2016年05月26日23時00分

チューリップの70年代のライブ盤を 貴重なマスター音源からDSD化

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 クリプトンは5月26日、ハイレゾ配信サイト“HQM STORE”で、チューリップのライブアルバム「LIVE!! ACT TULIP」シリーズ3作品の配信を開始すると発表した。

 フォーマットはDSD 2.8MHz、192kHz/24bitのFLACで、アルバム販売のみで価格は各2980円。なお、48kHz/24bitのApple Lossless版もあり、こちらはiOS機器向け配信サービス“HQMクラウド”で配信する。価格は1980円。

HQM Tulip
貴重なマスターテープを手にしながら当時の思い出を語る、チューリップのプロデューサー新田氏。

 1973年9月に渋谷公会堂で開催された、初の単独ライブ「LIVE!! ACT TULIP」、1976年8月の札幌・福岡公演を収めた「LIVE ACT TULIP VOL-.2」、1978年の野外ライブ録音「LIVE!! ACT TULIP Vol.3」の3作品。ちなみに1作目の「LIVE!! ACT TULIP」は、リサイタルやコンサートではなく、“ライブ”という言葉を、日本で初めてタイトルに使用したアルバムなのだという。

 1972年結成のチューリップは今年45周年。9月から全国ツアー「TULIP Memorial Tour "it remembers"」開始予定だ。そのツアーを前に、HQM STOREで独占配信する。

 シンコーミュージックが保管していた「アナログマスターテープ」を、JVC KENWOODマスタリングセンターで、新規にハイレゾ化した。エンジニアは杉本一家氏。経年劣化しているため、40度でベーキング処理したマスターテープをその日のうちに回して音源を取り込まないとヘッドに絡むなど難しさもあるという。

 DSDとPCMはそれぞれ別個にテープを回して収録。PCMは192kHz/24bitに直接変換。DSDは最初にこれよりも情報量の多い、352.8kHz/24bitのDXDファイルを作成し、そこからDSD化している。

 EQやコンプレッション処理は加えず、素材をなるべくストレートに取り込んでいるが、担当したエンジニア自身が渋谷公会堂のライブに参加した経験があり、ケーブルを始めとした様々なこだわりを込めて制作にあたったという(チューリップのプロデューサー新田和長氏)。

 発表会には、チューリップのプロデュースを一貫して担当してきた新田和長氏が登壇。東芝音楽工業時代、財津和夫氏との出会いから、当時のライブの様子や、録音手法に新しいものを多く取り入れたことなど、当時の思い出を語った。

HQM Tulip
原盤権を持つシンコーミュージックが保管していたアナログマスター。新田氏は残っていたことに驚き、同時に悪筆で有名な自分で書いたデータシートの文字が非常に丁寧で、このアルバムに対する思い入れが非常に強かったのだと改めて気づいた点にも驚いたとした。

 アルバムから1曲「心の旅」の音源をCD盤、ハイレゾ版、DSD版と順番にデモした。新田氏は、ライブ盤の音作りには2種類あり、1つはスタジオ録音的にセパレーションを確保していくものと、もう1つはライブ会場の雰囲気を重視してミックスするものだというが、本作は後者。実際に聴くと、ピアノの位置が左によっていたりと、実際の音場をそのまま生かす収録方法となっている。

 これはより生に近い音でアルバムを制作し、チューリップはライブもできるということを示したいという意図もあったようだ。

 CDに対して、PCM、DSD盤とも魅力があるとする新田氏だが、当時の印象により近いのはDSD盤だったと話す。実は心の旅は当初、作詞/作曲の財津和夫氏がメインボーカルを務める予定だったが、レコーディング直前により甘く曲の雰囲気に合った姫野達也氏に変更となった。新田氏によると、それには様々な計算があり、そのひとつはバックコーラスをきちんと聞かせるために、コーラス側に財津和夫氏の声が必要だと感じたという意図もあったそうだ。

 DSD盤ではその意図がより明確に伝わってくるという。また、吉田彰さんの弾くベースの音色もしっかり再現されいるとし、「どちらがライブの音に近いかと問われれば、DSDでしょう」とコメントした。

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