CoreUltraシリーズ3はXPS超えの速度でした
攻めた設計でCPUもSSDも爆速で1kg切りのモバイルノートPCだっ!!=ASUS「ExpertBook Ultra」実機レビュー
2026年06月17日 15時01分更新
これまで法人向けPCには、信頼性は高いものの、最新ではない、こなれたデバイスを採用し、無骨というイメージがあった。そんな先入観を覆すのが、今回レビューする「ASUS ExpertBook Ultra (B9400CAA)」だ。
最新のインテルCore Ultraシリーズ3プロセッサーを搭載し、上位モデルでは3Dゲームやクリエイティブ系アプリも快適に動作させられるパフォーマンスを実現、SSDも爆速のPCIe5を搭載している。また、マグネシウム・アルミニウム合金製のボディーはスマートに仕上げられており、ディスプレーはタッチ操作に対応する2種類のOLEDから選択可能だ。
本製品は法人向けをターゲットとしているが、直販サイト「ASUS Store」では一般ユーザーも1台から購入できる。法人向けとして優れた製品は、個人ユーザーにとっても魅力的であるというのが筆者の考えだ。
ASUSから試用機を借りたので、法人向け、個人向けという区分にあまりとらわれず、本製品の魅力に迫っていこう。
全モデルがCore Ultra 3搭載のCopilot+ PC
3Dグラフィックス性能はCPUで異なる
「ASUS ExpertBook Ultra B9400CAA」には下記の4モデルが用意されている。
・B9406CAA-TH1027X
(価格49万9800円)
Core Ultra X7 358H/ RAM64GB/ SSD1TB(Gen5)
14型タンデムOLED/ モーングレイ
・B9406CAA-TH1079X
(価格44万9800円)
Core Ultra X7 358H/ RAM32GB/ SSD512GB(Gen4)
14型タンデムOLED/ モーングレイ
・B9406CAA-TG1028X
(価格39万9800円)
Core Ultra 7 356H/ RAM32GB/ SSD1TB(Gen5)
14型OLED/ジェットフォグ
・B9406CAA-TG0994X
(価格29万9800円)
Core Ultra 5 325/ RAM32GB/ SSD512GB(Gen4)
14型OLED/ ジェットフォグ
つまりプロセッサー、メモリー、ストレージ、ディスプレー、本体カラーの5つで差別化されているわけだ。
まず注目してほしいのがプロセッサー。Core Ultra X7 358H、Core Ultra 7 356H、Core Ultra 5 325のプロセッサーの主な違いは下記に記載しているが、このなかで最も大きな差が現われるのが内蔵グラフィックスだ。
・Core Ultra X7 358H
16コア[4P+8E+4LPE]、16スレッド、最大4.8GHz、15~80W、
Intel Arc B390 GPU、NPU50TOPS
・Core Ultra 7 356H
16コア[4P+8E+4LPE]、16スレッド、最大4.7GHz、15~80W、
Intel Graphics、NPU50TOPS
・Core Ultra 5 325
8コア[4P+4LPE]、8スレッド、最大4.5GHz、12~55W、
Intel Graphics、NPU47TOPS
Core Ultra X7 358Hには「Intel Arc B390 GPU」(GPUピークTOPS:122、Xe-Core:12)、Core Ultra 7 356H、Core Ultra 5 325には「Intel Graphics」(GPUピークTOPS:40、Xe-Core:4)とスペックに大きな差がある。
3Dゲームをプレイしたり、クリエイティブ系アプリで内蔵グラフィックスによるハードウェアアクセラレーションを活用したいのであれば、Core Ultra X7 358H搭載モデルを選ぶべきだ。
もうひとつの注目点はディスプレーだ。Core Ultra X7 358H搭載機はタンデムOLED、Core Ultra 7 356H、Core Ultra 5 325は通常のOLED(単層OLED)を搭載している。
タンデムOLEDは2層の発光層により高輝度を実現し、同じ明るさなら消費電力を抑えやすい。また発光層への負担を分散できるので長寿命とされている。
一方、通常のOLEDは構造がシンプルで、薄型・軽量化しやすい。下位モデルに搭載されていることからわかるとおり価格も安い。個人的にはタンデムOLEDには、画質面よりも長寿命という点で魅力があると考えている。
・14型タンデムOLED
2880×1800ドット、30~120Hz、最大輝度1400ニト、タッチ対応
・14型OLED
2880×1800ドット、120Hz、最大輝度1000ニト、タッチ対応
ほかのスペックは基本的に共通。サウンド機能はデュアルウーファー(2W×2)、ツイーター(2W×2)による6スピーカーシステムと、アレイマイクを内蔵。ウェブカメラは207万画素(顔認証用IRカメラ、プライバシーシャッター付き、AI画像アップスケーリングにより503万画素を実現)を搭載。また生体認証は指紋認証センサー一体型電源ボタンも利用できる。
インターフェースはThunderbolt 4(Power Delivery、映像出力対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、HDMI、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7、Bluetooth 6.0をサポートしている。
ボディーはマグネシウム・アルミニウム合金製で、天板、キーボード面、底面部すべてに硬度9Hの高耐久性を実現したと謳われている。バッテリーは70Whのリチウムポリマーバッテリー。バッテリー駆動時間は記事執筆時点で計測中とのことだ。
サイズは310.9×212.8×10.9~16.4mmで全モデル共通だが、重量はタンデムOLED搭載モデルが約1.1kg、通常OLED搭載モデルが約990g。タンデムOLED搭載モデルの実測値(1134.5g)で計算すると、通常OLED搭載モデルのほうが144.5gほど軽い。携帯性を重視するなら通常OLED搭載モデルのほうが適しているわけだ。
AI時代のノートPCにはタッチパネルを
キーボードの打鍵感は良好で音も低め
使い勝手における本製品の優位点がタッチパネルを搭載していることだ。クラムシェル型のノートPCであっても、タッチに対応してれば画面上のボタンをスマホ感覚でタップしたり、画像を拡大・縮小するなど直感的に操作が可能だ。
またカンタンなイラストを描いたり、書類に注釈を入れるなど活用範囲が広がる。ラフ絵を描いて、生成AIにブラッシュアップしてもらうという使い方もできるので、現代のノートPCにおいてタッチパネルの重要度は高くなっていると筆者は考えている。
画面はCorning Gorilla MatteとCorning Gorilla Victusが施されている。シーリングライトが反射する角度に調整しても画面を視認でき、またタッチ操作などで傷が付きにくい
84キーの日本語配列キーボードは、キーピッチが実測約19.2mm、キーストロークが実測約1.4mm。キーボード面は適度な傾斜が付いており、打鍵感は良好で、打鍵音も低めに抑えられている。
またタッチパッドは物理クリックの感触を再現する「ハプティックタッチパッド」でフィーリングがよく、実測128×86mmと広いのでジェスチャー操作が快適だ。
だからこそ残念なのが英語キーボードのキーボードパネル(Cパーツと呼ばれる)を流用しているため、スペースキー、エンターキー、バックスペースキー、右シフトキーなどがほかのキーと密着していることだ。
しばらく使えばふたつのキーを押してしまうことはなくなるのだが、日本語入力において多用するエンターキーが記号キーと密着している点だけは、ほんのわずかではあるが違和感が続く。法人向けノートPCはキーボードを売りにしている製品が多いので、ASUSの本気度を示すためにも、日本語専用キーボードを採用してほしかったところだ。
ウェブカメラはプライバシーシャッター付き207万画素。顔認証カメラ(IRカメラ)は独立して搭載されており、画質は下記のとおり非常にクリアだ。室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できる。
ちなみにAI画像アップスケーリングにより503万画素を実現と謳われているのだが、デバイスとしては「USB AI 5MP/FHD WebCam」として認識されているものの、写真は最大1920×1080ドット、動画は最大1080pまでしか選択できなかった。
管理ソフト「MyASUS」などにもAI画像アップスケーリングを有効化できる設定は見当たらなかった。発売前ということで、まだ実装されていないのかもしれない。
Core Ultraシリーズ3は攻めたチューニング
ストレージはPCIe5で10GB/s超え
バッテリーは実測17時間持ち
最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回借用している「ASUS ExpertBook Ultra B9400CAA」は、最上位モデルの「B9406CAA-TH1027X」。主なスペックは、Core Ultra X7 358H/メモリー64GB/ストレージ1TB(PCIe Gen5 x4接続SSD)だ。
比較対象機種としては同じプロセッサーを搭載する「New XPS 16 ノートパソコン (2026)」と、「Core Ultra 7 355」を搭載する「Lenovo Yoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Edition(14型 Intel)」をプロットしている。
CPU性能については、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1121pts、CPU(Single Core)は123pts、「CINEBENCH 2026」のCPU(Multiple Threads)は4517pts、CPU(Single Thread)は497ptsを記録した。
まず驚かされたのが同じプロセッサーを搭載しているにも関わらず、ExpertBook UltraがNew XPS 16の114%相当のマルチコア性能を発揮していること。ExpertBook Ultraのほうがより攻めたセッティングを採用し、高い冷却効率を実現している可能性が高い。
「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1121pts、CPU(Single Core)は123pts。「CINEBENCH 2026」のCPU(Multiple Threads)は4517pts、CPU(Single Thread)は497pts
3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のPort Royalは4108、Time Spyは7596、Fire Strikeは14864、Wild Lifeは44073だった。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは18652(非常に快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは7870(快適)を記録した。
こちらはCPU性能ほどExpertBook UltraとNew XPS 16に差はないが、それでも平均して104%ほど高いスコアを記録している。
ただ両者でベンチマークを実行した時期が異なるので、OSやデバイスドライバーなどの最適化が進んだ結果、ExpertBook Ultraのスコアが高くなった可能性もある。あくまでも参考値として捉えてほしい。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは18652(非常に快適)。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは7870(快適)
ストレージはPCIe Gen5 x4接続SSD「UMIS AM6D0 UPETJ1TBMNW1QDA」を搭載しており、「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は11274MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は10157MB/sを記録した。
PCIe Gen5 x4接続SSDの上限ではないが、ExpertBook Ultraのリード、ライト性能は非常に高い。本製品にはPCIe Gen4 x4接続SSD搭載モデルも存在するが、ストレージの読み書き速度が効果を発揮するクリエイティブ系アプリを頻繁に利用するなら、PCIe Gen5 x4接続SSD搭載モデルを選択したい。
ストレージはPCIe Gen5 x4接続SSD「UMIS AM6D0 UPETJ1TBMNW1QDA」を搭載。「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は11274MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は10157MB/s
AI性能は、「UL Procyon」のAI Computer Vision Benchmark(NPU)のfloat16は1135、Integerは2042を記録した。このベンチマークだけ、ExpertBook UltraはNew XPS 16の後塵を拝している。理由は不明だが、Copilot+ PCのAIアプリ、機能を利用する際に体感できるほどの差ではない。
バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度、ボリュームともに40%に設定し、バッテリー残量100%から開始してYouTube動画を連続再生したところ、バッテリー残量が90%に減るまで1時間47分7秒動作した。単純計算では、0%まで使い切る場合に約17時間51分10秒動作することになる。
ひと昔前のモバイルノートPCであれば10時間を超えれば十分だと筆者は考えていたが、ここまで見てきたようなハイパフォーマンスを備えたモバイルノートPCで、約18時間のスタミナ性能というのは本当に驚異的だ。
「Core Ultra X7 358H」の最上位モデルは
まったく不満なく5年間使えるノートPCだ
「ASUS ExpertBook Ultra(B9400CAA)」は法人向けPCとしてだけでなく、個人向けモバイルノートPCとしても非常に完成度の高いマシンだ。特に内蔵グラフィックスに「Intel Arc B390 GPU」を搭載しているCore Ultra X7 358H採用モデルは、最新の3Dゲームも画質調整すれば快適にプレイできるだけのパフォーマンスを備えている。
またメモリー高騰のなか、64GB搭載モデルで50万円切りの49万9800円という価格設定は、ASUSの法人市場に対する本気度を十分に感じられた。だからこそ英語キーボードのキーボードパネルを流用していることに対して苦言を呈したが、慣れで解消できるレベルの欠点だとも考えている。
Core Ultra X7 358H、64GBメモリー、1TBストレージという構成であれば、個人的には少なくとも5年はまったく不満なく使えるノートPCだと予想している。もちろんそこそこの3Dグラフィックス性能でよいのであれば、下のモデルも十分に魅力的だ。迎え入れて大満足のニューモデルと言えるだろう。
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