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プロの知見でユーザー企業もレベルアップできる

kintoneパートナーが語る「日本のエンタープライズあるある」が本音過ぎた

kintoneは業務改善の入り口としてベスト

 移行元はレガシーシステムのみならず、SaaSという場合も多い。ジョイゾーの笹川氏は、「だいたい別のSaaSが導入済みなんですが、うまく使いこなせず、『kintoneならうまくいくのでは』という希望を抱いてご相談に来られます」とのこと。具体的には既存のワークフローが複雑すぎて、今利用しているBoxで仕様をうまく吸収できないといった事例。「kintoneは拡張性が高いので、業務に合わせてうまくアレンジしたり、kintoneに合わせて業務自体を再構築することも可能です」(笹川氏)。

 マルチベンダーで製品を扱っているコムチュアでは、PowerPlatformからの移行案件もある。「PowerPlatformは高機能で、ノーコード・ローコード開発ツールとして素晴らしいのですが、開発にはある程度ITリテラシーが必要になります。その点、kintoneはより直感的に操作・開発できる点が評価されています。」と木原氏は語る。

 その上で、コムチュアではkintone単体ではカバーできない領域を他の製品で補い、トータルで顧客の要望に沿った最適なシステムに仕上げるのが得意だという。「kintoneの導入自体が目的ではない。業務全体をどのように効率化するかを考えた際に、最初の選択肢として最適なのがkintoneであると考えています。」と木原氏は語る。さまざまな製品を組み合わせ、kintoneを入口にして、システム全体で業務改善を前進させる設計と運用が、コムチュアの強みだ。

 kintone専業のジョイゾーも、システムの向き、不向きの判断は現実的。笹川氏は「kintoneに向いてない場合は、『kintoneじゃないですね』って言います(笑)」と語る。たとえば、トランザクションが多い、パッケージの方が機能が充実している、あるいはシミュレーションなどの用途の場合は、kintoneは不向きだという。「すごく作り込まれたExcelをkintone化したいという場合も、『これはExcelのままの方がいいですね』と回答します(笑)」(笹川氏)。

同じジャンルのサービスが混在してしまうエンタープライズでの苦労

 エンタープライズ企業でのkintone導入の課題は、まず事業部門と情報システム部との連携がないと難しいという点だ。木原氏は、「われわれが扱っているマイクロソフト製品の場合、やりとりするお客さまは情報システム部門になりますが、kintoneの場合は事業部門からのお声がけがほとんどです。だから、事業部門の提案のみならず、情報システム部門の方に響く提案が必要になります」と語る。

 しかも、事業部門と情報システム部のパワーバランスは、企業によって大きく異なる。稼ぎをもたらす営業部門や生産を担う製造部門が強い企業は、情報システム部は事業部門のリクエストを追認することが多いが、情報システム部のイニシアティブが強い企業は、全社導入に進みやすいという。

 いずれにせよ、エンタープライズの場合は、既存のシステムも含めて複数のシステムが併存し、全体最適を目指す情報システム部と個別最適を目指す事業部門でそれぞれイニシアティブが異なるという点が特徴的だ。笹川氏は、「kintoneは個別最適に強いけど、kintoneだけで全体最適できないというネガティブに捉えられてしまうと、経営陣をうまく説得できないというケースがあります」と指摘する。

 さらにkintoneが得意とする対面開発は、情報システム部からすると受け入れが難しい場合もある。対面開発サービスのシステム39を手がけるジョイゾーの場合、2時間×3回がコミットで、成果物のコミットではない。「成果物が前提という情報システム部門の方からは、上を説得しにくいと言われることもありますね」と笹川氏は語る。

キーマン辞める! そんなときもパートナーとの契約があれば

 複数のツールが併存してしまうエンタープライズの場合、抵抗勢力ができてしまうこともある。「kintoneのよさが伝わらず、他のツールの派閥に推され気味になり、悩んでいる担当者をお助けするようなお仕事もあります」と村越氏は語る。具体的には他ツールとの機能やランニングコスト比較を資料として作成する。kintoneの導入が進むよう、情報システム部をサポートするのもパートナーの重要な役割だ。

 関係各所との調整が大変なことも「エンタープライズあるある」だ。笹川氏は、「案件管理システム1つ作るだけでも、別の部署に影響が出るので、調整しなければならない。情シスの担当者も心折れそうだと思いますが、私たちも事業部門に『No』と言われた場合の代替策や折衷案を作るような支援をすることがあります」と語る。大企業だと、情報システム部が事業部門の業務を把握できないので、現場部門の担当者がうまく巻き込めると、業務の解像度が上がり、kintone導入の推進が進むという。

 エンタープライズ企業特有とも言える現象として、組織がそれなりに大きいため、中小企業に比べて「人の入れ替わりが激しい」という点が挙げられる。導入や運用をリードしてきたキーマンが異動になった結果、現部署での利用が滞ったり、逆に異動先で導入が進んだりということもあるという。

 企業や部門単位での契約とは言え、キーマンの存在は浸透に大きな影響を与える。特に事業部門での利用が多いkintoneの場合、キーマンがいなくなると、その部門でのkintone活用は一気に停滞してしまうケースもある。もちろん属人化してしまうのは望ましくないのだが、kintoneのよさが周りに伝わらなかったり、スキルがあるのに利用が拡がらなかったりした結果、キーマンが転職してしまうということは事例でもよく見かける。

 属人化させないためにも、kintoneパートナーは重要だ。ジョイゾーの場合、「kintoneの浸透に熱意があったキーマンが辞めてしまった」という事例が過去にあったが、kintoneで解決してきた課題の管理がアプリ化されていたため、新しい担当者にもきちんと引き継げたという。

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