2013年03月17日15時00分

ロボットカーは掃除しないルンバ――自律走行ロボットカーとは何か?(後編)

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 『自律走行ロボットカーを作る グラフィカル言語でFPGAプログラミング』(関連サイト:Amazon)の著者の一人で、自律走行ロボットカーを開発された長野達朗さんに、開発の経緯など、お話をうかがった。前編はこちらから↓

キッカケは知的財産の製品化プロジェクト――自律走行ロボットカーとは何か?(前編)

 

【後編】必要なハードウェア/ソフトウェアと知識

自律走行ロボットカー01

――ソフトウェアは最初からLabVIEWに決めていたのですか?

長野:Cや他の言語も使った経験はありますが、NI(当時勤務していたナショナルインスツルメンツ社)でマーケティングを担当していたからというだけではなく、扱いやすさ、とっつきやすさから選択しました。

 SEに助言を求めることはありましたが、基本的な開発は一人で行いました。

LabVIEWの画面例
自律走行ロボットカー02
NIの開発ソフトウェア『LabVIEW』。左がフロントパネルで、右がブロックダイアグラム。

自律走行ロボットカーのプログラム例
自律走行ロボットカー02

――ロボットカーの組み立ては素人でもできますか?

長野:なるべく汎用品(既成品)を組み合わせる方向で考えましたので、問題ないと思います。組み立てはワイヤーを挿してネジ止めで、微調整が必要な箇所は強力な両面テープで固定しています。

 レーザーレンジファインダから出ているケーブル(バラ線)をシングルボードRIOのシリアルポートに付ける部分だけは、半田付けしています。

――ソフトウェアで必要な知識は?

長野:入門レベルで大丈夫です。FPGAのところは少し難しいですが、それも本書を読みながらやれば問題ないはずです。

――必要なハードウェアと費用は?

長野:主なハードウェアは車体(シャーシ)、レーザーレンジファインダ、シングルボードRIO、ドーターボード、ブラシ付きDCモータ、電池です。費用はレーザーレンジファインダが高いので、十数万円です。


●自律走行ロボットカーを構成するハードウェア

自律走行ロボットカー02 自律走行ロボットカー02
ラジコンカーの車体(シャーシ) レーザーレンジファインダ

自律走行ロボットカー02 自律走行ロボットカー02
シングルボードRIO ブラシ付きDCモータ

自律走行ロボットカー02 自律走行ロボットカー02
電池 ドーターボード

――必要なソフトウェアと費用は?

長野:必要なソフトウェアはLabVIEWだけです。お持ちでなければ評価版をダウンロードしていただければ、本書の内容はすべて無料で実行可能です。

――自律走行ロボットカーと近い関連製品はありますか?

長野:よく『ルンバ』と言われますね。ルンバは掃除してくれますが、自律走行ロボットカーは掃除しないルンバのようなものです。

 そのほかに、富士重工の『室内型清掃ロボットAV-S1』(エレベーターで移動して帰ってくる)、大和ハウスの住宅床下点検ロボット『moogle(モーグル)』、東北大学の災害対応ロボット『Quince(クインス)』(半自律走行)などがあります。

――今後の開発予定について教えてください。

長野:進化版として、ドリフトを疑似体験できるロボットカーを作りました。レーザーレンジファインダの代わりにフルハイビジョンカメラを載せ、リアルタイムに画像を飛ばし、大きな画面でステアリンコントローラ、フットコントローラを使って、本当に運転している感覚を再現するものです。自律ではありませんが、モータ制御のアルゴリズムなど基本は今回のロボットカーと同じです。

 こちらでは、FPGAボードを入手性のよい『Arduino』に置き換えたものを考えています。Arduino版のドリフトするロボットカーをお台場の86(ハチロク)のイベントに出せればと思っています。

――読者へのメッセージをお願いします。

長野:昨年5月の「人とくるまのテクノロジー展」に自律走行ロボットカー(FPGA版)を出展し、「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS)に取り上げられましたが、意外と反響はあまりなかったですね。個人で作れる物には見えなかったのかもしれません。

 グラフィカルな、人間が直感的に書ける言語の世界を知っていただき、作る側にもなれることを本書で実感してもらえるとうれしいです。


自律走行ロボットカー01
著者のみなさん。左から、スワローさん、天沼さん、長野さん、塩原さん、岡田さん。

自律走行ロボットカーを作る グラフィカル言語でFPGAプログラミング(関連サイト:Amazon)
長野達朗、岡田一成、スワロー ケーシー、天沼千鶴、塩原愛 著
B5変型、224ページ、2100円(税込)
アスキー・メディアワークス刊
ISBN978-4-04-886775-7

プロフィール:長野 達朗(ながの たつろう)

株式会社プライア代表取締役。1973年、東京都生まれ。
ワシントン州立大学大学院にて博士号(物理学)を取得後、日本ナショナルインスツルメンツ株式会社に入社。
営業所長、LabVIEWの戦略マーケティングを経て独立。2012年に株式会社プライアを設立、社長に就任。
組織・グループの問題解決力の向上を支援すべく、会議やプレゼンテーションのコンサルティングを行う。独自の科学的アプローチを用いた会議支援ソフトウェアMeeting Minutes Editorは、多岐に渡る業界で受け入れられている。
別事業として、カーロボティクス研究にも携わり、製品開発も手掛ける。

●関連サイト
株式会社プライア

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