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Google・Facebookの“お買い上げ”で残っていたものとは?

「売上を1.6倍にした人工知能」リアル店舗をウェブ化するABEJA

2016年01月29日 07時00分更新

2~3%の購買率上昇は革命的で、
ほぼ1.6倍の売り上げに

ABEJA最初の大規模導入は、2014年12月に実施した三越伊勢丹「菓遊庵」の事例。「通路のどこに商品を置いたらお客さんはどう動くのかをA/Bテストのような形で検証した。たとえば人気商品はどこにおいても売れる数は変わらないことがわかったため、通路の中に設置すると混雑の原因になるなど、具体的に改善事例につながった」(岡田代表)

 インストアの分析ではすでに1年以上の導入実績があり、知見も培われている。たとえばアパレルでは、入店から購買まで至る到達率が数%とかなり低いと言われていたが、それが改めてABEJAのシステムで実証されたという。「どうやって来店して、どのような接客の結果で購買につながったかが、それまでまったくのブラックボックスだった。KPI(事業上の目標値)として見ることもできなかった、店員の感覚に頼った“なんとなく”だったものを、明確に定量評価できるようになるのがポイント」

 データが見えることで、時間帯ごとの総来店人数から実際の接客人数での接客効率など、数字でリアル店舗の姿がわかるようになる。対応不十分な時間帯があれば店員を増やすなど、店舗だけでなくオペレーションでの改善にもつながるという。

 もともとの購買率が5%だった店舗の場合、「2~3%の上昇は革命的で、ほぼ1.6倍の売り上げになる」(岡田代表)。リアルな店舗グロースハックの効果を体感してしまった事業者の継続率はかなり高い。

 「最初のところだけ使い方を我々がご説明し、後はお客様に引き継いでもらう。入店数がわかってPOSと紐づけば、店舗でウェブのようなコンバージョン率もわかる。一度スマホで数字を見られるようになってしまうと、現場としては『ほしいよね』となってくれる」

メガネ・コンタクトレンズ・補聴器及びその関連商品を取り扱う小売専門店チェーンのビジョンメガネや、アパレルメーカーのジュンでも導入が発表されている。

 ABEJA Platformが実現するのは、リアル世界のデータマネージメントプラットホームのようなものだ。店舗内の分析ツールのプラットホームとして、カメラ、POS、CRM、さらには従業員管理までつながってくる。

 従業員の管理にはビーコンやRFID(Radio Frequency Identification:無線自動識別)が役立っている。コンシューマーの視点からみると普及に課題のあるビーコンなども、店員側が能動的に持つ場合で意味が変わってくる。「店員さんにもってもらうことが多い。画像解析は総数が取得できるものなので、引き算となるデータ(店員側の動き)があるとわかりやすい」

データの連携について、POSと直接つなぐのは難しいため、ERPやCRM経由でつなぐこと。「だいたいクラウドになってきているので、そちらからだと意外と簡単にいける。そういった部分では、米セールスフォースとも資本関係を結んでいる」(岡田代表)

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