2011年12月27日07時00分

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

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 既報の通り、編集部に突如届けられた『Core i7-3820』(3.6GHz)。Sandy Bridge-Eの中では初の4コア製品かつ最安価となるCore i7-3820(以下、3820)だが、性能面ではどんなものか気になっている読者も多いはず。

 今回はSandy Bridge-Eの特徴が出てくるベンチマークを中心に性能をテスト。比較対象として、今人気の6コア版Sandy Bridge-E『Core i7-3930K』(3.2GHz)、そしてLGA1155版Sandy Bridgeの最速モデル『Core i7-2700K』(3.5GHz)を用意した。

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

 まずは3つのCPUの仕様を簡単に比較すると、3820はCore i7-2700K(以下、2700K)に対して、Turbo Boost時の最高クロックは同じだが、定格クロックでは100MHz、3次キャッシュメモリー(2700Kではラストレベルキャッシュ)は2MB多い。また、3820のメインメモリーの理論上データ転送速度は2700Kの最高2倍になり、PCIエクスプレスのレーン数も24レーン多い。

 対してCore i7-3930K(以下、3930K)と3820を比較すると、コア数は3930Kが2コア多く、3次キャッシュメモリーも2MB増える。ただし逆に、3980は3930Kよりも定格クロックで400MHz高く、Turbo Boost時の最高クロックも100MHz高い。つまり、Turbo Boost時こそ差が接近するものの、動作クロックは3820のほうが高いというのがおもしろい。

■検証パーツ

●LGA2011環境
マザーボード:ASUSTeK『P9X79 PRO』(Intel X79)
CPUクーラー:Intel『RTS2011AC』(空冷)


●LGA1155環境
マザーボード:ASRock『Z68 Extreme4 Gen3』(Intel Z68)
CPUクーラー:『Core i7-2700K BOX』付属物


●共通
メモリー:UMAX『Cetus QCD3-16GB-1600OC』(4GB×4)※マザーボード側のXMP設定を使用
グラフィックボード:ASUSTeK『ENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5』(GeForce GTX580)
SSD:Crucial『Crucial m4 CT128M4SSD2』(SATA3、128GB)
光学ドライブ:LGエレクトロニクス『GGC-H20N』(BD-R/RE)
電源ユニット:ENERMAX『Platimax EPM750AWT』(750W、80PLUS PLATINUM)
OS:Windows7 Home Premium(64ビット)

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

 まずはMaxon『CINEBENCH R11.5』で、CPUの演算性能を比較してみた。このテストは周辺環境にあまり影響を受けずにCPUの演算性能を測れ、さらにキャッシュメモリー容量やマルチスレッドへの対応度が高いため、CPU性能の目安としやすい。今回は、CPUの地力を測るフルスレッド動作時と、1コアのポテンシャルを見るために1スレッド動作時を比較した。

 フルレスレッド動作時の結果は3820が2700Kに対して1ランク高いスコアーとなった。これはキャッシュメモリー容量の増加や、メモリーの4チャンネル同時アクセスが効いたものだろう。

 対して1スレッド動作時は、3820と2700Kが同等で3930Kがやや遅いという結果。この条件ではCPUが必要とする時間あたりのデータ量が少なくなり(1スレッドぶんのデータだけでよいため)、キャッシュメモリーの容量とメモリーの速度差が性能に影響せず、Turbo Boost時のクロックが支配的になるからだ。

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

 続いて、Electronic Artsの最新FPSゲーム『バトルフィールド3』で3D性能比較。テスト用グラボはGeForce GTX580、最高画質で解像度別に計測した。“GOING HUNTING”と“COMRADES”のステージ冒頭にある自動でゲームが進むシーンで、開始から2分間の平均フレームレート(fps)を比べた。

 こちらの結果は、ひと言でまとめると大きくは変わらなかった。3930Kが1fpsほど上回る場合もあるが、2700Kでもほぼ60fps超えとなり、十分快適にゲームを楽しめるレベルだ。

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

 ゲーム性能比較2タイトル目は、CPU性能が影響しやすいゲームテストとして、『バイオハザード5ベンチマーク』を選んだ。アンチエイリアシング設定が無効の状態で、CPUのコア数やキャッシュメモリー容量がフレームレートにどの程度影響を与えるか、解像度を変えて2パターン計測した。

 結果はやはり3820が2700Kより1ランク高く、3930Kはほか2つを大きくリードしている。ゲームプレー自体の快適度は60fps以上であればオーケーなので、どのCPUでも十分なのだが、「ゲームタイトルによっては、CPU性能でフレームレートが格段に上がる」という点は重要だ。

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

 さらにGeForce GTX580をもう1枚用意し、SLI環境でのテスト。『バトルフィールド3』COMRADESステージで、速度を測定した。これは主に、3820と2700KでのPCIエクスプレスのレーン数がゲームのフレームレートに影響を与えるかを見るテストだ。Sandy Bridge-Eでは2枚のグラボが両方とも16レーン(×16+×16)接続となるが、2700Kでは両方が8レーン(×8+×8)となる。

 フルHD解像度、最高画質の状態では約3fpsだけSandy Bridge-E勢が有利になった。ただし、シリアスなFPSゲーマーにとっては、この3fpsは意外と大きな差だ。

 グラボの負荷を下げるために解像度と画質を下げた設定では3D性能差はさらに大きくなり、3930Kの優位が見えてくる。こちらは実際のプレー環境とは離れた“テストのためのテスト”に近いが、条件によってはこれぐらいの性能差が出る、という参考にしてほしい。

ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!
ゲーマーのi7-2700K買いに“待った” 注目のCore i7-3820をベンチマーク!!

 最後にシステム全体の消費電力とCPUコア温度もチェック。ただし、Sandy Bridge-Eと2700KはマザーボードとCPUクーラーが異なるため、あくまで参考に留めてほしい。

 消費電力はサンワサプライのワットチェッカー『TAP-TST5』で測定。アイドル時はウィンドウズ起動から5分後の値と、ほぼCPUにのみ超高負荷をかける『OCCT 4.0』でのCPUテスト時の値を比較した。

 注目してほしいのが、OCCTにおける3820と3930Kの比較。CPUコア数が3930Kの3分の2になる3820だが、消費電力もほぼ比例して下がることがわかる。マザーボードは違うものの、2700Kと比べても消費電力はさほど大きくないと言えそうだ。

 CPUコア温度もアイドル時はウィンドウズ起動から5分後の値と、OCCT 4.0で15分間CPUテストを実行した状態での最高値を比較した。ここでも注目は3820が3930Kに比べて大きく温度が下がっていること。やはりこれはコア数の違いが直結しているものと考えられそうだ。

結論:3820は2700K+αの性能で安価にX79をフルに楽しめるCPU

 ここまで簡単にベンチ結果をまとめてみたが、3820は3930Kに対してはコア数で一線を引かれながら、2700Kとはきちんとミドルレンジとハイエンドのクラス性能差をキープしているという印象がある。Sandy Bridge-Eを最初にテストしたときも思ったのだが、今のインテルはこのあたりの性能差のバランス感覚が悔しいぐらいに上手だ。

 また、3820は3930Kよりも扱いやすいと感じた点がある。実は3930Kとインテル純正空冷CPUクーラー『RTS2011AC』を組み合わせた場合、OCCTを連続実行するとCPUクーラーが3930Kの発熱を処理しきれず、3.3GHzの定格クロックまで下がり、6コア動作時のTurbo Boost最高値である3.6GHzを維持できない。

 対して3820では冷却能力に余裕が出てくるため、4コア動作時のTurbo Boostの最高値である3.7GHzから下がらなかった。つまり、OCCT動作時のような超高負荷状態でも、性能を落とすことなく安全に運用できるということだ。

 6コア版のような圧倒的なパワーこそないものの、体感速度は十二分に速い(なんたってLGA1155版最速CPUより速いのだ)。2700Kとの価格差も、発売するころにはおそらく、CPUクーラー『RTS2011AC』(1500円前後)を入れても3000~5000円程度で落ちつくだろう。X79マザーボードも製品によっては実売価格が2万2000円前後と、LGA1155版マザーの高価な部類に対抗できるレベルになりつつある。

 そして、Sandy Bridge-EとX79という“設計にお金のかかったプラットフォーム”ならではの高機能は3820でも十分に味わえる。オーバークロックではSandy Bridgeではほぼ伸び悩むベースクロック設定ができるのも奥が深いし、メモリースロット8基のマザーも選べる。

 ということでこの3820、「自作PCは、やっぱり触っていて楽しいパーツで組んでこそナンボでしょ!!」という方には、強く“アリ”と言いたい。いわゆるストロングバイものだと思った次第だ。

 特にこれからi7-2600Kや2700KでゲーミングPCを組もうという方は、LGA1155に高価なマザーを組み合わせるよりは、3820と安いX79マザーの方が間違いなく幸せになれると思う。発売までは間があるのだが、ぜひ3820での自作を検討してみてほしい。

 

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