第268回
皆川亮二・たかしげ宙の『スプリガン』が、ただの空想冒険アクション漫画にならなかった理由【Amazonマンガ週末祭】
2026年09月12日 17時00分更新
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9月第2週(9月11~13日)の「Amazonマンガ週末祭」は、「懐かしの2000年代作品」特集。対象作品が全巻50%ポイント還元セールです。その中から、今回は、漫画・皆川亮二センセイ、原作・たかしげ宙センセイの『スプリガン』をご紹介。
映画のワンシーンから始まった物語
『スプリガン』の原点は、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》》』のラストシーンだったそうです。聖櫃が巨大な倉庫へ運び込まれ、無数の木箱の中へ消えていく、あの場面。原作のたかしげ宙センセイはそこを見て、
「もし、ここにあるものが全部危険な遺物だったら?」
と考えました。
そこから生まれたのが、超古代文明の危険な遺産を封印する組織「アーカム」と、その特殊工作員「スプリガン」です。導入としてはかなり分かりやすく、安直にも思えますが、そこからオリジナルの物語に仕上げていくのがプロの仕事です。
とはいえ、『スプリガン』が面白いのは、作画担当の皆川亮二センセイ側のアイデアまでどんどん取り込んでいったことです。クレジットだけを見ると、たかしげセンセイが世界を作り、皆川センセイが絵にしたと思いがちですが、実際はそんなにきれいな分業ではなかったようです。
当時の皆川センセイは『朝まで生テレビ!』などを見ながら、世の中に対してかなり怒っており、政治、軍事、環境、学歴社会などについて、かなり尖った意見を持っていたとのこと。
その皆川センセイが、「今の世の中にあるこの問題はまじめにどうにかしないといかん。この問題をストーリーに入れよう」と持ち込み、たかしげセンセイがそれを物語として組み立てていくということが結構あったのだとか。
その結果、『スプリガン』は単なる「世界の遺跡を巡ってオーパーツを回収する冒険漫画」だけに留まらず、超古代文明の遺産を巡って、国家や軍隊や巨大組織が欲望をむき出しにし、その裏には当時の社会への苛立ちまで盛り込まれ、ある種突拍子もないフィクションの立て付けでありながら、現実と地続きな物語へと昇華されていきました。
『レイダース』の倉庫シーンから着想を得た漫画に、若き漫画家の世間への怒りまで詰め込み、これだけの極上の冒険アクションエンターテイメントに仕上げるのですから、やっぱりプロはすごいです。
ストーリー設定もいいけど、なんといっても登場人物たちの能力バトルが最高に面白い!
スプリガン〔保存版〕
皆川亮二 (著) 、たかしげ宙 (原作)
全8巻(完結)
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