Ryzen X3Dシリーズならメモリー1枚挿しでもゲームで十分な性能は出せる?
2026年05月29日 18時00分更新
PCパーツの価格高騰を受け、Ryzen X3Dシリーズを搭載する一部のBTOパソコンにおいて、メモリー1枚挿しのモデルが発売されている。自作ユーザーには「メモリーは2枚1組で使用するもの」というセオリーがある。メモリーを1枚のみにすることで、どれだけパフォーマンスに影響があるのか? 上昇コストを考えた際にメモリー1枚での運用はありなのか? メモリーの常識を覆す1枚運用について深堀りしていこう。
Ryzen X3Dシリーズは大量のキャッシュを積んでいるため
メインメモリーへの依存度が低い
PCゲーム向けCPU選びにおいて、3D V-Cacheを搭載したRyzen X3Dシリーズが強いことは広く知られている。特に「Ryzen 7 9850X3D」のようにCCDを1基に絞ったモデルは、上位モデルである「Ryzen 9 9950X3D」よりもフレームレートが伸びやすい。Ryzen 9 9950X3D(や9950X3D2)は、ゲーム以外にも動画編集やCG作成も快適にしたい人向けの付加価値付きCPUといえる。
3D V-Cache搭載Ryzen(以降Ryzen X3Dシリーズ)がなぜゲームでそこまで強いのか? 3D V-CacheはRyzenのL3キャッシュを大幅に拡張するためのものだが、L3キャッシュを拡張することでより多くのデータをCPUコアの近くに留め置くことが可能になる。L3キャッシュにないデータが必要になった場合、CPUはデータをメインメモリーから持ってくるまで待たされてしまう。
だがL3キャッシュにあればメモリーアクセスの時間的ロスが回避できる。一度使ったデータをもう一度使うような状況が多いほど、L3キャッシュが大きいほどメインメモリーに足を取られる頻度が減るわけだ。これがPCゲームでの処理に都合がよいのだ。
3D V-Cacheによってメインメモリーへの依存度が減るということは、メモリーのスペックを絞っても影響が出にくいと考えられる。例えばRyzen 7 9850X3Dの場合、メモリーの定格最大クロックはDDR5-5600だがこれを4800に落とす、あるいはDDR5-5600を2枚ではなく1枚挿しにする(帯域は2枚挿し時の半分)といった感じだ。メモリーが高い今、削れる部分は削ってしまうという割り切りも必要なのではないか?
そこで本稿では、Ryzen X3Dシリーズ(Ryzen 7 9850X3D/ 7800X3D)において、メモリーのクロックや装着枚数によって、ゲームパフォーマンスにどのような影響がでるか? X3Dではない普通のRyzenよりもメモリーの性能に影響されにくいのか、否か? 簡単ではあるが検証してみたい。
検証環境と検証の方針
今回の検証環境は以下の通りである。Ryzen X3DシリーズからRyzen 7 9850X3Dと7800X3D、通常のRyzenからRyzen 7 9700Xを準備した。どのCPUも物理8コア、1CCDで完結するRyzenであり、9850X3Dと7800X3Dに関してはどのコアからでも3D V-Cacheにアクセスできる。
メモリーはMicron製DDR5-6400モジュールを準備し、以下のパターンでテストを実施した。メモリーの容量は32GBとし、それをセオリー通りの16GBモジュール2枚挿しに比較して32GBモジュール1枚挿しで比較、さらにメモリーのクロックも定格より高い(6400)、定格(5600あるいは5200)、低い(4800)の3通りで比較する。1枚で定格より高クロックと2枚で低クロックのどちらが良いのだろうか?
注意点としてRyzenのUCLKとMCLK、すなわちメモリーコントローラーのクロックとメモリークロックの比はDDR5-6400の場合1:2、5600以下では1:1とした(Ryzenの仕様によるもの)。
- DDR5-6400 16GB×2(UCLK:MCLK=1:2)
- DDR5-5600 16GB×2(UCLK:MCLK=1:1):Ryzen 7 9850X3D/ 9700X
- DDR5-5200 16GB×2(UCLK:MCLK=1:1):Ryzen 7 7800X3D
- DDR5-4800 16GB×2(UCLK:MCLK=1:1)
- DDR5-6400 32GB×1(UCLK:MCLK=1:2)
- DDR5-5600 32GB×1(UCLK:MCLK=1:1):Ryzen 7 9850X3D/ 9700X
- DDR5-5200 32GB×1(UCLK:MCLK=1:1):Ryzen 7 7800X3D
- DDR5-4800 32GB×1(UCLK:MCLK=1:1)
その他の環境として、GPUはRadeon RX 9070 XT(ドライバーはAdrenalin 26.5.2)を使用。Resizable BARやSecure Boot、メモリー整合性、カーネルモードのハードウェア強制スタック保護、HDRなどは一通り有効化、ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。
| 検証環境 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 7 9850X3D」 (8コア/16スレッド、最大5.6GHz) AMD「Ryzen 7 7800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5GHz) AMD「Ryzen 7 9700X」 (8コア/16スレッド、最大5.5GHz) |
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| CPUクーラー | EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」(簡易水冷、360mmラジエーター) | |||||
| マザーボード | ASRock「B850 LiveMixer WiFi」(AMD B850、BIOS 4.20) | |||||
| メモリー | Micron「CP2K32G64C40U5B」 (32GB×1) Micron「CP2K16G64C38U5B」 (16GB×2、DDR5-5600) |
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| ビデオカード | ASRock「Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC」(Radeon RX 9070 XT、16GB GDDR6) | |||||
| ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe Gen 5) Silicon Power「SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe Gen 4) |
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| 電源ユニット | ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM) | |||||
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(25H2) | |||||
CPU負荷が高まるほどメモリーは効いてくる
本稿では「ARC Raiders」「Cyberpunk 2077」「F1 25」「PRAGMATA」の4本のゲームを利用して検証を実施した。各ゲームに共通する設定類や検証方法をまず紹介しておこう。
| 各ゲームに共通する設定類や検証方法 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 解像度 | 1920×1080ドット | |||||
| 画質 | 低設定および最高設定 | |||||
| アップスケーラー | FSR 4「クオリティー」設定に統一 | |||||
| フレーム生成 | 使用しない | |||||
| フレームレート計測 | 「CapFrameX」を使用 | |||||
| フレームレートの算出 | msBetweenDisplayChange基準 | |||||
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