2019年09月24日09時00分

アニメイトグループ社内の“天然マクロ”を駆逐したkintone

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2019年7月23日、M-SOLUTIONSは新サービス「Smart at tools for kintone」の発表にあわせたkintone活用セミナーをサイボウズ社内で開催した。前半ではSmart at tools for kintoneとともにアニメイトグループでのユーザー事例が披露された。

かゆいところに手が届くSmart at tools for kintone

 kintoneパートナーとして積極的にシステム構築やコンサルティング、プラグイン提供を手がけるM-SOLUTIONS。代表取締役社長CEO 植草 学氏に続いて登壇した営業部の大島淑夫氏は、発表されたばかりのSmart at tools for kintoneについて説明した。

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M-SOLUTIONS 営業部 大島淑夫氏

 「ビジネスを、機敏に、スマートに!」を掲げる「Smart at」は2013年から提供しているM-SOLUTIONSのサービスブランド。7月22日に発表されたSmart at tools for kintoneは、kintoneをより便利に使うためのさまざまな機能を提供する6つのサービスだ。

 具体的には、基幹システムとの連携を前提とした「Smart at tools for kintone CSV入出力」やExcelシートをkintoneに読み込むための「同 Excel入力」、複数アプリ・大量データの利用が可能な「同 BI接続」、cybozu.comのユーザーや組織を管理できる「同 ユーザー・組織管理」などで構成される。どのツールもkintoneの機能不足や弱点を絶妙にカバーし、他のツールとの連携を強化することができる。

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Smart at tools for kintoneのラインナップ

 Smart at tools for kintoneは、kintoneに多いSFA/CRM案件を前提としている。たとえば、基幹システムと取引先とのやりとりを連携させたり、見積もりからExcelに金額を出力して分析したり、BIツールで予実管理をチェックするといった機能が連携によって実現できるという。サービスは月額3~5万円で、別途初期費用20万円となっている。

 今後の予定として、kintoneアプリ単位での権限一括設定といった権限の一元管理を行なえる「Smart at tools for kintone 権限管理オプション」、簡単設定でワークフローを実現する「Smart at tools for kintone 申請パック」なども提供される。

現場で作られ、成長を遂げてしまったマクロの弊害

 ユーザーセッションの1人目は、アニメイトホールディングスの右田拓也氏。アニメイトホールディングスはアニメイトグループの経営管理を行なう持株会社で、kintoneに関しては検討中を含めて30程度の案件があるという。今回は、アニメ関係の書籍、雑誌、DVD、ゲーム、キャラクター商品などの販売を手がけるアニメイトと、企画と制作を手がけるムービックにおける事例が披露された。

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アニメイトホールディングス 右田拓也氏

 アニメイトホールディングスのシステム部は、文字通りグループ内のシステムの構築や運用を行なっており、右田氏は社内ヘルプデスクを担当している。「電話から電気工事の入り口まで、とにかく機械で困ったら、とりあえず問い合わせが来ます」(右田氏)。また、本社やスタッフからの業務改善要望に対応するためのツール選定、実装も大きな仕事だという。

 過去、アニメイトグループではシステムへの投資がそれほど重視されておらず、現場のスタッフはExcelマクロや関数を駆使して業務課題を解決していた。個人で作成したマクロがそのうち部署内の共通ツールになり、しかもどんどん発展していく傾向もあった。「マクロに作った人の名前が付き、ユーザーが愛着を抱くようになっている。だから作った人が異動したり、辞めたりしても、そのまま使われていた」(右田氏)。そして、いざマクロが使えなくなって相談に来る先は、現場の利用状況をまったく把握していないシステム部だった。

 当然、トラブルは多発する。Officeのバージョンアップで急に動かなくなったり、エラーが出たりするようになる。また、マクロのファイルをファイルサーバー上で誤削除してしまったり、業務内容が変わっても新機能が追加できなかったりする課題もあった。「天然マクロ」と呼ばれる社内スタッフ独自のマクロだけでなく、システム部で作った「養殖マクロ」もあるが、養殖マクロが現場で運用・改修されるうちに「野生化」して手が付けられなくなるトラブルもあったという。

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天然マクロ、養殖マクロなどさまざまな出自がある。野生化する養殖マクロに課題あり

 現場にトラブルをもたらすExcelの野良マクロを駆逐し、システム部として問題を解決するために導入したのがkintoneだった。「なにせExcelマクロに慣れたユーザーが使うので、高価なERPや名の知れたサブシステムでは難しい。作っては改修の繰り返しがしやすい、そして使いやすいという点で選んだのがkintone」(右田氏)とのことで、Excelマクロをkintoneで置き換えるチャレンジがスタートした。

プラグインを駆使することでExcelのようなシステムが利用促進

 右田氏は2つの具体例を披露する。1つ目はアニメイトにおける書籍購入特典の管理だ。これはイラストカードやリーフレット、ブロマイドなど、アニメイトで購入した書籍にだけ付加される特典を管理するシステムで、従来はExcelで行なっていた。これをkintoneに置き換えることで、複数ユーザーからの同時操作とクラウドでのデータ保管を実現するのが目的だ。

 導入に際しては複数のプラグインをあわせて導入した。具体的にはExcel操作を実現するためにグレープシティの「krewSheet」、帳票出力するためにソウルウェアの「Repotone U」、そして大量データの検索のためにM-SOLUTIONSの「検索拡張プラグイン」などだ。「現場から見るとExcelから“Excelっぽいなにか”に移った感じ」(右田氏)ということで、現場からも支持を受けたという。

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書籍特典の管理をkintone化

 2つ目の事例はムービックが利用しているキャラクタ商品の「制作進行管理」になる。キャラクター商品の制作は、権利を持つ版元への申請、監修、承諾といったフローを経てから発注や生産に入るため、業務プロセスが複雑であり、関係者も多くなる。この進行管理もExcelファイルで行なっていたが、複数人での同時編集やファイル破損リスク、見えない進捗、記入ルールの不在など、さまざまな問題があった。実際に業務で使われていたものの、管理された状態にはほど遠かったという。「最初はたいした機能を持っていなかったが、進化した結果“要塞化”してしまいました」(右田氏)。

 そのため、Excelのように進捗を書き込めるkintoneベースの進行表をM-SOLUTIONとともに作った。こちらもプラグインをフル活用しており、レコードの一括登録・更新にはグレープシティの「Wijimo」、帳票出力にはソウルウェアの「Repotone」、カレンダー機能にはラジカルブリッジの「カレンダーPlus」、レコード検索にはM-SOLUIONSの「検索拡張プラグイン」、そしてkintoneアカウントを持っていないユーザーにデータを公開・共有するためにトヨクモの「kViewer」を採用した。期日を迎えたタスクにアラートを挙げたり、テンプレートをトップに掲出するといった工夫も行なわれ、他部署でのkintone利用も一気に拡大しているという。

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制作進行管理のkintone化

 最後に右田氏は、kintone導入の効果により、当初のアプリケーション保守や運用のトラブルもおおむね解消し、機能追加もシステム部が実装する流れになったとまとめた。付随する効果としては、ローカルで動作していた業務フローが可視化され、業務量も把握できるようになった。なにより、システム開発の過程でシステム部と現場メンバーとの深いコミュニケーションが図られるようになった。「なぜその機能が必要なのか、どんな作業をやっているのかという深くヒアリングすることにより、現場スタッフの悩みやがんばりを知ることができた」と右田氏は語る。

 とはいえ、アニメイトグループ内でのkintoneの認知度はまだまだ低いのが現状。今後はkintoneの認知度を上げるとともに、「聞かれたら答える」ヘルプデスクを脱却してアクティブに現場の悩みを解決できる部門にしていきたいという。また、kintoneを介して、基幹システムや販売管理システムなどのデータを把握したいとも述べた。

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