週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

1000A超のAIプロセッサーをどう動かすか? Googleが実践する垂直給電(VPD)の最前線

2026年05月11日 12時00分更新

IVRへの期待とGen 2への進化
1kW超チップを安定稼働させるトータル設計

 VPDに続いての可能性として議論されているのがIVR(Integrated VR)であるが、こちらは下の画像にもあるように、有益な特徴はあるものの問題も多く、今すぐにどうにかできる話ではない。とはいえ、長期的にはインターポーザー内にシリコンベースのIVRを集積可能になればいい、という願望が示されているのはおもしろい。

基板にIVR(の一部)を搭載するのは、インダクタンス集積には有効だが、冷却の問題もあるし、5kW以上の電力供給を考えるとロスが大きい。チップレットの形での集積はいろいろ方法があるが、どれも一長一短で決定的な方法がない、とする。

 Gen 2では複数のASICに対してまとめて冷却プレートを配する形になっており、当然液冷が必須ということになるわけで、冷却経路を含めての検討がされているという話であった。

この冷却はProject Deschutes(連載855回でも触れている)で検討しているとのこと

 大電流を流す関係で、BGA BallのEM(Electro Migration)まで考えないといけない、というのはなかなかシビアな話である。当然ラックの側にも、VPDの配慮(電源供給ラインや液冷の配管)をする必要があるわけで、こうしたトータルでのソリューションが必要としている。

Mt. Diabloがまさしくこうした用途向けのプラットフォームになっているわけだ

 Googleの場合は物理設計はBroadcom(最近ここにMediaTekが加わった)、製造はTSMCになるので、インテルのような独自のパッケージ技術ではなく、TSMCの汎用パッケージ技術の上にこうした仕組みを実装する必要があり、逆に言えばGoogleと同じような技術を利用することで、TSMCを利用する他のメーカーも消費電力が1kWを超えるようなチップを安定して動作させることが可能、というわけである。なのだが、現実問題としてこんなことが可能なメーカーはそれこそAMDとNVIDIAくらいのものだろう。

 もう少しすると、BroadcomやMarvellのような、AIチップの製造委託をしているメーカーからソリューションの形でなにかしら出てくる可能性はあるが、そうしたものが出てくるまでは小規模なAIプロセッサーメーカーでこのクラスのチップを製造、稼働させるのは難しいことがよくわかる内容であった。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事