第890回
Samsung「SF2P」の全貌! GAA最大の弱点であるPMOS性能低下を克服し、TSMC追撃へ準備万端
2026年08月24日 12時00分更新
都合8回ほど2026 VLSIシンポジウムの内容を説明してきたが、最後にSamsungの"A Product-Oriented 3rd-Generation 2nm GAA Platform Technology with Enhanced Speed and Power Efficiency across Nanosheets"(TFS 2.3)の内容を解説したい。これは同社のSF2Pプロセスに関する説明である。
背水の陣で挑む2nm改良版「SF2P」
ロードマップの遅れを取り戻すSamsungの戦略
Samsungの量産前のプロセスについてはこれまで何度か取り上げてきたが、量産プロセスのロードマップは連載728回でSF3に絡んで少し紹介しただけなので、まずはロードマップのアップデートから始めよう。資料はやや古めで恐縮だが、下の画像が2024年のSFF(Samsung Foundry Forum)で公開されたロードマップである。
2024年のSFFで公開されたロードマップ。FinFETはSF4Aが最後である。SF4UはSF4Pに対してOptical Shrinkを掛けたプロセスになるはずだったが、現在の同社のラインナップには掲載されていないあたり、顧客が見つからなかったのかもしれない
2025年にSF2がリリースされ、2026年にはこの改良型のSF2P、SP2Xが投入、2027年にはSF2AとSF2Zが追加される。さらにその2027年にはSF1.4も予定されていた。そのSF2世代の詳細が下の画像である。
こうしたロードマップがそのまま行かなかった、という話は連載884回の冒頭で説明した通り。2025年のSF2の歩留まりが極めて低く、Samsungが自社のExynos 2600に採用した程度で顧客が付かなかった。ただこれを改良したSF2Pでは大幅に歩留まりが向上したこともあり、現在TSMCのN2の生産量を獲得できなかった顧客を中心に評価が進んでいると報じられている。
で、これも884回で説明したように、SF2Pの歩留まり改善に向けて全リソースを投入した関係で、SF1.4に関しては一時期開発が完全にストップしており、6月から再開したもののSF1.4の量産開始は2029年、SF1.4+の量産開始は2030年に伸びたと目されている。
またSF1.4が後ろにずれた事を受け、SF2Pの改良型としてSF2P+なるプロセスを用意しているという報道もあるが、こちらは真偽のほどがよくわからない。
ということで現在同社が前面に押し出しているのがSF2Pなわけだが、TFS 2.3ではまさにこのSF2Pに関しての説明が行なわれた。
まずSamsungのGAAの基本的な特徴として、特性の変更をナノシートの厚みを変えることで実装している。このあたりはシートの数を変えて特性を変更しているTSMCとの違いである。
GAAはナノシートの厚みを変えることで特性を変更する。以前はかたくなにMBCFET(Multi-Bridge Channel FET)と呼称していたのに、最近はGAAで通すようになったのは、やはりGAAの方が通りがいいからだろうか?
SF2Pの特徴をまとめたのが下の画像となる。大きな違いはセルの構造で、SF2ではナノシートの厚みに中間的なもの(ワイドとナローの間)が追加されたほか、ハイパーセルと呼ばれる新しい構造が導入された。
またSD(Source/Drain)の歪を強化したり、MOL(Middle of Line)のコンタクト抵抗やBEOL(Bottom of Line)の抵抗/寄生容量を引き下げるなどの改良が施されたとしている。比較基準が4nm(SF4)なのでアレだが、同じ性能/消費電力比が最大2.6倍改善したとする。
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