2013年10月10日23時00分

4つのフリーをかかげたドコモの狙い サービス企業への第一歩

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 10月10日、NTTドコモが新製品発表会を開催した。スマホとフィーチャーフォンの新端末に加えて、新サービスの発表をバランス良くまとめてきた印象だ。とくに認証基盤である“docomo ID”を他キャリアのユーザーにも開放し、ドコモサービスを利用できるようにする、という方針はドコモの大きな転換点となりえる発表だ。

ドコモ発表会

↑「スマートライフのパートナーとして魅力的な端末ラインナップ、あらゆる生活シーンをサポートするサービス、信頼のネットワークでスマートライフを力強く支え、生活、社会をもっとハッピーにしていきたい」とアピールする加藤薫社長。

ドコモ発表会

↑幅広いサービスを実現するための基盤を積み重ね、より良いサービスの構築を目指す。

 docomo IDは、ドコモサービスを利用するための認証基盤で、IDとパスワードを登録しておけば、さまざまなドコモサービスで別々の認証を行なわなくてもすむ。従来は携帯回線を使った認証が主流だったが、これだと契約した端末でしか利用できない。それに対して、IDとパスワード方式なら、端末を切り替えても、携帯回線がなくても、同じサービスを利用できるのがメリットだ。

 docomo ID自体は従来から提供していたが、11月13日からは本格展開として、利用できるサービスを順次拡大していく。14年3月末までに、dマーケットで提供されている主要なサービスはすべてdocomo IDをサポートし、携帯回線がない無線LANのみのタブレット端末やパソコンなどでも利用できるようにする。

 これによって「ネットワーク、デバイス、OSを気にすることなく使える」(加藤薫社長)ようになる。モバイル回線・無線LANといったさまざまな通信環境に対応する“ネットワークフリー”、タブレットやPCでも使える“デバイスフリー”、iOSやAndroidといったOSを問わずに使える“OSフリー”という3つのフリーが実現するわけだ。

 これに加えて、ドコモの回線契約を持たないユーザーでもdocomo IDを発行可能にすることで、他キャリアのユーザーでもドコモサービスを利用できるようにする。これを加藤社長は“キャリアフリー”と述べ、「新たなチャレンジ」(同)として環境を構築していく考えだ。

ドコモ発表会

↑docomo IDに4つの“フリー”という付加価値を追加する。

 現在、各社が提供しているサービスは、基本的に自社の契約者を増やすための差別化として提供しており、各キャリアのユーザーしか利用できないものが多い。ドコモでは回線契約がないユーザーにもサービスを開放することで、ユーザー規模を拡大させることが狙いだ。現在、ドコモサービスの利用者は約700万ユーザーで、これを早期に1000万ユーザーに拡大、さらに2000万を目指す、と加藤社長は話し、この2000万を達成するためには、裾野の拡大が必要だという判断だ。

ドコモ発表会 ドコモ発表会

↑docomo ID対応サービスとして、“ドコモメール”、“d fashion”、“dトラベル”、“dキッズ”を提供する。

ドコモ発表会

↑上半期のサービスの売上。

 あとは、サービス自体の魅力と利用者の確保がどれだけ図れるか、という点にかかっている。ドコモユーザーであれば、端末にプリインストールしたり、店頭で販促を行うこともできるが、他キャリアのユーザーにとっては、同じようなサービスをキャリアやほかのサービス企業が提供している場合もあり、ドコモのサービスを選択する導線が少ない。これを引きつける魅力のあるサービスやコンテンツが必要になるだろう。

 逆にドコモからMNPしたユーザーが、docomo IDをベースに“ドコモの顧客”であり続ける可能性もある。今回、ドコモメールがクラウド化し、docomo IDに対応することで、ドコモから離れても“docomo.ne.jp”というドコモドメインのメールアドレスを使い続けることができるようになる。同様に、ドコモサービスを解約せずに他社に移り、そのまま利用し続けるユーザーも出てくるとすれば、回線契約に紐付かない“ドコモの顧客”を確保することができる。

 また、docomo IDはOpenIDベースの認証基盤のため、ドコモサービス以外のアプリでも認証に利用できる。ドコモはdocomo ID用の認証アプリを用意する予定で、ドコモ以外のアプリ内から認証アプリを経由し、自サービスへログインできるようになる。複数のサービスで異なるID、パスワードを使う必要がなくなり、利便性も向上するため、今後対応サービスが増えれば、docomo IDの利用者層の拡大も狙えるだろう。IDの拡大は、サービス利用者拡大の第一歩でもあり、今後、どこまでIDを伸ばせるかは大きな鍵となるだろう。

 とはいえ、ドコモが本格的なサービス企業となるためのハードルは数多く、今回の発表はあくまで“第一歩”だ。ドコモ以外の利用者にも拡大するための今後の戦略に注目したい。

 端末に関しては、“ツートップ戦略”は影を潜め、“おすすめ機種スマートフォン”として3端末を紹介。“アドバンスドIGZOシステム”によって、従来よりもディスプレーの省エネ効果20%向上した、というシャープの『AQUOS PHONE ZETA SH-01F』。“WhiteMagicディスプレイ”によって画面の消費電力が45%削減された『ARROWS NX F-01F』、ソニーのグローバル端末Xperia Z1の基本性能を踏襲しながら小型化した『Xperia Z1 f SO-02F』のことを示し、販促費などでほかの端末よりも実質価格を低廉化して販売する方針。

ドコモ発表会

↑冬春モデルは、スマホ・タブレット11機種、WiFiルーター2機種、フィーチャーフォン2機種など、幅広くそろえた。

ドコモ発表会

↑ドコモのおすすめの3機種。

ドコモ発表会 ドコモ発表会

↑それ以外の端末も含めて、3日以上の電池持ちを達成したという5機種や、タブレットやルーターも含めた11機種が下り最大150Mbpsに対応した点もアピール。

 いずれも、“他社に先駆けていち早く”、“ドコモだけ”という差別化を図った機種をおすすめと位置づけている。ただし、加藤社長は、今回発表した11機種にiPhoneを加えた“11機種+1機種”と表現し、ツートップ戦略のような極端な販売施策はとらない模様だ。

ドコモ発表会

↑発表会には、CMキャラクターの(左から)石原さとみさん、渡辺謙さん、堀北真希さんも登場した。

 今回のドコモのラインナップでは、iPhone 5s/c、Xperia Z1、GALAXY Note 3、LG G2といったグローバル端末に加え、サムスンの日本独自企画である『GALAXY J SC-02F』や“おすすめ機種”という差別化を見込める機種を用意。タブレットやフィーチャーフォン、GALAXYシリーズと連携するスマートウォッチ『GALAXY Gear』と、バリエーションも多く、バランスの取れたラインナップをそろえたという印象。

 競争ポイントとなっているネットワークに関しては、別途説明会が設けられているため、詳細には触れられなかったが、下り最大150Mbpsの高速通信サービスを順次開始。とくに混雑エリアを中心に基地局を設置していくことで、混雑緩和を図っていく方針だ。

●関連サイト
NTTドコモ公式サイト

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