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女子中高生が身体を張ってKinectゲームをプログラミング

2012年02月08日 15時30分更新

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 2月4日、女子中高生向けのプログラミング講座「Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ」が開催された。

 講座に参加したのは中学1年生から高校3年生までの17名。約3時間半でマイクロソフトのXbox用ジェスチャーコントローラー『Kinect』を活用したゲームのプログラミングを行なった。

 このイベントは、女子学生にプログラミングを通して情報分野への関心をもってもらうことを目的として開催されたもの。また、毎年行なわれている、情報分野の技能を競う世界大会『国際情報オリンピック』に参加する人材の育成も目的としている。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 女学生たちは1~2人ずつの班に分かれて、プログラミング実習を行なった。それぞれの班には、BootCampでWindows7をインストールした『MacBook Pro』と『Kinect』が配られ、どの学生もPCが当たり前の環境で育っているせいか、スムーズに使いこなしていた。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 ワークショップでは、GUI操作でコードがつくれる言語ソフト『Scratch』を使ってプログラミングする。『Scratch』は、マサチューセッツ工科大で開発された子供向けのプログラミングツールで、全世界で85万人近くのユーザーがいるという。

 操作方法は右端“ステージ”に処理したいオブジェクトを配置し、そのオブジェクトごとに左の“ブロックパレット”から処理をドラッグして、“スクリプトエリア”に配置し、組み合わせることで、テキストエディターでコードを書くのと同じようにプログラミングができる。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 GUI操作の言語ツールは、機能が絞られており使い勝手が悪いイメージもあるが、『Scratch』はひと味違う。プログラミングの基本となる、条件分岐や演算処理、キャラクターどうしの当たり判定など、キャラクターを動かす処理はもちろん、インターフェースに『Kinect』を使用したり、ネットワークプログラミングなども組むことができる高性能ツールだ。特にキャラクターを動かすことが中心のゲームプログラミングでは、このツールを使えばアクションやシューティング、パズルなど多様なジャンルのゲームがつくれそうだ。

 写真のスクリプトは、“『Kinect』で操作したモーションキャラの左手が、このバナナに触れたら、ピアノの音を0.5拍鳴らし続ける”というもの。これだけでも、IFの条件式や繰り返し処理、キャラクターどうしの当たり判定、BGMの再生処理などの機能があるのがわかる。これらの処理は“ブロックパレット”から「ずっと」や「もし」などのパーツをドラッグして組み合わせるだけでつくれる。

 今回の講師を勤めたサイバー大学の阿部和広 客員教授によれば、過去のワークショップの例を見ると『Scratch』は中高生はもちろん、小学生や幼稚園児まで使えるツールとのこと。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 ワークショップの最初は阿部客員教授による『Scratch』の使い方講座から開始。学生達は、今回初めてプログラミングにチャレンジするという子からC言語を学習したことがある実力派までレベルはさまざまだった。チュートリアルの講義では『Kinect』でモーション操作を体験。身体の動きがそのままディスプレー上の“ステージ”に再現される様子にどの学生も興味津々。チュートリアルが終わるころには、どの学生も『Scratch』を使いこなしていた。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 チュートリアルの次は学生達によるオリジナルゲームの制作。各自さまざまなアイデアを出して独自のゲームをつくっていた。ツールが使いやすく、考え方も理解しやすいためか、3時間後にはどの班もゲームが完成。『Kinect』を使ったプログラミングでは、テストプレーの課程で自分が動いて動作を試さなければならないため、後半ではどの班も『Kinect』に向かって手を振ったり、身体を動かしたりと、普通ではなかなか見られないデバッグ作業の光景となった。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 各班ゲーム完成後には、学生達自身が各班のゲームをプレーして最もおもしろいと思ったゲームに投票するコンテストが行なわれた。優勝したのは中3と高3のペアチームがつくった『パーティーに遅れちゃう』というゲーム。

 ゲームのルールは、『Kinect』を操作すると動くネコで、画面上で動いている帽子と蝶ネクタイをひろって装着するというもの。ドラゴンに接触すると帽子と蝶ネクタイが外れてしまうので、ドラゴンに当たらないように動かさなければならない。

 キャラクターを自動的に動かす処理や、『Kinect』で動かすキャラの頭部の座標を指定してネコにアイテムをうまく装着するなど、大人でも組むのがめんどうな処理が多く使われており、学生達の応用力の高さに驚かされた。

女子中高生向けのプログラミング講座“Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミング・ワークショップ”が開催された。

 優勝した班は実際に『Kinect』を使って、プレーデモを行なった。学生の手の動きと画面上のネコキャラの動きが連動しているのがわかる。

 現在、日本からの『国際情報オリンピック』への出場者の多くは男性が占めている。今回のイベントでは、すべての学生が当たり前のようにPCを使いこなし、学習が難しいプログラミングの考え方を短時間であっという間に習得してい様子を目の当たりにした。もしかすると、この参加者の中から『国際情報オリンピック』に出場し、世界の舞台に立つ女性が出てくるかもしれない。

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