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生命にかかわる情報を扱う慎重さとベンチャーならではのスピードを両立させたい

医療体験を変えるベンチャー・メドレーが担うミッションとは

医療情報サービスでの”稼げる”プラットホームとは

疾患に関連した地域の病院も最新の情報で検索ができる

 メドレーには豊田氏を含む8名の医師がスタッフとして在籍しており、医師の視点から情報の精査を行えることは大きな強みだ。「情報を精査して提供するという作業はすごく地味で、ひたすら愚直に続けることが求められる。それでも情報の正確性と信頼性には徹底的にこだわり続けていきたい。最近では"このサイト(メドレー)のために病院として何かできることはないか"とわざわざ声をかけてくれるドクターも現れており、確実に我々の姿勢が評価されていると感じる」と豊田氏は語る。メドレーのアプローチに共感する医師は日々増え続けており、そのことからも「サイトとしての方向性は間違っていない」と自信をもつようになったという。

 「医師にとってもメドレーの存在が役に立っているという話を聞くこともある。日本の医師は本当にものすごく忙しくて、3カ月間休みなしで働いているというドクターも少なくない。メドレーの情報によって事前に病気を正しく理解する患者が増えると、医師の負荷を減らせるかもしれない。医師を支えることは我々のミッションの一つでもある」(豊田氏)

 一方で、ビジネスとしてサービスを提供する以上、投資家などから利益を上げることを求められることも多いはずだ。だがこれについても豊田氏は「利益を第一に考えて医療サービスの本質を曲げることがあってはならない」と言い切る。

 「我々の扱うサービスは人の生命にかかわってくる。医療の世界はマネタイズ優先で進められるほど甘いものではない。コンテンツのクオリティには自信があるが、医療情報サイトとしてのメドレーはまだ成長途上にある。改善すべき点は数多くあり、そちらにフォーカスすることは投資家にも理解してもらっている」と、現段階ではマネタイズよりもサービスの向上を優先する姿勢を明らかにしている。

 逆に言えば、医療情報サービスとして納得いくまで作りこまなければ"稼げる"プラットホームにはならないという見解だ。「広告を入れたいと言ってくれる企業や医療機関もある。病院の広告に適した良いプラットホームがないという声はよく聞くので、病院や医師の思いを反映できるような場を作りながらビジネスにつなげていく方向性も検討している」(豊田氏)

 マネタイズよりも開発を優先するからには、スタートアップらしく開発スピードを速めることをつねに意識していなければならない。「サービスのUXを考えるときはいつも、患者の頭の中で言語化できていないニーズをいかに拾い上げてガイドしていくか、そのことを中心に考えている。たとえば"頭が痛い"という症状を抱えている人がいるとして、痛みの場所(頭の前か後ろか)、痛み方(一部がズキズキ、全体に重い)、さらに年齢や性別などで可能性の高い病気は変わってくる。そこでメドレーでは、症状から可能性のある病気を表示し、さらに対応する医療機関が探せる機能も開発した。最適な情報にストレスなくたどり着けるような設計にこだわっている」

 現在のメドレーでは当初の医療のWikipedia的なあり方から、医薬品や病院など、関連する情報が厚みを増してきている。上記のような症状チェックに、さらに患者個人のデータをサイトに蓄積してひもづけていくような、よりサービスでの利点をつなぐことも想定されるが、そちらについては「現時点では考えていない。個人データの扱いは非常にセンシティブな問題なため、慎重に検討しなければいけない」(豊田氏)と個人データの蓄積やその活用には慎重な姿勢を示す。

医薬品の情報もすでにまとまりつつあり、データの連携もなされている。薬剤師による利用も多いとのことだ

 「もちろんインターネットで提供するサービスである以上、エンジニアリングには可能な限りスピードとフレキシビリティを意識して、新しい機能を実装しやすくしている。迅速な改善はスタートアップならではの強み。いまはPCのWebブラウザ上からの閲覧が中心だが、今後はスマホからのアクセスが増えることを想定して、サイトの改善を図っていく。開発のフットワークの軽さと、データを慎重に扱うことは矛盾しないと思っている」(豊田氏)

 サイトの改善にはユーザーからのフィードバックが重要だが、「現状では8:2くらいの割合で好意的なフィードバックをいただいており、非常に励みになっている。"私の医療体験が変わった"という声をいただくと本当にうれしい。"(医療情報サイトとして)不十分"などと厳しいご指摘をいただくこともあるが、そういったフィードバックも逆に身が引き締まる」と豊田氏。「2016年末には"医療情報サイトといえばメドレー"というぐらいの存在感を示していたい」と意欲を見せる。

 6月からは、Facebook Messenger上での対話形式で、症状から関連性の高い病気や対応する医療機関を探せる「症状チェッカーbot」をリリースした。チャットという身近なツールを活用することで、メドレーに気軽にアクセスするユーザの増加を目指すという。

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