2013年05月20日18時00分

新AndroidはなぜGoogle I/Oで発表がなかったのか(石川温氏 寄稿)

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 5月15日から5月17日、アメリカのサンフランシスコで“Google I/O 2013”が開催された。

 今年は、イベントの基本に立ち返り、開発者に向けたツールの改善や今後の方向性が中心となり、製品に関するアップデートは一切なかった。

Google I/O 2013【石川温氏 寄稿】
↑Google I/O 2013が開催されたサンフランシスコ・モスコーンセンター。

 特に日本市場で関係がありそうなのは、『Googleマップ』のデザイン変更や機能強化といったところだった。コミュニケーション機能が強化された『ハングアウト』はアメリカで話題となっているが、日本ではすでにLINEなどが流行っており、どこまで普及するかは未知数と言わざるを得ない。

『Google+』では、クラウドベースによる写真の補正機能などが面白かったが、こちらも日本ではユーザーが少ないだけに、今後のユーザー増加に期待したいところだ。

Google I/O 2013【石川温氏 寄稿】
↑Googleマップでは移動時間がどれくらいかをわかりやすく表示するようになった。

 Android関連は、事前には「Androidの新バージョンである“Key Lime pie”が発表されるのではないか」、「『Nexus7』の新しい製品が出るのではないか」といった噂もあったが、一転して“何もなし”という肩すかしの結果に終わってしまった。日本から来ている記者はかなり少ないのだが、誰もが「ネタがなくて困る」とぼやいていたのが、印象的であった。

 この数日間、「なぜ、こうなったのか」といろいろと推測してみたのだが、やはり、3月にあった人事異動が大きな影響を及ぼしているものと思われる。

 ピチャイ氏はChromeとAndroidの両方を見る立場になった。

Google I/O 2013【石川温氏 寄稿】
↑AndroidとChromeを統括するスンダール・ピチャイ氏。

 外野からすると、いずれピチャイ氏がChromeとAndroidを統合する動きを見せるのではないか、とうがった見方をしたくなる。しかし、GoogleのAndorid担当者は「すでにAndroidは世界で9億もアクティベートされ、大成功を収めている。あえて、Chromeと統合する意味はない」とその可能性を否定する。

 では、ピチャイ氏が、Androidを見るようになった理由はどこにあるのか。同担当者は「ピチャイ氏は、プラットフォームをつくり上げるのに長けている。ChromeもAndroidもプラットフォームとして、さらなる成長を目指すために、一緒に見るようになったのではないか」と語る。

 ただ、プラットフォームとしては、どちらかと言えば、Androidのほうが成功を収めている印象がある。世界中のオペレーターを巻き込み、サムスンなどのメーカー陣営にも大きな影響を与え、アプリやコンテンツの流通を変えようともしている。

 プラットフォームつくりに長けているという点では、むしろ、世界的に見れば、アンディ・ルービン氏のほうが、一枚も二枚も上手のように感じる。しかし、Googleでは、ピチャイ氏をさらなる重要なポジションに据えた。

 では、一方のアンディ・ルービン氏はどうなっているのか。一説には、『Google Glass』の開発に携わっているという話もあるが、Android関係者は「彼とは長い付き合いになるが、いま、何をやっているかは知らない」という。Google内で秘密なミッションを請け負っているか、それとも、閑職に追いやられているかは謎だ。

 いずれにしても、ピチャイ氏がChromeとAndroidの両方を見ることになったというのは、Googleにとってみれば、かなりの前進だととらえることができる。

 基調講演を見ていると実感するのだが、それぞれのプレゼンが細切れになっており、全体に統一された流れというものがほとんど感じられない。

 とっかえひっかえいろんな人が出てきて、開発ツールやコンテンツ、地図や検索など、ジャンルの異なる製品をかわりばんこに喋っていく。このプレゼンは、まさに日本企業にありがちなパターンで、縦割りの組織で、横のつながりがなく、上層部でジャンルごとに語れるキーマンが存在しないという会社にありがちなプレゼン形式なのだ。

 ジャンルの異なる製品やサービスが混在していて“Googleらしいといえば”らしいのだが、やはり統一感や、Googleとしての一貫としたメッセージには欠けていような気がした。

 その点、AndroidとChromeに関しては、ピチャイ氏がまとめてプレゼンを行なうという点では、組織として、一歩前進したようにも感じられるし、やはり、今後は何かしらの統合への方向性が示される可能性もあり得るだろう。

 ちなみにAndroid次期バージョンについては、関係者にコメントを求めたが、当然のことながら、「何も答えられない」と素っ気なかった。しかし、関係者によれば「あえて、Google I/Oで発表しなくても、Androidではあれば単独のイベントも開催できるし、そもそも、発表会という形式をとらなくてもいい」と語る。

 つまり、「発表できるタイミングが来たら発表する」というわけであり、あえて無理して5月のGoogle I/Oで発表する必要もないと割り切っているようだ。

 ピチャイ氏がAndroidを見るようになり、何かしらの方向性が決まった際に、新しいAndroidが発表される可能性が高いのではないだろうか。

■関連サイト
Google I/O 2013
Google I/O GDG Japan(Google+日本人開発者コミュニティー)

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