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【後編】興収20億円突破記念! Netflix・ツインエンジンのキーマンに舞台裏を聞く

『超かぐや姫!』大ヒットの裏には日本のネットカルチャー愛が深い宣伝チームの活躍があった

両社とも宣伝は「ネットカルチャー愛にあふれたチーム」だった

N 桒原 ツインエンジンさんが展開されている「生っぽい宣伝」は非常に印象的ですね。Live2Dを使って、配信者としてのかぐやが「今日の晩ご飯」でビッグマックの話題を出したり。作品本編に直接関係のない部分でも、今のVTuberさんの配信のような空気感を上手く捉えて形にしていて、リアルタイムで温度感のあるコミュニケーションだなと。

T 長坂 Live2D周りはかなりの部分、ここにいる橋本が考えています。SNS投稿に関してもネタの引き出しは橋本のほうが断然多く持っていました。

ツインエンジン宣伝 橋本 私は古のニコニコ動画から最近のVTuberの方々まで長くネットカルチャーを通ってきているので、まずは当事者として「自分が見たいもの」を作っています。

 ファンの方々に近い感性だからこそ、「自分たちが楽しめるものはきっとお客様も喜んでくれるだろう」と。一緒にコミュニティーを作ろうという思いで制作していました。

N 桒原 まさに「この一瞬を最高のパーティーにしよう」ですね(笑)
※『超かぐや姫!』の劇中歌「Reply」の歌詞。

T 長坂 「この一瞬を最高のパーティーにしよう」は宣伝のコンセプトと本当に上手く結びついたと思います。先ほどもお話したように、配信前の動画投稿を2ヵ月半の短い期間に絞り込み、お客様の盛り上がりポイントを作ることも含めて、宣伝とお客様が一緒に「最高の2ヵ月にしよう」というところに結びついたと思います。

N 桒原 今回、両社とも「インターネットカルチャーに愛が深いチーム」で挑んでいて、その良さは出たと思います。Netflixの宣伝チームも現役ないしは古(いにしえ)のインターネット老人会が揃ってました(笑)

 今回ご協力いただいたボカロPやクリエイターさん周りの話題も、かなり具体的な固有名詞を出しながら、「歌詞のここを(MVに)抜こう」といった粒度感のある話を自分たちで即実行できたのはこのチームならではの強みだったと思います。

T 長坂 僕は実を言うと自信を持って自分をオタクとは言えなくて。アニメはもちろん好きですが1つの作品やキャラにのめり込むタイプではないんですよね。なので僕は逆に「界隈の外側からどう見えるか?」を意識していました。界隈とその外側という、チームに両方の目線があるうえで、投稿などを提供できたのが非常に良かったですね。

ローカライズにも注力
劇中曲は5ヵ国語で吹き替え歌唱

―― 海外展開についておうかがいします。「グローバルは意識せず、まずは日本のエンタメファンに届くように制作」されたとのこと。日本固有の文化が入った『超かぐや姫!』を、まったく異なる文化圏に浸透させるのは難しそうです。どのような工夫をされましたか?

N 山野 文化の差異をカバーするため、それぞれの地域に住んでいる方にとって理解しやすくなるよう、さまざまな言語にローカライズしていきました。もともとアメリカや欧州、南米などは多言語の地域でもあるので、配信も「吹き替え」視聴が非常に多いんです。

 特に『超かぐや姫!』は歌ものですので、歌唱は英語、フィリピン語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語で吹き替え歌唱を作りました。以前、アニメ映画『ベルサイユのばら』でも英語の歌唱にトライしましたが、今回はさらに規模を広げています。

 対してアジア圏は、日本のアニメを字幕で視聴してくださる方が多いのですが、それができるのは日本の文化がある程度浸透しているからです。

海外ではアジア圏を中心に盛り上がっているようだ

オリジナル作品は「信じたら、やる!」しかない

―― 歌唱を5言語ぶん準備したのは、まだヒットする確証がない段階でのことですよね。オリジナル作品で、事前にそこまで労力と予算を掛けようと思った理由は……。

N 山野 (作品の力を)信じたら、やる! ……たぶんツインエンジンさんも一緒だと思います。MVの作り込みや量も含めて、もし作品が伸びなかったら、とてつもなく大変なことになっていたと思います。

T 長坂 そうですね。もし、MVの再生数が数千で止まってしまったら、もう……。ですが社長の山本(ツインエンジン代表・山本幸治氏)も常々言っているように、「オリジナル作品は、勝つ気で信じてやるしかない」んです。

 「信じて展開するしかない」という挑戦は、僕らだけではなく、ほかのパートナーさんもそうだったと思います。シアターを開けてくださった劇場さんもそうですし、さまざまなメーカーさんにも配信開始のタイミングで商品を展開していただきました。おかげさまでオリジナル作品としては初動から異例のボリュームで用意できました。

 本来、オリジナル作品のグッズを「ヒットが確定する前に」準備するのは、製造コストや在庫のことを考えるとメーカーさんにとってリスクの塊のようなものなんです。ですから今回、作品に期待を寄せてリスクを取っていただいたメーカーのみなさまには本当に感謝しています。

N 桒原 信じてくださったみなさんと一緒に進んでいるような空気感が良いなと思いました。宣伝も、ツインエンジンさんと1つのチームとして動けたのはすごく楽しかったです。

N 山野 本当に『超かぐや姫!』は、作り手、送り手、お客様、メーカー、みんなが作品の周りに集まって「応援しようぜ!」という空気を生むパワーがあったと思います。

―― ありがとうございました。

前編はこちら→ 『超かぐや姫!』が「長尺&冒頭20分間日常シーン」でも大ヒットした秘密は巧みな宣伝手法にあり

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