2019年05月22日06時00分

スポーツ×トークンエコノミーの可能性とは?

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • Pocket
b2

 国内外のスポーツチームで、独自通貨のトークンを活用し、新たなファンの獲得や資金調達を模索する動きが始まっている。2019年3月22日に開催された「JAPAN INNOVATION DAY 2019 by ASCII STARTUP」のセッション「トークンエコノミーはスポーツ業界に新しい価値を想像できるか」では、スポーツ業界のトークンの活用方法、実現への課題についてパネルディスカッションが実施された。

 登壇者は、リアルワールドゲームス清古貴史代表取締役社長、同じくリアルワールドゲームス岡部典孝取締役CTO、90年代に浦和レッドダイヤモンズで活躍し、いまは産業能率大学でスポーツビジネスを担当する西野努氏。モデレーターは国内外のスポーツビジネスに携わり、サッカーマンガ「アオアシ」の取材・原案協力を務めるAGIスポーツマネジメント上野直彦代表取締役が務めた。

街の再発見で歩いて健康になれる、アルクコインのエコシステム

 最初に、清古氏と岡部氏から、リアルワールドゲームスの運営するアプリ「ビットにゃんたーず」の紹介と、独自のトークンエコノミー「アルクコイン」のエコシステムが解説された。

b2
ビットにゃんたーず

 リアルワールドゲームスのアプリ「ビットにゃんたーず」は、街を歩きながら道標となるスポット情報を集めるアプリだ。たとえば、小さな神社や公園、綺麗なマンホール、壁のレリーフなど、Google マップにはまだ載っていないスポットがある。「ビットにゃんたーず」は、歩きながらこれらの道標スポットの位置情報データを集め、そのお礼としてアルクコインがもらえる仕組みだ。

 道標情報を集めてもらうには、インセンティブが必要だ。“運動不足の解消”というだけでは、なかなか歩いてはくれない。「健康ポイント」などの特典を配る方法もあるが、それには財源が必要になる。

 そこで、独自のトークンエコノミー「アルクコイン」を開発し、歩いたらコインがもらえる仕組みを考案。アルクコインを使って提携しているお店の商品を購入でき、そのお店は広告費の支払いなどに使えるようにすれば、経済圏が回せる。このエコシステムの構築を実現するため、さまざまな団体、企業、投資家と提携して、トークンエコノミーを広げているところだ。

「ビットにゃんたーず」の実証実験で浮かび上がった課題と可能性

 スポーツ業界×トークンエコノミーは、数年前から国内外で動きが起きている。パネルティスカッションでは、トークンエコノミー導入の課題と可能性について議論した。

清古氏(以下、敬称略) 3月15~19日に人形町の商店街で、『ビットにゃんたーず』の実証実験を実施しました。しかし、アルクコインの説明に非常に苦労しました。商店街では、高齢の方も多く、若い方でもなかなか理解してもらいにくい。これは今後スポーツ業界でトークンを説明する際も、苦戦するだろうと予想されます。ただ、実際にウォレットを使った支払い作業はPayPayなど QRコード決済に近いUIなので、使っていくうちに慣れてもらえるのではないでしょうか。

b2
リアルワールドゲームス株式会社 清古貴史氏

岡部氏(以下、敬称略) トークンの発行に関しては、新しい独自の通貨を作ることになるため、金融庁とのやりとりが必要で、法律家の方々の総合的な知見を集めないとなかなか成立しない。

b2
リアルワールドゲームス株式会社 岡部典孝氏

 経済学的なインセンティブ設計は経済学者の方、法律は弁護士、税務は税理士の方などの力を借りなくてはいけないのは大変でした。また、仮想通貨交換業者の認可を得なければトークンの売買や交換ができない、といった規制もある。マネタイズという部分では、売買しない方法で始めなければならない、といった難しさがあります。

西野氏(以下、敬称略) トークンや仮想通貨への理解に関しては、難しいところだと思っています。スポーツ界は、経験主義的な意識が強く、意思決定層にやりたいことを理解してもらうには時間がかかるかもしれません。いちばん手っ取り早いのは、何かひとつの成功事例を見せること。どこかのクラブが分かりやすい成功事例を起こしてくると、一気に価値観が変わる気がします。

b2
産業能率大学 教授(情報マネジメント学部)西野 努氏

上野氏(以下、敬称略) 実際に世界のビッグクラブでは、すでに活用が始まっており、パリ・サンジェルマンやユヴェントスは、ファン向けの公式トークンを発行している。今年の頭にバイエルン・ミュンヘンが実施したハッカソンでもファン向けコインの発行が1位に選ばれ、すでに実装済みです。何かのきっかけに、ガラッと変わる可能性はありますね。

b2
AGIスポーツマネジメント上野直彦代表取締役

西野 Jリーグのクラブは、地域密着。『ビットにゃんたーず』のように、地域のスポット情報を集めてトークンに交換する仕組みは、Jリーグと親和性が高いと思います。

関連記事

あわせて読みたい

最新のニュース

アスキーストア人気ランキング

アクセスランキング

Like Ranking