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Startup Japan Tour 2015 in 宮城

海にセンサー浮かべてクラウド化 世界直結の田舎型日本ベンチャーがすごい

2016年02月09日 09時30分更新

 地方のスタートアップ文化の促進と、大企業と地方のスタートアップをつなげることを目的に2015年より全国で開催されている“Startup Japan Tour 2015 in 宮城”が仙台市の東北大学片平キャンパスで2016年1月30日に開催された。

 今までの会場では地域のスタートアップ企業が登壇し、自社サービスをプレゼンする“ピッチ”に登場したが、宮城会場では地元のスタートアップ企業に、各地で活躍する企業と交流、体感してほしいと東京、大阪、福島、広島からもスタートアップ企業が参加して、地元スタートアップ全国選抜チームとが4対4の対抗戦をするという形式で行なわれた。

 結果は数々のコンテストで受賞歴のある携帯電波の届かない山中でも地図が利用できるアプリ『YAMAP』(福岡)を開発提供するセフリが優勝、スモールオフィス向けのバックオフィス業務の統合型サービス『Bizer(バイザー)』を運営するビズグラウンド(東京)が2位に輝くなど、全国選抜チームが勝利した。

株式会社セフリ 春山慶彦代表取締役

 地元の宮城チームで3位に選ばれたのは、海の状態をクラウド化するサービスを開発するANDEX(アンデックス)だ。水温センサー、クロロフィルセンサー、硝酸塩センサー、塩分濃度センサーとネットワーク機を搭載した“ユビキタスブイ”を海の上に浮かべて、水温やよどみなど海の情報を1時間ごとにクラウドに送信。

アンデックス 三嶋順代表取締役

 専用アプリで陸にいる漁師に伝えて、今まで勘や経験に頼っていた漁に対して、データを活用しようというもの。漁場のアプリ活用、水産現場の見える化、海のビックデータ活用など水産ビジネスの展開を狙う。

 4位となった『スマートプラス』も宮城出身で、塗装業界の自動受発注システムを展開。面積の算出や適正な塗料の量など業務効率の悪さに苦労している業界の改善を狙う。図面や家自体をスマホで写真を撮るだけで塗装面積を算出、見積もりも自動で作成して塗料メーカーにワンストップで発注できる。適正な分量を注文できるため、無駄も少なくていいことづくめだ。

 1次産業やレガシーな業界など、テクノロジーを利用して業務効率を改善していくサービスははベンチャーのトレンドとなっているが、今回の出場者にも多く、今後もまだまださまざまな産業でベンチャーのサービスが生まれて活用されていきそうだ。

 ピッチに先立ち行われたパネルディスカッションでは、東京との情報格差やお金の流れなどまだまだ大きくあるその差が改めて語られたが、一方で最近は地方から多くのサービスが生まれている。その理由についてさくらインターネットの舘野正明取締役副社長は、「Web 2.0の時代にはクラウドがなかった。データセンターの活用など地方だとなかなかやりづらかったが、今はAWS、さくらのクラウドなど、東京と地方でITインフラはまったくそん色ない」と環境面の変化を示した。

さくらインターネット 舘野正明取締役副社長

 東北地方でスタートアップ支援を行なっている一般社団法人MAKOTOの竹井智宏代表理事は、地方でサービスを作成するポイントに“田舎型日本”というキーワードを挙げる。東京など交通も情報も便利な”都市型日本”とし、これは仙台駅周辺レベルまで含む。「都市の人は田舎のニーズがわからない。ニュースアプリは通勤で読むもの、田舎型日本ではクルマ通勤となるため通勤でアプリを使わないので、ソリューションが違う。さらに世界を見たら、田舎型日本に相当する地域ばかりで、地方はまだまだチャンスがある。だが、そこに気づいていないのが問題」と、地方の環境にあったサービス開発、それがそのまま世界でも通用するとした。

一般社団法人MAKOTO 竹井智宏代表理事

 次回の“Startup Japan Tour 2015 in 愛媛”は、2016年2月27日に松山市民会館にて行なわれる。

■関連サイト
Startup Japan Tour 2015

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