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ブッキング・ドットコムの偉い人に“GENIUS”な旅バカライターが聞いたこだわり

2016年06月16日 09時00分更新

今回お話をうかがったのは、Booking.com(ブッキング・ドットコム)でチーフ・マーケティング・オフィサーを務めるPepijin Rijvers氏。

 旅行をするために仕事をしている旅バカライターの中山です。インターネットの普及でガラッと様相が変わった業界のひとつが“旅行”です。インターネット普及前の旅行というと、交通手段や宿泊、観光などがセットになった「ツアー」がメインでしたが、インターネットを使って個人で航空券や宿泊の予約をする個人旅行が増えてきています。

 これら個人旅行をさらに後押ししているのが、「OTA(オンライントラベルエージェント)」。これまでの旅行代理店のような実店舗でユーザーとのやりとりを行なうのではなく、オンラインで行なうのがポイントです。

 旅バカの自分も「OTA」を活用して旅をしています。特にお世話になっているのが、宿泊予約サイトの「Booking.com(ブッキング・ドットコム)」。今回はそのBooking.comでマーケティングを担当するPepijin Rijvers(パパイン・ライヴァース)氏に、旅バカ目線でお話を聞いてきました!

――Booking.comってそもそもどんなサービスなんですか?

Rijvers氏:Booking.comは1996年と約20年前にスタートした会社です。宿泊施設に特化していて、現在は223の国や地域、約92万軒の宿泊施設を取り扱っていて、1日で約100万泊以上の利用者がいます。日本でのサービスは2009年からスタートしていて、7年目です。

 ほかの宿泊予約サービスとの大きな違いは、一般的なホテルからゲストハウスやB&B、サービスアパートなど様々な施設が登録されていることです。中にはコテージやミニハウスなど戸建ての宿泊施設もありますので、いろいろなタイプの旅行に合わせて選べるんです!

おトクに泊まれるゲストハウスなど、多くの宿泊施設が検索できる。

――サービスアパートは私もよく使うんですが、最近Airbnb(エアービーアンドビー)とか民泊に押され気味じゃないですか?

Rijvers氏:確かに民泊の市場も広がっていますが、Booking.comのサービスと重複しているとは思いません。Booking.comでもサービスアパートを提供していますが、その地域でしっかりと許可されている部屋だけとなっています。さらに宿泊施設とのやりとりも、Booking.comが責任を持って対応しています。サービスアパートの場合、チェックイン時の鍵の受け渡しなどはホテル施設と時間を打ち合わせて行ないますが、それ以外は特にアパートオーナーとのやりとりはないです。

――トラブルがあったときもBooking.comが対処してくれるわけですね?

Rijvers氏:そのとおりです! OTAで店舗がないので、アフターサービスを心配されるユーザーもいますが、日本語対応の電話サポートを用意しています。それも24時間365日対応なので、ホテルに予約が通っていない、予約した内容と違うといったことから、先ほどのサービスアパートでの鍵の受け渡しができないといったトラブルが、たとえ夜中であっても対応できるので、安心して使っていただけます。

トラブル時はアプリからすぐに電話をかけられる。

――とはいえ海外は言葉のハードルも高くて個人手配は心配という人も多いのでは?

Rijvers氏:そうですね。そこで5月から「Booking Message」という機能を追加しました。これはBooking.com、もしくはアプリから利用できます。宿へのリクエストなどのやりとりをしたいときに使うのですが、送信する際に自動翻訳してくれるのが特徴です。日本語でメッセージを送れば、相手ホテルにはその国の言語に翻訳され、返信も自動で日本語にしてくれます。

定型文も用意されているのでわかりやすい「Booking Message」。

――やはりスマホからのユーザーが増えているんですか?

Rijvers氏:現在は2/3がPCからのアクセスで、1/3がモバイルからとなっています。スマホからのアクセスはアプリとブラウザー両方合わせた数です。この比率は年々増えていっていますね。そのため投資のほとんどがモバイル関連に投入されています。たとえば、アプリの使い勝手だったり、スマホやタブレットから閲覧したときに見やすいウェブサイトのデザインにしたりといった改良を続けています。

 さらにモバイルで旅の準備ができるようにしたいと考えています。単純に宿泊施設を予約するだけでなく、その周辺にある観光スポットやレストラン情報などを提供したり、移動手段として交通手段を手配したりといった、旅をトータル的にコーディネートできるような機能を追加していきたいなと考えています。

現在のアプリには「旅行ガイド」機能が利用でき、宿泊施設周辺の情報がチェック可能。さらにダウンロード機能があり、オフラインでも使えるのがうれしい。

――Booking.comは旅行関連のグループ企業もありますが、そことの連携などは?

Rijvers氏:確かにBooking.comはプライスライングループの一員で、レンタカーを扱っている「Rentalcars.com」やレストラン予約を扱う「OpenTable」といったグループ企業があります。ただグループ企業とコラボレーションというのは特に考えていません。というのもグループ企業も確かに素晴らしいサービスですが、それにこだわらず、より良いサービスと手を組んでユーザーにベストなサービスを提供したいからです。

――スマホの普及で予約のスタイルも変わってきていますか? 自分は最近現地に到着してからその日の宿をスマホで探すといった使い方もしていますが。

Rijvers氏:設立当初は早めの予約が多かったのですが、最近では5~6日前に予約するケースが増えてきています。おっしゃるように直前に予約するユーザーも多いですね。そういったニーズに応えるために、周辺の宿を予約する専用のアプリ「Booking Now」も用意しています。

――最近気になってるのが、取り扱っている宿のクオリティーです。サイトの説明と違っていたりといったケースがたまにあるのですが。

Rijvers氏:宿泊施設のクオリティーというのは、いちばん気にしている部分です。ただ登録件数が90万軒を超えていますし、宿泊施設それぞれの考え方ややり方もありますので、それは尊重しています。

 そこで、その宿泊施設のクオリティーが見えやすいように工夫しています。たとえば、口コミもそのひとつ。また、ユーザーからのアンケートの結果が良かった宿から先にリストアップするといった方法です。ユーザーにはクオリティーの高い宿泊施設から目に入るようになっているわけです。

――なるほど! 実は先日もBooking.comで泊まったホテルがサイトの表記とは違うサービスだったので、クレームを送ったら半日でサイトの表記が正しく書き換わってました!!

Rijvers:(笑)そうですね、そのあたりのサポート体制も迅速にできるようにしています。

宿泊後のアンケートをサービス向上に活用。

――ところで、Booking.comはポイントサービスなどがありませんが、“GENIUS”という特別ユーザーのサービスを行なってますよね?

Rijvers氏:はい。GENIUSになると、一部ホテルで10%の割り引きが受けられたり、レイトチェックアウトが無料で申請できるといったサービスが受けられるようになります。

――ずばりGENIUSにはどうすればなれるんですか?

Rijvers氏:秘密です(笑)。Booking.comからインビテーションが送られた人だけの限られたサービスになっています。ただBooking.comをたくさん利用していたければ、インビテーションが送られてくる可能性は高くなりますよ!

実は筆者はすでにGENIUS。1年ほど集中してBooking.comを使っていたら、インビテーションが送られてきた感じだ。

■関連サイト

(2016年6月16日訂正:記事初出時、“年間で約100万泊以上”としておりましたが、正しくは“1日で約100万泊以上”でした。お詫びして、訂正いたします。)

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