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重要文化財に泊まれる!? 独居房10室ぶち抜きの奈良監獄ホテル 星野リゾートが再生

2026年04月29日 07時30分更新

文● 中山智 編集●こーのス/ASCII

重要文化財の監獄がミュージアムに

 近鉄奈良駅の北東約2kmの地に、“監獄”ホテルができたと聞いたら、驚きますよね。

 4月27日、奈良市に全く新しいコンセプトの施設「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」がオープンしました。実はここ、ただの古い建物ではありません。日本の近代化の歴史と、現代を生きる私たちの「自由」を問い直す、非常に知的好奇心を刺激されるスポットなのです。

ミュージアムのエントランスアプローチ。手前のコンクリート壁には、鍵をモチーフにした「奈良監獄ミュージアム」のシンボルマークがあしらわれています

●なぜ奈良に“監獄”?

 「旧奈良監獄」は、1908年(明治41年)に完成した「明治五大監獄」のひとつ。近代的な法治国家であることを世界に示すため、国の威信をかけて建設されました。美しい赤レンガ造りの外観と、中央の看守所から放射状に舎房が伸びる「ハヴィランド・システム」という構造が採用され、明治五大監獄のうち当時の全貌がほぼそのまま現存しているのはこの奈良だけです。

明治五大監獄のうち、しっかりと現存するのは奈良監獄のみ。明治政府が国の威信をかけて建設した「明治五大監獄」のうち、唯一全貌が現存する貴重な姿を外観からも堪能できます

●奇跡的に残った“明治の監獄建築”

 長らく「奈良少年刑務所」として使われてきましたが、法務省から運営権を引き継いだ星野リゾートは、この貴重な重要文化財をミュージアムやホテルとして再生させました。ミュージアムのコンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。

 ミュージオグラフィースーパーバイザーを務めるアドリアン・ガルデール氏は、「私たちの自由が、いかに脆く、いかに尊いものであるかということ」が、このミュージアムに込められたメッセージだと語っています。

中央の看守所から放射状に舎房が伸びる構造の「ハヴィランド・システム」

 展示エリアはAからCの3棟に分かれており、一筆書きのルートで進みます。まずは「保存エリア」からで、ここではハヴィランド・システムの中心となる「中央看守所」を見学できます。

●放射状に広がる“完全監視”の建築

 中央看守所は5つの寮が放射線状に広がっており、保存エリアとなる第三寮には、1階と2階に48室ずつ、全96室の独居房が当時のままの状態で連なっています。中に入るまでは薄暗い空間を想像していましたが、人権に配慮した設計のため、窓からは自然光が入り、意外と明るさを感じられます。

保存エリアとなる第三寮の入り口

当時の状態を残した「保存エリア」となる第三寮の廊下で、1階と2階にそれぞれ48室、計96室の独居房が整然と連なっています

保存エリアの天井部分は人権に配慮した設計がなされており、高い位置に設けられた窓や天窓から自然光が差し込む構造になっているため、意外なほど明るいです

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