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ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024開催、高級ヘッドホンシステムの新試聴イベント

2024年03月04日 07時00分更新

ハイエンドケーブルの魅力を探る

 Brise Audioブースでは試聴用の試作ヘッドホンアンプがユニークだった。交換用ケーブルで知られるBrise Audioが試聴用のアンプを製作した理由については、バランス接続ケーブルを最大限に活かせる試聴環境を作りたかったということだ。

ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024

Brise Audioのブース

 HD 800の低音を引き出せるようなケーブルはないかと聴いたところ、「YATONO-HP Ultimate」を試聴させてもらった。これは1.3mで35万円というハイエンドケーブルだ。試してみると、通常は低音が抑えられているHD 800とは思えないほど太い低音が出てきたのに驚いた。ハイエンドケーブルらしくヴォーカルの肉質感も高く、ステージの前で聴いているような迫力もある。HD 800は本来モニター目的だがこれならリスニングに使っても良いと思えた。新たなHD800の側面を見つけた感覚である。

 次はHD 800のモニター的な側面をさらに向上させるケーブルを選んで欲しいと頼むと、「MIKUMARI Ref.2」を選択してもらった。これも1.3mで15万円という高価格ケーブルだ。同じ曲を聴いてみると、HD 800らしく音の帯域バランスが良く音の細部がわかりやすい音だと感じた。まさに正しい音が出ているようで、エンジニア向けのようなモニター的音傾向と言える。出荷実績としてはHD 800にはMIKUMARI Ref.2の方が高いというのも納得できる組み合わせだ。

ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024

MIKUMARI Ref.2

 YATONO-HP UltimateではHD 800の新たな側面を発見でき、MIKUMARI Ref.2ではHD 800の力をそのまま伸ばすことができるという面白さもリケーブルの楽しみと言えるだろう。

特徴的なMYSPHERE 3をハイエンドシステムで楽しむ

 エミライブースでは、Ferrum Audioの「HYPSOS」「OOR」「WANDLA」のシステムで試聴した。このシステムはヘッドホンに向いたとても高音質のシステムだ。以前試聴したことがあったので、前から試してみたかったブライトーン扱いのB-Acoustics MYSPHERE 3を中央のテーブルから持ち込んで聴いてみた。

ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024

Ferum Audioのシステム

ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024

エミライブース、聴いているのはスタッフだ。

 MYSPHERE 3はAKGで「K1000」を開発したメンバーが新たに開発した完全オープン型のヘッドホンである。私はAKG「K1000」も持っているのだが、K1000はその完全オープンというユニークさとは裏腹に高域が強すぎるというマイナス面も持っていた。しかしMYSPHERE 3ではそうしたこともなく、帯域バランスの整った素晴らしい音質を楽しめた。可変式のドライバーを開くと音がより開放的になり、閉じると密閉型の音に近くなる点が面白い。

 このMYSPHERE 3を今度はBenchmark Media Systemsの「HPA4A」で聞いてみた。「HPA4A」はTHX-AAAを採用した高出力アンプ回路が特徴で、MYSPHERE 3を力強い音で鳴らすことができる。端正なFerrum Audioのアンプとはまた違った音が楽しめた。

 ちなみにエミライブースでのソース機器はAurenderのフラッグシップ・ネットワークトランスポート「N30A」が使用されていた。これは単体で約440万円というハイエンド機器だ。N30Aはネットワーク機器でありながら、二つの筐体に分かれた特徴的な構造を有し、デジタルプロセッサ部分とオーディオ回路の部分を分ける設計がなされている。

finalの注目機種D7000を聴く

 finalとコペックジャパンはお互いの分野を補い合えるため共同ブースでの出展としたということだ。

ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024

finalとコペックジャパンの共同ブース

 finalのヘッドホンは中央テーブルにもあるので、実際には会場全体で試聴できた。D7000、D8000、D8000 Proを会場内の様々な機器で比べるとD8000 Proがモニター的に使うのに向いていて、D7000はよりリスニング目的に向いているのがよく分かる。ちなみに、D8000 ProとD8000では聴取する音量レベルの大小に応じて違いがわかるということで、D8000 Proの方がより大きな音量のシステムに適合しているということだ。

ハイエンドヘッドホン・リスニングセッション 2024

HA-3AとD8000 Pro

 コペックジャパンの扱うCayinブランドの真空管アンプでは、まず6A6を搭載した真空管ヘッドホンアンプ「HA-3A」を試聴してみた。音質はトランジスタアンプのように整っていて力強い音だが細部が滑らかで、PCM音源でもデジタル臭さを感じさせないことが感じられた。300Bを搭載した「HA-300 Mk2」ではより真空管アンプらしい柔らかで温かみのあるサウンドが楽しめた。

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