2012年02月12日18時30分

初音ミク現象を2時間で振り返る “つながる世界”イベント開催【SNOW MIKU 2012】

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SNOW MIKU 2012

 12日まで北海道・札幌にて行なわれている“第63回さっぽろ雪まつり”に合わせて、初音ミク関連のイベント“SNOW MIKU 2012”が開催された。なぜ札幌かと言えば、初音ミクを発売するクリプトン・フューチャー・メディアの本社があるから。

 3回目となる雪像展示のほか、トークイベントや限定グッズの販売など見どころが満載だ。今年はラッピングの“雪ミク電車”を走らせた札幌市電だけでなく、新千歳空港、郵便局、ファミリーマートともコラボしている。オフィシャルツアーも組まれて、道内だけでなく、全国各地からミクファンが“聖地”札幌に集まっている状況だ。

 新千歳空港の“みっくみっく”ぶりをお伝えした1回目に続き、10日夜に開かれたトーク&ライブショー『つながる世界』をレポートしていこう。ちなみにこのイベントの様子は、YouTubeを通じて全世界に配信された。

SNOW MIKU 2012

↑会場は、限定グッズの物販も行なわれたサッポロファクトリーホール。定員500名で、事前に整理券を配布。ほぼ会場中を埋め尽くすほどお客さんが来ていた。
 

話題のグーグルCM曲は3週間で生まれた

 イベントの冒頭は、トークショーの第一部で、初音ミクをモチーフにしたグーグルのテレビCMについて語られた。参加したのは以下の3人。

SNOW MIKU 2012

↑クリプトン・フューチャー・メディアの初音ミク開発責任者、佐々木渉氏。

SNOW MIKU 2012

↑楽曲を担当したkz氏。

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↑制作を手がけた博報堂のインタラクティブディレクター、本山敬一氏。

 佐々木氏は、初音ミクの発売を振り返り、「初音ミクは我々クリプトンが企画したんですが、あまり何も考えていないところも多くて、リリース後にみなさんに愛してもらえたことでいろいろなコンテンツが出てきた。容姿や声、自由度が高いボーカロイドというシンセサイザーなどの部分で、いろいろな方々がそれを拡張し、表現してくれた。音楽だけじゃなくて、絵やもっと技術的な表現などがたくさん現われた。われわれも驚いて新鮮な気持ちでとらえていた」と語る。

 CMの意図については、本山氏が「グーグルのCMは『The Web is What you Make of It』(ウェブを作るのはあなた)というテーマを元に、インターネットってすごいよねということを伝えていくキャンペーン。日本だけでなくアメリカ、フランス、イギリス、タイ、インドなどで展開している。日本でネットで起こった素晴らしい話を考えたときに、それはボーカロイドシーンだと思った」と明かしていた。

 曲作りに関しての製作期間は、3週間だったという。kzさんは「『1週間ぐらいでデモが欲しい』と言われた。でも最初の打ち合わせの時点である程度の映像が出ていて、そこからインスピレーションを得られたので3、4日である程度の形は出せた」とコメントしていた。

 CM制作で難しかった点について聞かれると、kzさんは「映像が切り替わるタイミングで音をはめていくこと」と回答。本山さんは映像の出演許諾で、「海外の方だと僕らがハイパーうさんくさく見えるみたいで、何度も何度もメールを送ってようやく返事が来た」と語っていた。
 

世界スゴい! ボカロコスのクオリティーが異常

 週刊アスキーの福岡総編集チョも出演。今回の“つながる世界”というキーワードにそって、海外に広がるボカロ文化、特にコスプレについて語っていた。

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↑福岡編集チョ。

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↑昨年9月には、中国・上海にて“初音ミクビューティーコンテスト”が開催された。日本文化の魅力を伝えるイベント“上海ジャパンウィーク2011”内で開かれたもので、コスプレをしてそのパフォーマンスを競う。今回、そのコンテストで優勝したYumiyaさんが札幌に招かれて、ステージに登場。

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↑審査員でもあった福岡総編集チョは、「男どうしでmagnetをやって、予想通りの展開になってました」と当時の様子を振り返る。

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↑現在、ルーマニアのコスプレ雑誌『COSPLAY GEN』とボーカロイドの動画を推薦しあうウェブサービス“MIKUBOOK.com”がコラボして、コスプレコンテストを開催中。

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↑応募作品の一部を披露したが……、そのクオリティーが高すぎる!! 会場が「おーっ!」と反応するのも無理はない。福岡総編集チョも「勢いというか、怨念を感じますね」とコメント。「フランスの子は日本人のように目が小さくなりたい。フィンランドの子は平均身長が高いのが悩み」と、コスプレする上でのコンプレックスにも触れていた。

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↑クリプトンが提供する音楽配信レーベル“KARENT(カレント)”では、この2、3月に海外ボカロPの配信を国内外で開始する。第一弾は、台湾のHoskeyさん、上海のLunaさん、中国のSolpieさんという3名だ。
 

中国の歌、踊り、演奏が会場をヒートアップさせる

 途中に挟まれたパフォーマンスも非常に貴重な体験だった。まず、金亜軍氏による、“揚琴(ようきん)”の演奏だ。揚琴は中国の民族楽器で、西洋のダルシマー(ピアノの祖先)にルーツをもつ。150本以上の張られた弦を、無臭ゴムが先についた竹のスティックでたたいて音を出す。

 演奏したのは『Packaged』、『炉心融解』、『裏表ラバーズ』、『ハジメテノオト』の4曲。『裏表ラバーズ』では息つく間も与えないくらいに見入る速弾きを披露。『ハジメテノオト』はBGMなしで演奏し、空間に消え行く音の繊細さを強調して叙情性をかき立てていた。客席から鳴り止まない拍手に対し、金氏は「みんな、“ようきん”な気持ちになりましたか?」とジョークを飛ばして喝采を浴びる。

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↑金亜軍氏は、上海出身で日本在住20年。揚琴歴は40年以上という。

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↑琴やチェンバロに似たその音色を、福岡編集チョは、「清楚にして妖艶。饒舌にして静謐。リンにしてレン。二つの相反するものをもってる」と評する。複雑に響く倍音を多く含むため、CDやネットでは高域が収まらずに音を再現しにくい。楽器に興味をもった人は、ぜひ生で聞いてみるべし。

 初音ミクビューティーコンテストで優勝したYumiyaさんも登場した。彼女の日本語は完璧で、冒頭で「中国から来ましたYumiyaと申します。今年17歳で、初音ミクちゃんのことが大好きです」と挨拶すると、会場からは「おーっ」という声が上がる。初音ミクのコスプレをしようと思った理由を問われると「昔からミクちゃんもコスプレも大好きだから」と答えていた。

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↑高校生で日本語を専攻しているというYumiyaさん。言わなければだれも上海から来たと気がつかないぐらい日本語が上手!

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↑『ロミオとシンデレラ』を歌った際には、「みんな盛り上がっていますかー!」と客席を煽る。『みっくみくにしてあげる』では切れのいい踊りを披露した。ちなみに筆者的には、即座にサイリウムを振って(どこから取り出したの!?)、間の手を入れる客席にも驚きを隠せなかった。
 

ミクムーブメント、日本では40代男性と10代女性が支持!?

 トークショーの第二部では、2011年の初音ミクムーブメントを振り返った。出演者は以下の4人と、福岡総編集チョ。

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↑クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役の伊藤博之氏。

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↑ボーカロイドPで『サイハテ』の作者、小林オニキス氏。

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↑“ねんどろいど”シリーズなどのフィギュアで知られるグッドスマイルカンパニー代表取締役の安藝貴範氏。

SNOW MIKU 2012

↑国内外のIT、ネットカルチャーに造詣が深いブロガーの山崎富美氏。

 最初の話題は、昨年7月、ロサンゼルスにて開催された初音ミク史上初の海外公演『MIKUNOPOLIS』だった。ゲストで呼ばれたオニキス氏は「行ってみて海外でも(初音ミクが)受け入れられていると初めて実感した」とコメント。ライブを企画をした福岡総編集チョは、「やってよかった。本当にいい経験をした」と振り返る。

 ライブは最大7100人収容という広いノキアシアターで行なわれたが、昨年3月、クリプトンの伊藤社長と福岡総編集チョが下見に行った際は、別会場を想定していたそうだ。「最初にノキアシアターに連れて行かれたけど、『これはない、こんな大きいところではできない』と思った。とにかくステージが異常に広くて、横も奥行きも30メートル」と福岡編集チョ。伊藤社長も「隣にあるクラブノキア(最大2300人)がちょうどいいんじゃないの?」と思ったという。

 アメリカでは日本のミクファンの間でも話題になったテレビCMが作られたが、その撮影場所にも2人は居合わせたという。「現実感のないロケを見ながら、『一体これは何なんだ』と思っていた。ちょうど震災後1週間の3月19日だったので、こんなことオレたちがやってていいのか、オレたちが盛り上げていかなきゃならないんじゃないかと語っていた」(伊藤社長)

MIKUNOPOLIS MIKUNOPOLIS
MIKUNOPOLIS MIKUNOPOLIS
(C)MIKUNOPOLIS 2011


 海外やSNSでの広がりも報告された。中国では、Twitterふうサービス“Weibo(ウェイボー)”で、初音ミクの公式アカウントをつくって情報を発信している。このアカウントは、半年もたたずに7万人のフォロワーを集めたそうだ。

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↑「フォロワーの男女比は男性が55パーセント、女性が45パーセント。フォロワー数の数はフォロワーが少ない人が多い。半分近くはミクをフォローするために登録した人なのでは」と伊藤社長。

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↑“パンダの里”とも言われる中国、成都で行なわれたアニメイベントで、初音ミクのステッカーを配布した。伊藤社長は「会場のコスプレイヤーは、日本といわれても違和感がないくらいクオリティーが高い」と語る。

 4月には、東日本大震災を応援するために、『ねんどろいど 初音ミク 応援Ver.』を発売。1個買われると1000円が日本赤十字に寄付される仕組みで、グッドスマイルカンパニーの安藝社長は「寄付額がもう2億円を超えている」と明かす。その売り上げの15パーセントぐらいは海外だそうだ。

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↑「普通のフィギュアは10パーセントちょっと切るぐらいだけど、ボーカロイドものは15パーセントぐらいで高い。半分はアジアで、中国の割合が高い」(安藝社長)

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↑Facebookの初音ミクアカウントは現在、36万6000「いいね!」を集める。ユーザーで多いのは、上に薄い青のグラフが伸びる女性。グラフの左右が年齢を表わしていて、左側の13~17歳女性がいちばん多いことがわかる。

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↑KARENT作品の統計データでは、国別の男女比も明らかになった。世界では10代女性が圧倒的に支えてるなか、日本では10代女性と30、40代男性という不思議な構造に。

 ここまで海外で初音ミクが認知された裏側には、2010年3月のライブを収めたDVD『ミクの日感謝祭』が動画共有サービスに違法アップロードされたことが影響しているようだ。

 伊藤社長は、「ニューヨークのアニメフェスティバル2010で初音ミクをPRしてきて、それがフックになった。その後、ミクの日感謝祭のおびただしい数の動画が共有サイトにあがっていた。それを消さなかったんです。その動画を、ウェブメディアが取り上げて広がっていったことで、一般メディアも取り上げるようになった」と振り返る。

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 海外のフォーラムで初音ミクのプレゼンをしたことがある山崎さんも「2007、2008年は、ミクを知らない人にまず刺さるのかというのをテストしていた感じだけど、2010年になると動画を知ってる人が多くなって(広まる)土台がだいぶできていた。今はグーグルのCMでうまく表現されている」とコメント。

 安藝社長も、「ミクのねんどろいど作らせていただいてヒットした際、アニメ業界の人が『あれは何だ』と質問していた。動画があがったことで説明がいらなくなった」とコメントしていた。

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SNOW MIKU 2012 SNOW MIKU 2012

↑最後にFacebookで募ったというメッセージビデオを流して、イベントは幕を閉じた。アメリカ、フランス、フィンランド、カナダ、中国など、多くの国の人々がメッセージを寄せる。

(c)Crypton Future Media, Inc.

■関連サイト
クリプトン・フューチャー・メディア
さっぽろ雪まつり
SNOW MIKU 2012
グッドスマイルカンパニー

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