上品な加速と、快適な乗り心地
そんな「グランカングー クルール」を走らせてみました。パワートレインは、1333㏄の4気筒ガソリン・ターボ・エンジンに7速EDCを組み合わせたFF駆動。最高出力こそ96kW(131馬力)しかありませんが、トルクは最大240Nmもあります。街中の走りではパワー不足は感じません。特に低速では、力強い加速感が得られます。
また意外だったのは、ツインクラッチの7速EDCが、非常に滑らかに変速することです。4気筒エンジンの振動も少なく、上品に加速してゆきます。
ハンドリングは、直進性優先の安定感があるもの。足回りは硬めで、フラットな乗り心地です。エアの多い205/60R16サイズで、しかも柔らかいオールシーズンタイヤを履いていることもあり、振動やショックがうまく緩和されています。同乗する家族も乗り心地に満足してくれることでしょう。
なお、試乗は高速道路のロングラン中心にしたところ、その実燃費は15~16km/L程度。ほぼカタログ燃費通りの燃費性能でした。このサイズにしてはかなり優秀です。
ひとつ気になったのがブレーキのフィーリングです。踏んでいくと、あるところから制動力が急に強まります(慣れないとカックンブレーキになりやすい)。重い荷物を積むことを想定してのセッティングかもしれませんが、ある程度の慣れが必要です。
商用車ベースならではの良いところと悪いところ
「グランカングー クルール」は、本国フランスでは、商用車にも使われています。そのため商用車ならではの良いところと悪いところがあります。
良いところは、収納の多さです。運転席メーター上の収納や、サンバイザー部の棚があることは商用車由来ならではの部分です。2列目と3列目のシートを外すことができるのも商用車らしい良い部分です。シートの座面が広く、しっかりしていて、運転席と助手席だけでなく、2列目と3列目シートなど、すべての座席で座り心地が良いのは、商用車というよりも、フランス車ならではの美点と言えるでしょう。
一方で悪い部分は、便利機能の少なさです。日本車の高級ミニバンにあるような便利機能は、ほとんどついていません。スライドドアの電動開閉機能や、シートヒーター、ブレーキホールド機能、アラウンドビューモニター、デジタルルームミラーといった装備品は用意されていないのです。
また、運転席のメーターは10インチのデジタルメーターと最新式ですが、インフォテインメント系は8インチと、ちょっと小さめです。ナビ機能のない、いわゆるディスプレイオーディオで、Apple CarPlayもしくはAndroid Autoの利用が前提となります。
ただ、個人的には中途半端なカーナビをアップデートしながら使うより、スマートフォン主体と割り切る、ディスプレイオーディオの方が今風かなと思います。
【まとめ】フランスらしさを愛せる人に
「グランカングー クルール」を一言で表現するなら、非常に個性の強いクルマです。見た目は、無塗装の黒いバンパーと黒いホイールが主張するように商用車そのもの。高級感とは程遠いものです。また、スライドドアの開閉は手動になっているように、便利な機能は日本車のミニバンのようについていません。
一方で、フランス車らしい安定感のある走りと快適な乗り心地は大きな魅力となります。ある意味、そんなフランス車らしい部分に惚れることのできる人だけが「グランカングー クルール」のオーナーになれるのでしょう。
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