Ryzen 9000シリーズが8月に発売されてからというもの、さまざまなレビュアーの手により性能が評価されてきた。AMDが提示したゲームにおけるベンチマーク結果によれば、インテルの第14世代Coreに対しフルHDゲーミングにおいて平均6%上回っているとAMDは主張している。しかしこの結果はちまたのレビュアーの結果よりやや高いという話題が浮上した。
この件についてAMDはブログにて、AMDが提示したベンチマークデータが高めに出ている理由を説明した。それによれば……
①両陣営のCPUはDDR5-6000を用いて検証した
②インテル製CPUは“Baseline Power Profile”を用いて検証した
③仮想化ベースのセキュリティー(VBS)を使用した
④次期Windows(24H2)に実装される分岐予測コードを利用した
⑤④を利用するために“管理者モード”でテストしていた
①についてはAMDから筆者を含めたメディアのレビュアーに対しての要請と同じ設定であるし、②は“敵の弱点は最大限に活かす”ことを考えれば当然だ。③は性能が下がってしまうが今のWindows 11のデフォルトなので当然の措置となる。
問題は④と⑤で、8月時点では筆者を含めレビュアーには一切知らされていないOSのアップデートを使って検証し、それを利用するために管理者モードで検証していたというもの。CPU業界の盟主となった今、正直いただけないやり方だが、きちんと弁明した点は評価したい。
この④はWindows 11 24H2に含まれる機能なのだが、分岐予測改善のコードのみが23H2にバックポートされ、先日のTDP 105W動作検証記事のリリース寸前に「KB5041587」としてリリースされたようだ。AMDやMicrosoft公式の声明があったわけではないから伝聞型なのだが、本当に性能は向上したのだろうか?
Ryzen 9000シリーズの成長を見守るシリーズ第2回は、このKB5041587の導入前・導入後で性能がどう変化したかを検証する(シリーズ第1回はこちら)。
シンプルな構造のRyzen 7 9700Xで検証する
今回の検証環境は以下の通りだ。CPUはRyzen 7 9700Xおよび7700Xを選択した。Ryzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900XはCCDが2基あるため、CCD間レイテンシーという要素が結果に介入しない方がよりKB5041587の効果が実感できると判断したためである。その他の検証はこれまでのRyzen 9000シリーズの環境と同一だ。
検証にあたり、Secure Boot/ Resizable BAR、メモリー整合性やHDRといった設定は一通り有効としている。GPUドライバーはRadeon Software 24.8.1を使用した。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 7 9700X」(8コア/16スレッド、最大5.5GHz) AMD「Ryzen 7 7700X」 (8コア/16スレッド、最大5.4GHz) |
CPUクーラー | NZXT「Kraken Elite 360」 (AIO、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASRock「X670E Taichi」 (AMD X670E、ATX、BIOS 3.06) |
メモリー | Micron CP2K16G56C46U5 (16GB×2、DDR5-5200/5600) |
ビデオカード | AMD Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード |
ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」 (2TB、NVMe M.2、PCI Express Gen5) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80PLUS Platinum) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」 (23H2) |
週刊アスキーの最新情報を購読しよう