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Ryzen 9000シリーズの成長を見守る その2

Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか?

2024年09月20日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

 Ryzen 9000シリーズが8月に発売されてからというもの、さまざまなレビュアーの手により性能が評価されてきた。AMDが提示したゲームにおけるベンチマーク結果によれば、インテルの第14世代Coreに対しフルHDゲーミングにおいて平均6%上回っているとAMDは主張している。しかしこの結果はちまたのレビュアーの結果よりやや高いという話題が浮上した。

AMDが出したゲームパフォーマンスに関するベンチマーク結果。Ryzen 9 9900XはCore i9-14900Kに対し4~22%フレームレートが伸びたという主張だが、ちまたのレビューではこのような結果はなかなか得られなかった

 この件についてAMDはブログにて、AMDが提示したベンチマークデータが高めに出ている理由を説明した。それによれば……

AMDはブログでなぜAMDと市井のレビュアーの結果が乖離しているのかを解説した

①両陣営のCPUはDDR5-6000を用いて検証した
②インテル製CPUは“Baseline Power Profile”を用いて検証した
③仮想化ベースのセキュリティー(VBS)を使用した
④次期Windows(24H2)に実装される分岐予測コードを利用した
⑤④を利用するために“管理者モード”でテストしていた

 ①についてはAMDから筆者を含めたメディアのレビュアーに対しての要請と同じ設定であるし、②は“敵の弱点は最大限に活かす”ことを考えれば当然だ。③は性能が下がってしまうが今のWindows 11のデフォルトなので当然の措置となる。

 問題は④と⑤で、8月時点では筆者を含めレビュアーには一切知らされていないOSのアップデートを使って検証し、それを利用するために管理者モードで検証していたというもの。CPU業界の盟主となった今、正直いただけないやり方だが、きちんと弁明した点は評価したい。

 この④はWindows 11 24H2に含まれる機能なのだが、分岐予測改善のコードのみが23H2にバックポートされ、先日のTDP 105W動作検証記事のリリース寸前に「KB5041587」としてリリースされたようだ。AMDやMicrosoft公式の声明があったわけではないから伝聞型なのだが、本当に性能は向上したのだろうか?

TDP 105W設定検証記事の作業も大詰めになったところで出現したKB5041587。現在はこのアップデートは消滅し、より上位の存在であるKB5043076に吸収されたと思われる

 Ryzen 9000シリーズの成長を見守るシリーズ第2回は、このKB5041587の導入前・導入後で性能がどう変化したかを検証する(シリーズ第1回はこちら)。

シンプルな構造のRyzen 7 9700Xで検証する

 今回の検証環境は以下の通りだ。CPUはRyzen 7 9700Xおよび7700Xを選択した。Ryzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900XはCCDが2基あるため、CCD間レイテンシーという要素が結果に介入しない方がよりKB5041587の効果が実感できると判断したためである。その他の検証はこれまでのRyzen 9000シリーズの環境と同一だ。

 検証にあたり、Secure Boot/ Resizable BAR、メモリー整合性やHDRといった設定は一通り有効としている。GPUドライバーはRadeon Software 24.8.1を使用した。

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 7 9700X」(8コア/16スレッド、最大5.5GHz)
AMD「Ryzen 7 7700X」 (8コア/16スレッド、最大5.4GHz)
CPUクーラー NZXT「Kraken Elite 360」
(AIO、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X670E Taichi」
(AMD X670E、ATX、BIOS 3.06)
メモリー Micron CP2K16G56C46U5
(16GB×2、DDR5-5200/5600)
ビデオカード AMD Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」
(2TB、NVMe M.2、PCI Express Gen5)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」 (23H2)
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