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次世代NVLinkの布石か? TSMCの光電融合技術「COUPE」がもたらすAIサーバーの光接続

2026年06月15日 12時00分更新

Micro-Ring変調器の優位性と
TSMCのシリコンフォトニクス実装構造

 次が変調器。TSMCではMicro-Ring vs MZMという比較をしていて、もちろんこれを比較したらMicro-Ringの方が圧倒的に有利である。

Micro-Ring vs MZM。Celestial AIのようにEAMを選択するメーカーもあるが、とりあえずTSMC的にはEAMは考慮外のようだ

 余談だが"Application"におけるMZMの"how power optical interconnect"は多分"low power optical interconnect"の誤植だろう

 それはともかくとして、MZMは性能はいいのだが実装密度が低くなるのが問題で、それもあってTSMCはMicro-Ringを推しているようだ。で、送信側は外部から導入するレーザーソースにこの変調器を組み合わせる形で送信光を生成するわけだが、受信側は? というとGe(ゲルマニウム)ベースのPhotodetectorがすでに実用に入っていることをアピールしている。

GeベースのPhotodetectorがすでに実用化されている。1310nmあたりの波長に最適なので、TSMCのCOUPEは基本1310nm(俗にいうO-Band)をベースにするソリューションになっているのではないかと筆者は疑っている

 さて、これを利用してどういうソリューションを提供可能か? という話で最初はすでに量産に入っているCOUPEである。COUPEは基本的にはASICの周囲にCPO(図ではOE:Optical Engineと表記)を配して、そこから光信号を出す格好だ。

現在のCOUPEはシリコン・インターポーザーではなく、通常のパッケージ基板での接続になっており、インターポーザー版は現在開発中である

 基本的な構造は連載835回で説明しているが、PIC内にレーザーソース以外のコンポーネントはすべて統合されており、最小化が可能なように配慮されている。

レーザーソースを統合すると発熱が大きすぎて放熱対策が難しくなるため、これは妥当である

 COUPEの断面図が下の画像だが、以前なかった情報としてPICからの光の入出力が、Grating Coupler(GC)以外にEdge Coupler(EC)もサポートしていることが明らかにされた。

Modulatorにヒーターが搭載されているのは、Micro-Ringが温度変化に敏感なためで、ヒーターを併用して一定温度になるように工夫されている

GC以外にECもサポートする。GCの構造は連載835回の画像のとおり、PICからミラーを介してSi Carrierの上まで光を届かせる仕組みになっている。この距離では光の減衰などはあまり考えないでいいはずだが、Si CarrierにCouplerの接続部が設けられる関係で、ヒートシンクなどを載せにくいのは事実だ

 今後の高密度化や、どっちみちASIC部は液冷ヘッドを装着する構造になることを考えると、ECの方が実装が容易になると思われる。このEC、今度はPICの上に直接Micro Lensを構築し、その上に被さるようにミラーを配して、横から入出力できるように工夫される構造である。

3~4列は"Challenging"というあたり、現状2列までは容易に構築できるようだ

 GCとECの比較が下の画像だ。GCの方が製造やテストは楽だが、帯域(何波長と束ねるか)などはECの方が有利とされており、コストを取るか性能を取るかのバーターになるようだ。

ECの高さはPICの高さ(PICダイの厚み)とほぼ同等になるわけで、つまりかなり薄いことになるため、機械的な構造を相当工夫する必要があるのも難易度が高い理由の1つだろう

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