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重要文化財に泊まれる!? 独居房10室ぶち抜きの奈良監獄ホテル 星野リゾートが再生

2026年04月29日 07時30分更新

文● 中山智 編集●こーのス/ASCII

●96室の独居房が並ぶ静寂の回廊

 監視窓を備えた重厚な木製扉の前に立つと、ここで受刑者が過ごしたリアルな日常の空気感が直接肌に伝わってきます。

独居房の重厚な木製扉には、小さな監視窓や食事の差し入れ口などが備えられており、受刑者が過ごしたリアルな空気感が伝わってきます

第三寮の2階部分からの眺め。中央が吹き抜けの構造になっており、看守が効率よく監視できる機能性と、光を取り込む工夫が両立していることがわかります

放射状に5つの舎房(寮)が伸びるようすがみられる「中央看守所」。このポイントは人数限定の見学エリアとなっており、別途予約(無料)が必要です

板張りの床に小さな窓、洗面設備のみが置かれた、受刑者の最小単位の生活空間となる独居房の内部です

 かつて受刑者と外部の人が面会する「接見所」として利用されていたA棟では、「歴史と建築」を学ぶことができます。改修によって壁を8面くり抜き、空間を1つに繋げることで開放的な展示エリアへと生まれ変わりました。

 壁面にはむき出しの赤レンガが見えますが、これは改修工事の際に漆喰を剥がして姿を現したもので、当時の受刑者が粘土を焼き、ひとつひとつ手で作り上げたものです。また精巧な「明治五大監獄」の模型も展示されており、118年の歴史の重みを感じながら日本の行刑の歴史を学ぶことができます。

壁面に見えるむき出しの赤レンガは、改修工事の際に漆喰を剥がして姿を現したもので、当時の受刑者が手作業で積み上げたもの

明治五大監獄の表門を比較できる精巧なミニチュア模型も展示されています

● “管理された日常” 扉の前に立つと、空気が変わる

 B棟は「規律と暮らし」をテーマに、実際の刑務所の暮らしを受刑者の目線で紹介するエリア。起床から就寝まで分刻みで定められたスケジュールや、髪型、服装、布団の畳み方に至るまでの厳格なルールが、壁一面にグラフィカルなデザインで描かれています。

B棟「規律と暮らし」の廊下。各展示室には「規律」「食事」といったテーマが掲げられ、受刑者の視点で刑務所の日常を順に追ってたどる構成

起床から就寝まで、布団の畳み方に至るまで厳格なルールが定められていた様子が再現されています

 アートディレクターの佐藤卓氏が長年取り組んできた「デザインの解剖」の手法が活かされており、管理された日常の展示を見ているうちに、「分刻みのスケジュールや固定観念に縛られる現代の自分は、本当に自由か」と、自身の生活と重なり合う不思議な感覚に陥ります。

壁一面にびっしりと書かれているのは、生活において管理・徹底されていた細かな規律で、視覚的に圧倒される空間

B棟の最後を飾る「自由」の展示では、分刻みのスケジュールで管理された刑務所の日常を追体験したあと、鉄格子のある窓から外を見上げる真っ白な人物像を通して、来館者自身が「自由とは何か」を深く考えてしまいます

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