2018年10月18日16時00分

ARMがサーバー専用の「Neoverse」を発表! インテルとの争いはサーバー分野でも

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サーバー向けに機能を追加した
新ブランドのプロセッサをArmが展開へ

 英Armは、米国で開催中の技術者向けイベント「ARM Techcon 2018」でサーバー専用プロセッサブランドとなる「Arm Neoverse(ネオバース)」を発表した。Neoverseは、クラウドやネットワークエッジなどを構成するサーバー向けのARMプロセッサである。今までもモバイルで利用されているCortex-Aシリーズをサーバーに転用した製品はあったが、あらためて別ブランドとし、今後、毎年製品をリリースし、毎回30%の性能強化と新機能の搭載を進めるロードマップを発表した。

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Neoverseは、クラウドサーバーやネットワークエッジ側であるのに対して、クライアント側にはCortexと表記されていることから、両者は別のブランドであることが推測される

 サーバーとクライアントでは、要求される性能や機能に違いがあり、同一アーキテクチャのプロセッサでも、サーバー向け/クライアント向けで別製品とすることが普通だった。

 また、Armはもともと低消費電力を武器に、モバイルや組み込み向けのプロセッサを開発してきた。その過程で、高性能なプロセッサを改良して、低消費電力のサーバーに転用した例はあった。しかし、高性能とはいえ、現行のCortex-Aシリーズは、電力効率を重視した設計でもあり、単体で高い性能を出すことは難しかった。

 これに対してNeoverseは、サーバー向けに設計されるプロセッサとなり、サーバー上での処理に対して、ある程度の性能を出すことが可能になる。Arm社は、このNeoverseで本格的にサーバー向けプロセッサに参入することになる。基調講演では、スマートフォンなどに利用されているArm CoretexとArm Neoverseが対置しており、それぞれを別ブランドとすることがうかがえる。

 ちなみに、今回はあくまで「Neoverse」というブランドで、サーバー向けプロセッサを作るという話をしただけで、具体的なプロセッサは発表されていない。ただし、現行のCortex-A72/Cortex-A75は、NeoverseのCosmos Platformとされており、現時点でもNeoverse搭載システムを開発することはできるようだ。

 Neoverseは、2021年までにAres、Zeus、Poseidonという3つのプラットフォームを開発する予定だ。

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Neoverseは、2019~2021年までのロードマップが発表され、7nmから5nmという最新の製造プロセスを採用する

 プロセッサーという表現になっていないことからも、各プラットフォームには、複数のプロセッサや構成が含まれることになると思われる。このロードマップでは世代ごとに30%の性能向上が行われ、新機能が搭載されていくことになっている。

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毎年30%の性能向上と新機能の搭載が予定されているという

 サーバーに必要なさまざまな機能を追加しつつ、今後数年で性能を向上させていくのであろう。Ares、Zeus、Poseidonは、それぞれ7nm、7nm+、5nmをターゲットにしている。つまり、最新プロセスでの製造を想定している。

 Neoverseでは、「パイプラインの長さ、幅、深度」、「SIMDの幅と深度」(Single Instruction Multi Data。1つの命令で複数のデータを同時処理する機構)、「メモリー階層」、「スレッドアーキテクチャー」、I/Oやバス、ファブリック(コア間接続のことだと思われる)などを選択することが可能だという。

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パイプライン、SIMD、メモリ階層、スレッドアーキテクチャ、バスやコア間接続などに選択の幅があるようだ。現行のCortex-Aは、ソフトウェアによるスレッドのみなので、ハードウェアによるスレッドを搭載するとなると完全に別アーキテクチャになると考えられる

Armは基本設計に注力し、
実際の製品は半導体メーカーが作るのはこれまでと同じ

 Arm社は基本設計をするだけで、実際にプロセッサを製造するのは半導体メーカーというのはこれまでと変わらない。このとき、Armはいくつかの機能をオプションとし、機能などのパラメーター(たとえばキャッシュサイズ)を可変とする。半導体メーカーは設計時に組み込むオプションやパラメーターを選択し、周辺回路などを組みあわせてSoCを製造する。

 とりあえず現時点では、クラウドサービス用のサーバーと、その手前に置かれるエッジサーバーでの利用を想定する。

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クラウドサーバーからネットワークのエッジサーバーまでを想定し、必要に応じた構成を取ることができるという

 最初はエッジサーバーからの導入になるという。Neoverseでは、複数の構成が可能になり、SoCに集積する機能なども選択の幅がある。エッジサーバー向けでは24~32コア、クラウドサーバー向けには48~96コアを想定している。

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エッジサーバーでの構成例。4×4のメッシュで最大32コア、ネットワーク、ストレージ、セキュリティーのオフロード機能を持つ周辺デバイスも予定するという
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クラウドサーバーでは、8×8のメッシュ構成で48~96CPUを想定する。CCIXによるノード間接続が可能で、マルチソケットとなる予定

 Armは、エコシステムの構築をすでに開始しており、発表時点で複数の企業がNEOVERSEに賛同しているという。

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半導体製造メーカーやクラウドサービス、システムベンダーなどからすでに賛同を得ているという

 また、オープンソースプロジェクトやLinuxディストリビューションなどもNeoverseへの対応を予定する。

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Linuxディストリビューションや各種のオープンソースプロジェクトなどもクラウドサーバー向けにNeoverseへの対応を決めているようだ

 ARM TechConは、米国時間の10月16日から3日間開催される。いまのところ基調講演でNeoverseが発表されたばかりなので、不明な点も多い。17日以降、Neoverseに関するセッションなども予定されている。今回の基調講演では、Armとしては珍しく、他社との比較を行った。「other」と書かれているが、明らかにインテルを指している。

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今年のArm TechConの基調講演では、珍しく他社(Other)との比較が見られた。これは、2017年に製造されたウェハーの枚数による比較

 サーバープロセッサーを加えたことで、Armアーキテクチャーは、クライアントからクラウドまでをカバーするプロセッサーとなった。このため、今後はインテルとの全面対決が予想される。PCで長期にわたって君臨してきたインテルと挑戦者Armの戦い、どうなるのだろうか?


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