NTTドコモは29日、2016年3月期第3四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比1.7%増の3兆3834億6000万円、営業利益は同16.8%増の6855億500万円で増収増益。携帯事業が順調に推移し、スマートライフ領域の事業も伸長した。加藤薫社長は、「通期目標に向けて順調に回復している」として、年間目標の達成に自信を示している。
決算会見では、さらに新たな料金プランを追加し、家族で5GBのデータ容量を共有する「シェアパック5」を追加。さらに音声定額のカケホーダイライトでは、これまで選択できなかった「シェアパック10」や新たな「シェアパック5」も対象とすることで、家族全体では1人あたり月額5000円以下となる料金プランを3月1日から新設する。
主力の携帯事業では、端末販売の減少で営業収益が同321億円減の2兆7628億円だったが、通信料収入が968億円増加し、コスト削減効果も手伝って営業利益は547億円の増加となった。全体では、月々サポートの影響を含めてもプラスに転じており、これは月々サポート開始以来初だという。
純増数は前年同期比で1.4倍となる301万契約で、MNPは同9割減となる3万の転出超過まで減少し、改善傾向が継続している。新料金プランが1月28日時点で2745万契約まで伸び、「データパック」でMパック以上が選択される割合が約9割に達したほか、データ容量を1GB追加する割合も約3割と、データ利用が伸びたことも利益に貢献した。
固定回線とのセット「ドコモ光」は、累計申込数が125万件になり、モバイルへの利益にも貢献。開始当初の開通遅れで年度末180万契約の目標に対して遅れ気味だが、「引き続き努力していく」(加藤社長)考え。新料金プランの契約者増に伴い、音声ARPU(契約者当たりの月間売上高)、データARPUともに上昇基調で、これにドコモ光の収入が追加されることで、全体の総合ARPUは順調に伸びたことも奏功した。
「dマーケット」などコンテンツサービスなどスマートライフ領域は好調に推移し、利益増を牽引。前四半期に通期予想を上方修正したが、その後も順調に推移した。
LTE基地局はPREMIUM 4G基地局が1万3500局まで増えて全国825都市に拡大したほか、3つの周波数を束ねる下り最大300Mbpsサービスも全国538都市まで広げた。効率化などにより設備投資は同768億円減の3625億円まで抑制した。
総務省の新しいガイドラインに従った実効速度では、アップロード、ダウンロードともに3キャリア中最速になったことをアピールしつつ、加藤社長は「ネットワークは生き物。結果に油断することなく快適なネットワーク構築を緩めずに努力をしていきたい」と強調する。
そのほか、2月1日から自己株式の取得を開始。5000億円を上限に実施する予定で、株主還元を強化する。
加藤社長は、通期目標である利益8200億円以上に対して順調に推移している点を強調し、通信、コンテンツ、dポイントなどでの他社との連携といった事業を継続して成長させていきたい考えを示す。
新たな料金プランとなる「シェアパック5」は、昨年末の総務省による要請を受けたもので、1人月額5000円以下の料金を実現するために新設された。5GBで月額6500円となり、「カケホーダイライト」と組み合わせることで、例えば3人家族であれば1GB程度の利用で1人あたり月額4500円になる計算。とりあえず要請に応えた形だ。
まずは家族でのシェアを前提とした料金プランだが、料金を抑えてスマホへの移行、シェアパックの利用を促進したい考え。今後は利用動向の推移を見つつ、シェアパック以外の料金プランでの展開も検討していくとしている。
さらに2月からは端末販売での料金是正を目指し、月々サポートの額を順次減らしていく。販売店に対する販売奨励金の額は減らさず、通信料金から割り引く月々サポートの額を減らすことで、「実質0円」での販売を解消したい考えだ。
新端末だけでなく、旧端末も「実質0円以下は慎む意向」(同)で、総務省が定める予定の端末販売に関するガイドラインを考慮しながら端末価格をコントロールしていく。月々サポートの削減で毎月の利益はさらに改善することが見込まれるが、今後の端末販売の動向を見極めながら、利用者への利益還元を検討するとしている。
同様に総務省から求められている2年契約に関しては、自動更新は維持しつつ、解約料のかからない期間を現状の1ヵ月間から2ヵ月間に延長する。「3月ごろから開始する予定で準備している」(同)という。
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