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観光客で常に一杯の京都・清水寺にソフトバンクが5G基地局! 厳しい景観条例を乗り越えた「目立たないための工夫」

 京都観光ではおなじみの世界遺産・清水寺。世界中から観光客が押し寄せるこの歴史的な場所に、ソフトバンクが新しい5Gアンテナ(基地局)を建設しました。

 日々膨大なトラフィックが発生する観光地でありながら、厳しい景観条例や物理的な制約が立ち塞がる中、いかにして最新の通信環境が整備されたのか。その技術的工夫と深夜に及んだ難工事の舞台裏をレポートします。

観光客急増による通信混雑を打破
劇的なスピード改善を達成

 清水寺周辺は、インバウンド需要の高まりとともにスマートフォンの通信が非常につながりにくくなり、ユーザーからの改善要望やビッグデータ上での通信品質低下が顕著に見られていました。

 今年の2月末、ソフトバンクは新たな基地局のサービスを開始し、通信環境を劇的に改善させました。関係者によると、以前は電波が弱く、非常に厳しい通信速度に落ち込むことがありましたが、対策後は「通常でも100Mbpsから200Mbps、調子が良い時には450Mbps以上の高速通信が出る状態になった」とのことです。

新しく設置された5Gアンテナ

 基地局の処理能力も高く設計されており、関係者は「ピークシーズンには1つの基地局あたり同時接続で少なくとも100台以上のアクセスがあっても耐えられる設計になっている」と胸を張ります。

世界遺産の景観を守る「隠蔽と極小化」の美学

 清水寺一帯は京都市の非常に厳しい景観条例の対象エリアであり、一般的な基地局のような無機質なデザインのままでは設置許可が下りません。そのため、今回のアンテナ建設にあたっては、細部にわたる「景観への配慮」が施されています。

 まず、アンテナ柱(コンクリート柱)や配管などの設備は、すべて京都の景観に溶け込む指定の「焦げ茶色」に塗装、あるいは景観カバーを装着して目立たないように工夫されています。さらに、通常は高さ1.5メートルほどある大型の受電盤について、メーカーの協力を得て極小化し、ボックスを2個に分けて設置することで圧迫感を最小限に抑えました。

景観を守るため、茶色に塗られている

 また、ソフトバンクのオリジナル架台を採用することで、「アンテナにつながるケーブルやフィーダー類をすべて架台・柱の内部スペースに収納し、外から配線が見えない美しい見栄えを実現した」と関係者は言います。

 特に重視されたのが、清水寺のシンボルである「清水の舞台」からの見え方です。関係者は「事前に模型を作り、実際に現地で風船を上げて舞台側からの見え方を写真で撮影・確認した上で、景観を損なわない高さとして、約15メートルの高さで清水寺側と合意に至った」というエピソードを明かしてくれました。

10トントラックが通れない!
真冬の深夜に挑んだ超難工事

 この基地局設置プロジェクトにおいて、最も困難だったのが実際の建設フェーズでした。清水寺は日中、隙間もないほど観光客で埋め尽くされるため、工事は必然的に真冬の深夜に行なわれました。

ふたつの柱がボルトで接続されていることがわかる

 さらに、現場までの道路は極めて狭く、10トントレーラーなどの大型作業車が一切立ち入ることができません。そのため、コンクリート柱をあらかじめ2分割して現地に搬入し、近くの駐車場で積み替えて組み立てるという執念の作業が展開されました。

 現場の担当者は当時の苦労をこう振り返ります。「真っ暗闇の中でライトを炊きながら、夜通し作業を進めました。さらに地中の埋設配管を傷つけないよう、最初は重機を使わず手彫りで丁寧に配線を確認しながら掘削をしたのです」

 寺院側からは「敷地境界の忍び返し(不審者対策の防犯パーツ)ギリギリに寄せて配置してほしい」という細かな位置調整の要望もあり、ミリ単位の精度が求められる中での設計で対応しました。周辺への影響を考慮し、約1週間という超短期間で一気に工事を完了させた点も、プロフェッショナルな職人技の結晶と言えます。

樹木を避けて「2本並列」に設置されたアンテナの秘密

 この基地局の最上部を見上げると、一風変わったアンテナの配置に気づきます。通常、アンテナを2本設置する場合は上下に並べるのが一般的ですが、今回は「同じ高さに並列」で取り付けられています。

 これは、周囲の生い茂る樹木による遮蔽を避けるための、エリア設計上のこだわりです。 エリア設計の担当者はこのように説明します。「今回は比較的障害物に弱い(飛びにくい)電波も使用しているため、清水の舞台に対してしっかりと見通しを確保する必要がありました。極力高い位置から電波を吹くため、オリジナル架台を開発してアンテナを同じ高さに並列配置したのです。これにより、すべての周波数で最大の電波カバー効果を得ることができました」とのこと。

最上部にある、2本並列のアンテナ

 この1局によって、これまで届きにくかった5G(サブ6帯)などの電波が、清水の舞台までしっかりとカバーされるようになりました。

 そもそも、5Gの電波はミリ波だけでなくサブ6帯も、従来に比べて遮蔽物に弱い傾向があり、飛びにくいという特性があります。 そのため、「目立たない場所に小さく隠す」という景観条例の基準のままでは、どうしても十分な5Gエリアを構築することができません。

 そのためソフトバンクの担当者は、2020年頃から京都市に対して「今の条例のままだと、最新の5Gの恩恵を受けられなくなってしまいます」「このデザイン、この工夫なら最新アンテナでも景観を守れます」といった個別の相談や提案を直接何度も重ね、対話を続けながら1局1局の開設にこぎつけてきたという舞台裏があります。

目立たなくするための試行錯誤を繰り返したという

 担当者は「透明で曲がるアンテナがあれば一番ありがたいのですが、現実的には技術的な制約もあり難しい」といった、技術的な葛藤もあったようです。

さらなる「観光地京都」の通信品質向上へ

 今回の基地局開設により、清水の舞台周辺のネットワークは大幅に充実しました。しかし、これで終わりではありません。門前の参道に立ち並ぶお土産屋さんエリア周辺は、まだ屋内を中心に電波改善の余地が残されていると言い、現在も追加の設置場所やスモールセルなどの技術的なアプローチを積極的に検討・調査しているといいます。

ソフトバンクの帯域優先サービス「Fast Access」で、清水寺周辺で速度テスト。左がFast Access対応端末。100Mbps近い差が付いた

 京都全体の展望について、担当者は次のように意気込みを語りました。「京都駅は在来線や新幹線が乗り入れ、インバウンドも含めて非常に多くの人が混雑するエリアです。今後は京都駅周辺をはじめ、京都全体の通信品質をさらに高めていけるよう、エリア対策に邁進していきたいと考えています」。

写真右からソフトバンク エリア建設本部 関西ネットワーク技術統括部 関西ネットワークソリューション部 ネットワーク設計課 課長 黒木直也氏、エリア建設本部 関西ネットワーク技術統括部 関西ネットワークソリューション部 ネットワーク設計課 北川大喬氏、エリア建設本部 関西ネットワーク技術統括部 関西ネットワーク技術部 エリア技術1課 畔柳響兵氏、エクシオグループ 通信インフラ本部 第二モバイルエンジニアリング部門 笹川吉洋氏 エリア建設本部 関西ネットワーク技術統括部 関西ネットワーク技術部 部長 杉本秀紀氏

 歴史と最新技術が調和した京都のスマート化は、こうした見えない技術者たちの情熱と、徹底した「景観への配慮」によって支えられているのです。

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