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Google・Facebookの“お買い上げ”で残っていたものとは?

「売上を1.6倍にした人工知能」リアル店舗をウェブ化するABEJA

2016年01月29日 07時00分更新

 GoogleやFacebookが人工知能分野の先進的な企業買収を進める以前、同様の技術をビジネスに発展させるべく動いていたスタートアップが日本にあった。

 ディープラーニング(深層学習)技術の先駆者であるジェフリー・ヒントンのベンチャーをGoogleが買収したのは2013年3月。さかのぼること6カ月前、創業当初から画像処理技術やディープラーニングの研究開発・商用利用に取り組み始めていたのがABEJA(アベジャ)だ。

「投資関係者からは、IoT(Internet of Things)、人工知能、ビッグデータなどを網羅的にやっているベンチャーはうちだけだと評価していただいている。(ビッグデータ分析は)ウェブだけでなく、最終的には(リアルの)Thingsにもつながらないといけない」と語るのはABEJAの岡田陽介代表取締役CEO。

ABEJAの岡田陽介代表取締役CEO。

 2012年9月創業で現在4期目の同社主要事業は、人工知能のアプローチの1つであるディープラーニングを活用した画像解析によるインストアアナリティクスだ。

 ディープラーニングとは、人間が経験によって学習するのと同様に、コンピュータ上の人工知能が入力されたデータを経験と定義して、自ら学習して答えを導き出すコンピューティング技術。従来コンピュータでの認識が難しかった画像や音声といった抽象的な解析が得意で、さまざまな分野で利用されている。

 ABEJAでは店舗向けに、カメラで記録した映像データにディープラーニングを使った分析を用いて、顧客動向の解析データを可視化して提供。Google Analyticsがウェブサイトで行っているように、実店舗での単位時間あたりの顧客数や動きなどが解析できてしまう。

 保有する独自の技術を市場ニーズに合致させたプロダクトとして開発し商用化させている同社は、ディープランニング×インストアアナリティクス市場で世界的なアドバンテージがあるという。リアル店舗の世界をテクノロジーで最適化させる世界観をABEJAの岡田代表に聞いてみた。

リアル店舗のグロースハックを実現するための
マーケティングツールを提供

 ABEJAの主要事業は、BtoBの店舗事業者に向け販売を行っている『ABEJA Platform』というクラウドサービス。リアル店舗内のデータ取得から解析、可視化、施策の実行までを一手に行うことができるプラットホームとして2015年10月にリリースされた。すでに三越伊勢丹などの百貨店やアパレルショップ、そのほかコンビニエンスストアやドラッグストアなど大手企業を中心に100店舗以上の導入実績があるという。

 画像解析技術を活用した顧客属性推定サービス(ABEJA Demographic)や顧客行動解析サービス(ABEJA Behavior)などで取得できる情報を、フロントエンドサービス(ABEJA Dashboard)でわかりやすく可視化。さらには購買データや従業員シフトデータなどとの連携も簡単に行うことができ、店舗内のあらゆるデータを一元管理できる。

リアルタイムに収集した店舗データのサマリーを表示する店舗概要画面。来客人数、売上、購入人数、客単価、買上率など、店舗運営における重要な指標となるデータを、一目で把握できる。

来客人数、売上、買上率などの店舗データの相関性がわかる分析画面。時間毎や客層毎に傾向を比較することで、店舗の課題が浮き彫りになる。

 初期費用はゼロからで、基本は月額1万5000円から。従来あった同様のサービスと比べ、低コストで導入が簡単なうえ、わかりやすい操作画面で誰にでも容易にデータを活用した店舗改善活動ができるという。

 「店舗内にカメラを付けて、人工知能エンジンに送って、分析してダッシュボードのフロントエンドで確認できるようにするのが一連の流れ。POSやCRMとも連携できる。カメラ1台につき費用が1万5000円で、さらにAPIのつなぎ込み一口あたりで1ライセンスを付与するSaaSの仕組み。段階を追って課金していくモデル」だと岡田代表は語る。

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