2012年02月05日10時00分

スーパーボウル XLVI (3) キャデラックCTS-Vでインディをめぐる!

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 スーパーボウルに限らず、米国での取材では移動手段としてのクルマが重要だ。週アスでは今回、その移動手段として GM の最新鋭ラグジュアリースポーツセダン『キャデラックCTS-V』をお借りすることができた。

 キャデラックCTS-Vは、6200ccのV8エンジンを備えたハイパフォーマンスなスポーツセダン。その流麗なボディラインは随所にアメ車らしさを感じさせつつも、日本やヨーロッパの街なかでも過剰に自己主張することのない、控えめなマッシブさを秘めている。

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色はバーガンディ、いかにもアメ車の高級車といった雰囲気をまとう。少し厚めのフロント部にアメ車らしさが残るが、全体的に今風の流麗なデザインだ。

 その雰囲気は、フットボールにたとえればストロングセーフティ(SF)のよう。ラインマンのような巨大さやラインバッカーのような無骨さとは異なり、ときにはレシーバーを追い詰め、ときには RB を正面から仕留める SF のような、筋肉質なアスリートぶりを感じさせる。

ほどよいサイズが街なかのドライブにぴったり

 第46回スーパーボウルの開催地インディアナポリスは、モータースポーツにとってはひとつの聖地。「Racing Capital of the World」と称せられる『インディアナポリス・モーター・スピードウェイ』は、世界3大レースに数えられる『インディ500』の開催地として世界中にその名を知られている。

 我々はそのスピードウェイに向け、キャデラックCTS-Vを走らせてみた。スピードウェイは意外にもハイウェイからは数マイル離れたところにあり、ダウンタウンからは住宅地の中を抜けてアクセスすることになる。

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スピードウェイのホームストレッチをバックに。日本車とも欧州車とも異なるデザインながら、適度なマッシブさを主張するアメ車らしさも併せ持つ。

 途中の道は決して広くない。カーブも多く、路面にはところどころバンピーなところも。米国取材ではミニバンに乗る機会も多いが、機動性に欠けるミニバンだと、このような道路状況では快適な移動は難しいだろう。

 それがキャデラックCTS-Vだと、全長4870mm×全幅1850mmというほどよいサイズが、街なかのドライブにも相性がよい。このサイズなら日本の市街地を走るときも不便さを感じることはないはずだ。実際、ホテルの地下駐車場で空いているスロットに入れるときも、余計な切り返しをすることなくスムーズに駐車することができた。

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インディアナポリス・モーター・スピードウェイの電光掲示板をバックにキャデラック CTS-V。GM は15年連続でインディ500のペースカーを務めている。

少し重めな操作感が快適なドライブを生む

 エンジン音は極めて静粛。もちろん、ぐっとアクセルを踏み込んで加速すればそれなりのサウンドを聴かせてくれるが、その音はむしろ「パワーを出している」という明確なメッセージとなって伝わってくるため、キビキビとしたドライブをアシストしてくれる。

 いっぽうで市街地やハイウェイを流して走っているときは実におだやか。4人乗車で街の様子を見ながらしゃべっていても、相手の言葉を聞き返すことがない静けさは、セダンらしさを感じさせる。その静けさは時速65マイルのハイウェイでも、変わることがない。おかげで片道30分程度の移動時でも、退屈することなくおしゃべりを楽しめた。

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シートはレカロを装備。電動式で、日本人体型の記者でも最適のポジションを簡単に得ることができた。足元はシンプルで広々。穴あきのペダルに、スポーツセダンとしてのスパルタンな自己主張を感じる。

 運転していて感じるのは、全体的に少し重めなフィール。アクセルやブレーキは、日本車の気分で踏み込むと一瞬「アレッ?」と思うかもしれない。だがその重さにはすぐに慣れるし、ひとたび踏み込んだときの加速度や制動力を味わえば、むしろこの重さが必要だということに気づくだろう。

 記者はもともとクルマに酔いやすい体質のため、自分で運転するときでも、ショーファーのような滑らかなブレーキにこだわっている。余計な G を感じないように滑らかに減速し、止まる瞬間にはわずかのカックンも感じないよう微妙にブレーキを抜く。その心がけが酔わないドライブに繋がるのだ。

 だがクルマによっては制動力にこだわるあまり、まるで空荷のトラックのようなカックンブレーキになりがちなことも。これも慣れで対応できなくはないが、ブレーキのタッチを自分のものにするには、実際のところけっこうな時間がかかるものだ。

 それがこの CTS-V では、適度に重めなブレーキのおかげで滑らかが減速が可能。重めとは言っても、踏み応えのないスポンジーなものとは別次元の話で、踏めば踏んだだけキッチリと効いてくれる確かさを感じさせる。ある時点から急に効き始めるというカックンぶりとは当然無縁なのだ。

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メーターは3連式。エンジンをかけると一瞬だけすべての針が振り切れる演出が頼もしい。スピード計には目盛りの内側にLEDが埋め込まれ、針の動きに追随。視認性を高めているのだ。

 それでいてその気になって踏み込めば、伊ブレンボ製の4輪ベンチレーテッドディスクが、確実な制動で速度を抑えてくれる。ハイウェイではブラインドカーブの先に渋滞があるなど、けっこうなスピードからぐっとブレーキを踏む機会も多いのだが、CTS-V ではそんな場面でも余裕を持って対処することができた。

 実際、米国のハイウェイでは、出口によってはいきなり急カーブになっていることもある。今回も時速65マイル制限の本線からいきなり25マイル制限のループに入る出口を通過したが、25マイル制限の看板が見えてからのブレーキングでも、足元がバタつくことなくスムーズに減速したのが印象的だった。

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19インチのアルミホイールに、中に見えるのは6キャリパーのブレンボ製ベンチレーテッドディスクブレーキ。ハイウェイ出口の急カーブでも安心の制動力を発揮してくれる。

カーナビだけではない充実した装備

 街なかにあるスピードウェイを目指すには、カーナビはぜひほしいところ。キャデラックCTS-Vではダッシュボードに格納された画面が垂直に競りあがり、運転中でも見やすいほどよい位置でカーナビを確認しながらドライブすることができる。

 アメ車の場合、不自然な低さにナビが置かれていることが多いが、このキャデラック CTS-V ならその心配はない。おかげで初めて訪れたインディアナポリスでも、一切道に迷うことなく、最短距離で目的地にたどり着くことができた。

 またこのカーナビは、バック時にはリアモニターになる。米国では駐車場で鼻から入れるのがふつうなため、意外にバックの機会は多い。いつもは冷や冷やしながらバックしていたが、リアビューカメラの映像で後ろが空いていることを確認しながら後退するのはこんなに楽なのかと、あらためて実感した次第だ。

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センターコンソールの上部には格納式のカーナビが。エンジンを切るとスーッと下がり、入れるとまたせり上がるのが楽しい。ちなみにラジオ選曲の画面にしておくと、曲名が表示されるのだ。米国のラジオにはそんな機能があるんですね。

 ヘッドライトはアメ車ではおなじみの自動感知式で、地下駐車場に乗り入れると自動で明るくなるのはうれしい。また、あまりにスムーズなため運転中は気づかなかったのだが、ハンドルの切れ角に合わせて照射範囲をシフトするシステムも装備。街灯の少ない米国では夜間、駐車場の出入りなどで前方が見えにくいこともあるのだが、CTS-V だとそれが気にならなかった。地味だが嬉しい装備だ。

 同様の自動感知はワイパーにも装備。ワイパーの操作レバーは通常通りあるのだが、雨の強さに応じて自動的に回数を増やす機能は初体験。これが意外に便利なのだ。2月のインディアナポリスには珍しく雨の振った今週末、ワイパーを使う機会が多いのでその便利さを実感的だ。

 地味にうれしいのが、本皮巻のステアリングホイールだ。記者はわりと手汗をかくほうのため、つるつるしたプラスチッキーなハンドルは苦手。それが本皮巻だと手にピタッと吸い付く手触りのおかげで、スムーズなハンドル操作が可能になる。皮といってもいろいろ種類はあるが、スエードっぽい手触りは汗かきさんにはオススメだろう。

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スイッチ類が機能的にまとめられたコックピット。ここだけ見るとアメ車っぽく見えないかも。このまま右ハンドル化して日本市場に投入してくれると嬉しいのだが。

デザイン性の高さが気になることも

 さて、ここまで良い点を列挙してきたが、もちろん気になる点もある。

 たとえば室内のデザインだ。同乗者が指摘していたが、助手席に乗り込む際に、ダッシュボードの端に脚をぶつけやすいそう。この部分はドアの内側に連なる丸いカーブを描いているため、ドアを開けた状態では少々出っ張った感じになる。身長 170cm の筆者では気づかなかったが、180cm サイズの人だとぶつけてしまうこともあるそうだ。

 運転中に気になったのは、パワーウィンドーのスイッチ。ふつうの感覚よりかなり下の位置に置かれており、しかも他のスイッチ類と並んでいるため、自分で目視しないと目的の窓を開けられなかった。今回のようにホテルの駐車場に出し入れする機会が多いと、気になってしまう。

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低めの位置に装備されているパワーウインドーのスイッチ。ご覧の通り座面より低い位置にあり、慣れないうちは操作が難しい。ちょうどハンドルの陰になっているが、ダッシュボードとドアが接するところは、ドアを開けたときには少し出っ張った形になり、脚をぶつけることも。

 自分のクルマとして長く乗っていれば慣れるのかもしれないが、3日間程度のドライブではまだまだ慣れた印象はない。ただ、その位置にあるおかげでうっかり触ってしまうことはなく、誤動作の心配がないという点も指摘しておきたい。

 ほかに気になったのは、収納の少なさ。とくに運転席と助手席のあいだにある物入れが小さく、一眼レフはともかくペットボトルを入れるのも難しい。完全なスポーツカーならいたしかたないが、セダンタイプであればもう少し、運転席周りに収納力がほしいところだ。

複数でのドライブには実に快適

 ともあれ、今日で CTS-V でのドライブは3日目になるが、街なかの移動やハイウェイでの移動、郊外のレストランやホテルの駐車場への出し入れなど、様々な場面で CTS-V は快適な移動環境を提供してくれている。

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インディアナポリス・モーター・スピードウェイの象徴ともいえるコントロールタワーの“パゴダ”を借景に。アメ車が映える風景だ。

 今回のスーパーボウルはダウンタウンにスタジアムもイベントも、そしてホテルも集中しているため、渋滞は相当なもの。しかも中心部は一部の道路を封鎖しているので、相当な迂回路を余儀なくされる。おかげで2分の道のりに15分かかったりするのだが、快適なドライブのおかげでさほどの苦痛を感じることもなく、街の様子を冷やかしながら渋滞を楽しむことができた。

 アメ車、とくにキャデラックといえばデカイというイメージだが、CTS-V は全長4870mm×全幅1850mmで、これはレクサスの GS450 や BMW 5シリーズとほぼ同サイズ。日本でも問題なく乗りこなせる大きさだ。米国ではラグジュアリーブランドとして絶対的な存在感を持つキャデラック。その名前を所有してみるのも一興ではないだろうか。

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フロントマスクにはもちろん、おなじみのキャデラックのエンブレム。デトロイトを拓いたフランス人探検家、アントワーヌ・ド・ラ・モス・キャデラックの紋章をモチーフにしている。

●関連サイト
キャデラック CTS-V セダン

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