目を選択するとWindowsは終了するものの自動的にOS Xが起動。そして、OS Xの起動完了後にシステム終了を選ばないと電源をオフにできないという荒技で対応していた。図はWindows 10標準の電源メニュー

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